こんばんは!!
今日は朝から論文執筆でした。
というのも、明日、論文の第二回中間報告が控えているため、一定の準備が必要だからです。
司法試験を終えて、修了生が指導教授に付いて論文を書くというカリキュラムがあります。
元々、倒産法の先生から倒産法の分野で論文を執筆しないかと誘われていたのですが、自分の学部時代の指導教授の専門は民訴でしたし、その民訴の指導教授に「何か書いてみないか?」と言われ、思わず自分の関心の持っているテーマを2つほどお話ししたら、いずれのテーマでもOKが出たので、片方をテーマとしてリサーチペーパーを書くことに決めました。
240人1学年で執筆するのは10人ほど。物好きだな俺。。。と思いつつも、誘って頂いたなら何か成果物として残そうと思いました。
テーマは
『類似必要的共同訴訟における当事者の手続関与権のグラデーション』
~債権者代位訴訟、人事訴訟、株主代表訴訟、株主総会決議取消訴訟、住民訴訟を素材に~
というものです。
訴訟というのは何も原告1人、被告1人というものだけではありません。
原告and/or被告が複数になることだっていくらでもあります。例えば、飛行機事故で多くの犠牲者が出た場合は、その遺族団体が原告となって訴訟を提起するとすれば原告は複数ということになります。
こういった訴訟を多数当事者訴訟と言い、通常共同訴訟という訴訟形態となります。
通常判決の効力は当事者間にしか及ばず、第三者に対して影響が出ることはありません。
したがって、各人が訴訟をバラバラに提起したとしても判決に矛盾は生じないことになります。
しかし、身分関係訴訟はどうでしょうか。
養子縁組が無効であることを理由に養子縁組無効確認訴訟を提起したとしましょう。
養子縁組関係は人事訴訟法で規律されており、判決の効力は当事者間の相対的なものではなく、訴訟に関与していない第三者にも効力が生ずることが規定されています。これを対世効と言います。
なぜ当事者以外の人にも判決効が及ぶのかと言えば、身分関係が相対的なものだと大変困るからです。
XとYとの関係ではZは養子であるが、他の人から見れば養子関係にないなんていうことは法律関係を複雑化してしまいます。
そこで、身分関係の安定という見地から誰に対しても判決効が及びます。
そうなるのどうでしょうか。
人事訴訟をX1が提起し、判決が確定すれば当然X2にも及びます。しかしX2も同時に訴訟を別に提起して判決が確定すればX1及びX2に及ぶ判決が矛盾抵触する可能性が出てきます。
判決の矛盾抵触を防止する見地から、一度訴訟を提起したならば共同訴訟の形態を採らなくてはいけない類型を類似必要的共同訴訟と言います。
サブタイトルに掲げた5つの訴訟はどれも争いはあるものがあるにせよ、複数の原告がいた場合は類似必要的共同訴訟となるものです。
この類似必要的共同訴訟の対になる形態として固有必要的共同訴訟というものがあるのですが、後者についてはいわゆる「色」が確定している感じがあるのですが、類似については訴訟類型によっては「色」の違いがあるのではないか、つまりグラデーションが観念できるのではないかというものがスタートです。
こうしたグラデーションが一定の解釈論に影響が出るのか?
そういったものを研究しようと言うものです。
1つは共同訴訟人のうち上訴しなかった者の地位についてです。
類似必要的共同訴訟であれば、民訴法40条1項という法律が適用されます。
これは合一確定の要請から共同訴訟人の行為の足並みを揃えるための規定なのですが、例えば一人が勝手に自白したとしても、その効力が生じることを認めないというものです。
そうでないと、足並みが揃わないからです。
もっとも、上訴行為というのは、より有利な判決を求めるものですから、有利な行為と言え、効力が生じるというのが一般的な説明です。
では、上訴しなかった者についてまで上訴人としての地位に就いてしまうのでしょうか?
