おはようございます!!
今日は朝の更新です。
平成26年度司法試験までもう2ヶ月を切りましたね。昨年の今頃は全国模試の受験の最中で一番ピリピリ(とは言っても性格的にはノンビリしていた方)していたかもしれません。やはり模試の成績が悪いと不安ですし,良かったとしても別に何らの保証がされるわけでもないからです。
昨年残念な結果だった同期や多くの後輩が今年受験するので先輩として少しでも応援してやれたらなと思っています。
自分が司法試験の勉強をしている最中は本当に辛くて,いつ止めてやろうと毎日思っていました。けど,ここまで来たから引き返せないなどと自分で言い聞かせて頑張りました。もっとも頑張れた動機は他にあるのでそれはまた後述します。
今日の記事では実際に司法試験を受け,受かって良かったことを改めて考え,記事にします。
まず当たり前のメリット,これは形式的メリットではありますが,司法試験に合格し,その後司法修習を終え最後の二回試験に合格することで法曹三者(裁判官,検察官,弁護士)になれる資格が与えられたことです。法律分野においてほぼ独占的に業務を行うことができます。もちろん,これから多くのプラクティスを積んで実務家になっていくわけですが,独占業務にチャレンジできるということはそれ自体魅力的です。
また司法試験を受かり弁護士登録をする事を通じて,税理士・弁理士・司法書士・行政書士も付随して登録が可能となり幅広い業務が可能となります。もっとも,税理士登録したとしても司法試験に受かり弁護士登録しただけでは基本的に税務関係のプラクティスを積んでいないのでほぼ使い物にはならないと思いますが・・・。
このように司法試験を受け合格し,更に二回試験に合格することで弁護士登録が可能となりますが,そうすると弁護士業務が行えるという本来的意義に加え,このような付随的な資格も取得できるという形式的メリットがあります。
ただ,これは司法試験を受験しなくてもある程度予想できるメリットであり,ここで特段論じる必要も無いかなと思います。僕は司法試験を受験して上記以外のメリットを特に享受したように感じたので以下述べていこうかなと思います。
1 合格した時人生で一番の喜びを感じたこと
まずこれを挙げたいと思います。僕は器的には小さい男ですので,他人から見た小さな喜びでも,比較的大きな喜びに感じてしまいます。「外食が続いたのに体重が変わらなかったこと」「薬局でいつも使ってる商品が割引商品となっていること」「信号がギリギリで渡れたこと」「なかなか会えない友達と食事のアポが取れたこと」「ちょっと可愛い女の子からメールの返事をもらえたこと笑」などなど。
しかしながら,司法試験に受かった時の喜び,これは言葉では本当に説明できないぐらい嬉しかったです。父にずっと「キツイ坂を登った後の頂上の景色は格別だ。ロープウェイに乗った場合では訳が違う。」と言われていました。本当にその通りだったと思います。
発表当日,あまりにも怖くて,後藤に一緒にいてもらいました。ていうか,彼に発表を見てもらいました。あと垣下も。「あった!!」と言われた時の喜びは今までの人生にないものでした。思わず涙が出ました。その様子を見ていた後藤も一緒に喜んでくれ,彼の目には少し涙が溜まっていました。それほど僕が喜んでいるように見えたのだと思います。
人生に一度でもあの喜びを感じられたこと,それ自体とてもプラスだったと思います。人間喜びを味わうとまた頑張ることができる。そう思えました。
2 自分自身に少し自信が付くこと(受験したことがないという自分のコンプレックスに打ち勝てたこと)
自分にとって一番大きなことはこれだと思います。自分は慶應幼稚舎という付属校からの進学者であり,人生でほとんど勉強したこともありませんでしたし,受験経験もほとんどありませんでした。ロースクールの受験はしたものの,あれは気づいたら受かっていた所があるのでノーカウントにしています。
父からも「受験をし,それに打ち勝って初めて男としての1歩を歩める。」と言われていました。周りの友達は中学・高校・大学どこかしら受験をしており,受験に打ち勝って慶應に来ています。にも関わらず,自分だけ受験経験がなく,甘い環境で育ってきたため少し負い目に感じていました。世間からも「無能なお坊ちゃん」と思われていることは分かっていたので,少しでも見返してやろう・・・なんて思っていました笑。
司法試験は世間的にも実質的にもやはり難関と言われている試験であり,これに通れば最低限「おれ頑張った!!」と言えるかなと思い,それを強いモティベーションとして頑張りました。
モティベーションに関連して,もう1つ僕が頑張れた源があります。それは僕のことを「尊敬しています。」と言ってくれている後輩の存在です。僕なんか能力面,人格面共に劣っていることは昔から自分でも把握しています。こんな自分をお世辞でもそう言ってくれる後輩のために頑張らないと尊敬してくれている後輩に申し訳ないと思ったのが大きいと思います。先日も後輩に「尊敬と信頼の先輩」と言って頂き,ますます頑張ってよかったなと思ったのを思い出しました。
司法試験は以前に比べて合格率は上がったものの,学部時代からの勉強を考えると5年前後は平均して受験勉強をしないと合格できない試験です。とりわけ僕のような能力的には凡人ないしそれ以下の人にとってはそれでも足りないぐらいの試験です。
