かきそめ
「おしっこぉ!」
急行電車の満員の車内で切羽詰った声を張上げる男の子
通路には隙間なく人が溢れ子供ですら通れそうにない
父親は難しい顔をして天井を見上げ
おろおろと母親は男の子を抱いたままあちこち見ていたが…
「すみません」
恐る恐る隣に立っていた男性に声をかけてみた
「この子をトイレまで行かせたいので…お願いできますか?」
「ああ、いいともいいとも」
と母親から男の子を抱き上げそのまた隣に立っていた男性に
「この子を…」
「おう、聞こえてたよ。」
「おい、この子をトイレまで頼むよ」
次から次にリレーされて、デッキに下ろされた男の子はトイレに駆け込みました
「おじちゃん、ありがとう!!」
「ははは、ぼうず、ちゃんとお礼言えるなんて偉いな、いくつだ?」
「えっと、みっつ」
「そうか、偉いな。今お父さんとお母さんのとこに連れてってやるからな・・・よっと」
今度はさっきと逆にリレーされていきます
男の子は余裕が出てきたのかキャッキャとはしゃいでいます
リレーした大人達もなんだか楽しそうです
嬉しそうな顔をして帰って来た男の子を抱えて、母親は何度も何度もお礼を言いました
「すみません、ありがとうございました」
「ええよ、ええよ、困った時はお互い様さ」
「助かりました。」
父親もはにかみながらお礼を言っています。
・・・と
「おしっこおおおお!!」
「今行ったばかりだろ!」
「でも、おしっこお!!!」
「味をしめたな」
と笑いながら隣のおじさんが男の子を抱えて
「もういっかい頼むよ」
「ああ、いいよ、ほらよ」
ごっきげんな男の子をデッキまでリレーして、
すぐにまた両親の元に戻されました
「すみません、、、お調子もので、、、」
「いいってことよ、退屈しのぎになったよ、なぁ」
「ああ、博多からずっと立ちっぱなしで退屈しとったけん、よかよ」
「どちらまでですか?」
「はぁ、いずみに……鹿児島の出水に親兄弟がおりますので、こいつの顔を見せに…」
「ああ、鶴の飛んでくる出水ですか。私は水俣ですが1度行ったことがありますよ」
「そうですか、あ、もう着くみたいですね、お気をつけて。」
「それでは」
「ありがとうございました」
「いえいえ、またご縁がありましたら。ぼく、バイバイ」
「おじちゃん、ありがとう! バイバイ!」
・・・大昔のことです
すっかり忘れていましたが、新年に書初めをと思い立ち
「初日の出」「新年」と書いて、
ふと「鶴と亀」が浮かび「鶴」と書いた途端に
おやじの田舎で過ごした子供の頃を思い出しました
そして、おふくろに聞いた恥ずかしい話も・・・
おやじの何度かの帰鹿に小学1年まではついて行きましたが
それ以来何年も鹿児島には足を運んでいません
鍋鶴・真鶴たちは、いまでも出水を訪れているのでしょうか?
懐かしさと共に色々な想いが込み上げてきます
急行電車の満員の車内で切羽詰った声を張上げる男の子
通路には隙間なく人が溢れ子供ですら通れそうにない
父親は難しい顔をして天井を見上げ
おろおろと母親は男の子を抱いたままあちこち見ていたが…
「すみません」
恐る恐る隣に立っていた男性に声をかけてみた
「この子をトイレまで行かせたいので…お願いできますか?」
「ああ、いいともいいとも」
と母親から男の子を抱き上げそのまた隣に立っていた男性に
「この子を…」
「おう、聞こえてたよ。」
「おい、この子をトイレまで頼むよ」
次から次にリレーされて、デッキに下ろされた男の子はトイレに駆け込みました
「おじちゃん、ありがとう!!」
「ははは、ぼうず、ちゃんとお礼言えるなんて偉いな、いくつだ?」
「えっと、みっつ」
「そうか、偉いな。今お父さんとお母さんのとこに連れてってやるからな・・・よっと」
今度はさっきと逆にリレーされていきます
男の子は余裕が出てきたのかキャッキャとはしゃいでいます
リレーした大人達もなんだか楽しそうです
嬉しそうな顔をして帰って来た男の子を抱えて、母親は何度も何度もお礼を言いました
「すみません、ありがとうございました」
「ええよ、ええよ、困った時はお互い様さ」
「助かりました。」
父親もはにかみながらお礼を言っています。
・・・と
「おしっこおおおお!!」
「今行ったばかりだろ!」
「でも、おしっこお!!!」
「味をしめたな」
と笑いながら隣のおじさんが男の子を抱えて
「もういっかい頼むよ」
「ああ、いいよ、ほらよ」
ごっきげんな男の子をデッキまでリレーして、
すぐにまた両親の元に戻されました
「すみません、、、お調子もので、、、」
「いいってことよ、退屈しのぎになったよ、なぁ」
「ああ、博多からずっと立ちっぱなしで退屈しとったけん、よかよ」
「どちらまでですか?」
「はぁ、いずみに……鹿児島の出水に親兄弟がおりますので、こいつの顔を見せに…」
「ああ、鶴の飛んでくる出水ですか。私は水俣ですが1度行ったことがありますよ」
「そうですか、あ、もう着くみたいですね、お気をつけて。」
「それでは」
「ありがとうございました」
「いえいえ、またご縁がありましたら。ぼく、バイバイ」
「おじちゃん、ありがとう! バイバイ!」
・・・大昔のことです
すっかり忘れていましたが、新年に書初めをと思い立ち
「初日の出」「新年」と書いて、
ふと「鶴と亀」が浮かび「鶴」と書いた途端に
おやじの田舎で過ごした子供の頃を思い出しました
そして、おふくろに聞いた恥ずかしい話も・・・
おやじの何度かの帰鹿に小学1年まではついて行きましたが
それ以来何年も鹿児島には足を運んでいません
鍋鶴・真鶴たちは、いまでも出水を訪れているのでしょうか?
懐かしさと共に色々な想いが込み上げてきます