ここが問題点です。
住民訴訟と株主代表訴訟については非上訴人、人事訴訟については上訴人とする判例が出ています。
住民訴訟・株主代表訴訟というのは、やや正確性が欠けた表現ではありますが、公共団体/株式会社が持っている損害賠償請求権を住民/株主が代表して代わりに行使するという性質を有するものです。
したがって、たくさん原告がいたとしても判断の中心となるのはその損害賠償請求権の成否であって、原告が何人いようが基本的に訴訟に影響がありません。
また、住民・株主たちは自分たちに直接お金などを請求することはできず、公共団体・会社に対して支払うよう求めることしかできないため、個別的利益には関係しない訴訟タイプでもあります。
こういった理由から非上訴人になるという結論となっています。
しかし、平成23年に人事訴訟において似たような事案についての決定では、上訴人となっています。
おそらく、住民訴訟・株主代表訴訟とは異なって直接身分関係に変動が生じるため、個別的利益に関わるため、手続関与権をより強く付与するために上訴人にしたのではないかと推察されます。
確かに、利益状況は住民訴訟等とは異なりますが、果たして上訴人で良いのか?特に養子縁組無効確認訴訟は確認の訴えであって、判決は無効か有効かであって、誰かが訴訟追行している以上、別に上訴しなかったものを上訴人にしなくても大して影響は出ないのではないかという疑問が生じます。
この当たりをもう少し研究しようと思っています。
大問題は債権者代位訴訟です。
債権者代位訴訟については、詳細は割愛しますが、訴訟の性質上、主文が原告債権者の数だけ必要になる訴訟ですので、上訴人にしないと不都合が生じるタイプなのではないかと思います。
したがって、上訴人にすべきと考える最たる類型ではないかと考えています。
続いて、共同訴訟人の一人が和解できるかについてです。
住民訴訟、人事訴訟については、条文・訴訟の性質より不可
決議取消訴訟では議論の実益があまりなし(片面的対世効ゆえ)
債権者代位訴訟は単独ではできそうだけど、共同訴訟人がいれば40条1項で牽制されてしまう。
一番悩ましいのは株主代表訴訟における株主の和解の可否です。
商法学者の説明からすれば株主に当該損害賠償請求権についての処分権がないため、和解する権限もないと主張します。
しかし、僕もこの立場ですが、一部の有力な民訴学者の見解は、訴訟担当としてあえて訴訟追行権限を認めている以上、和解を最善の方法と考える株主のチョイスを不当に制約することとなるため、和解は可能であるという考え方です。
しかし、共同訴訟人の株主がいれば、詐害的な和解をけん制する必要があって、40条1項により牽制可能ではないかと考えています。
色々述べて来ましたが、
・債権者代位訴訟
・人事訴訟
・株主代表訴訟
・株主総会決議取消訴訟
・住民訴訟
はどれも複数の原告で提起されれば、類似必要的共同訴訟という訴訟形態になることについては(ほぼ)争いがないが、それぞれの訴訟類型には「色」があって、その「色」を検討してから、一定の結論を導くべきではないかというメッセイジを込めたのが本稿の狙いです。
特に上訴しなかった者の地位については、従前
住民訴訟・株主代表訴訟のみが例外
という取り扱いがされてきましたが、果たしてそうであろうか?
人事訴訟についても非上訴人とする余地は十分にあるのではないか?
従来の原則・例外というアプローチを一度壊し、類型別に考えるという視点を構築していくというのが著者(KF)なりのメッセージです。
まだまだ理論的に甘いところが多い駄作ではありますが、指導教授からの助言も頂きつつ修正して、論文を提出したいと思っています。
今日は商法のO野谷先生と2時間ほど面談。
民訴と商法がクロスオーバーする部分を質問していました。
その後、O野谷先生が夕食を誘ってくださり、ご一緒して参りました!!
僕が尊敬して止まない実務家教員のO野谷先生です!
素晴らしい実務家であり素晴らしい教育者です。
先生、ご馳走様でした!
明日の中間報告に備えようと思います。
では頑張りましょう!!