こういう試験にチャレンジし合格できたことは,自分自身に自信を持てるきっかけとなりました。僕自身既に述べたバックグランドから自分の能力面については特に恥ずべき点だと思っておりましたが,今でも原則としてその点についてはあまり考えは変わらないものの,少しは自信が付いたかなと思います。こんな僕でも頑張ればできる!!こう思えるようになったのはとても成長した点だと思います。
自分に自信が付けば,新たな1歩を歩めやすくなると感じました。
少しでも多くの後輩に司法試験に受かってもらいたいために,拙いながらも講義を・・・・。
3 貴重な友人に出会えたこと
これも自分にとって大きかったと思います。自分は小学校,中学校,高校,大学それぞれでとても大切な友人たちに出会えました。こんな僕を相手にしてくれる友人もでき,ロースクールでは新しい友人を作ろうなんて一切考えてもいませんでした。
しかし,ロースクール生活で本当に新たな貴重な友人と出会うことができました。今の自分の生活を見てみると,ロースクールで出会った友人がいない生活なんて本当に想像できないほどです。
N卓,カズ,堀,大石,A子,M子,S井などなど・・・
たくさんの先生,先輩,後輩,生協のおばちゃん,警備員さん,学事のスタッフの方・・・。多くの人と出会うことができました。
また僕が(そんな大したものではないけど)司法試験の勉強の指導(と言えるほどの代物じゃないけど)をしていた後輩から卒業時にこんな素敵なものを頂きました。
「KF研究会」と書いてあります笑
大した指導ができたわけではないのに,このようなことまでして頂いて大変有り難かったです。時には厳しい講評もしたかもしれないですけど,司法試験の答案なんて厳しいこと言われないと伸びない所があるからまぁご愛嬌で・・・笑
司法試験というのは決して楽な試験では無いかなと感じました。僕の能力の問題もありますけど。
このようにキツイ司法試験を共に勉強する友人っというのはどことなく部活の友達のような感覚になります。
そんな多くの友人(もちろん先生,先輩や後輩なども含む)と出会えたことが良かったと思える点です。
4 事務処理能力が付いたこと
ここからは若干枝葉の部分になってきますが,司法試験を受けて仕事・作業スピードが速くなった気がします。
司法試験というのは論文7科目,短答8科目と極めて範囲が広い試験であり,しかも1科目2時間という時間で論文(最大)8頁を手書きで書かなくてはいけません。この業界に入った人は身体で感じると思いますが,司法試験の問題を2時間で書くのはほぼ不可能であり,だいたいの人が「分かってても書かない」等の対策を講じて最後まで書き上げます。
問題文も長く,重要でない部分と重要な部分とをすぐに察知し,取捨選択する必要があります。司法試験に受かる上で必要な能力としてやはり事務処理能力があります。
100点の答案を書く必要はない。60点の答案を全部揃えれば合格できるようになっています。もっとも僕みたいな人の場合60点を狙うと30点ぐらいになりかねないので注意で・・・笑。
したがって,普段の勉強からスピードを意識せざるを得ない試験でもあります。
以前の僕は読み書きが大変遅い人でした。今でも速い方ではありませんが,人並みのスピードで読み書きできるようになりました。ある程度速く読み書きできないとこの業界では厳しいのかなと感じます。
このように作業スピードが上がったことが良かったと感じました。
ある日の自習室の机。
1日2~3教科をスピードつけてやります。
5 論理的思考能力が少し付いたこと,説得するという発想が身に付いたこと。
「法律学を勉強すると論理的思考力が身に付く」と言われてはいましたが,当初あまり理解できていませんでした。「ほんとかよ??」と思うばかりで。
司法試験を通じて思ったことは,物事を順序立て,反対意見をも考慮しつつ,バランスの良い結論に導ける能力が一定程度養われるのかなと感じました。
論理的と言っても理系のように100%の論理ではないのですが,ある程度体系性を持っている学問なので体系的に考え,一定程度自分なりの価値観を交えつつ,けど説得力を持たせて物事を考える力が司法試験では必要です。
なぜ損害賠償責任が発生するのか?なぜ傷害致死罪ではなく殺人罪なのか?
これを体系性を持った一定のルール(条文・基本原理,判例,学説)に用いて自己の見解を説得的に展開します。
「説得的」であると言えるためには論理性が求められるであろうし,「説得的」であるためには具体的な根拠を示すことも求められるだろうと思います。
これは何も司法試験のみで必要な能力ではなく,社会一般で求められる力ではないかと思います。リーズニングこそ命と指導されますが,何事も具体的な根拠を示して自己の見解を述べ,相手方を説得する。こういう力,姿勢が身に付いたかなと感じました。
新入生ガイダンスも「説得的」に!?笑
このように,司法試験を受けて良かったことを考えてみました。もちろん試験なのですから受かったこそ価値があると思われる人もいると思います。確かに受からなかったら受かる喜びも味わえないと思いますし,効能は減ってしまうと思います。しかし決して自分が成長しないことはないという側面もあります。
試験直前で大変だと思いますが,このように受けて良いこともあるのでどうか最後まで頑張ってもらいたいと思います。
では,本日も頑張りましょう!!