政治系の切り取り動画は、制作者の思想が強く出ている。a | barsoのブログ

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 今回の都知事選で気になったのは「切り取り動画」の特に見方だ。
 各候補者にはアンチとシンパ(ファン)がいて、ネットで対立した構図が目立ったが、それ自体は思想と言論の自由があるので問題はない。

 従来からよくある問題は誰かの発言の一部を切り取り、事実でないことを事実のように見せる動画があることだが、今回特に大きな問題だと思ったのは、それらの流布された「切り取り動画」を見ただけで(ウラを取らず)、これはこうだああだと真面目に論評している動画が左系にも保守系にもあったことだ。

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 わたしがよく見ている著名なYouTube番組の中にも、そんな二次情報を見ただけで自分の見解を真面目に論じている人がいたので、ああ、ブルータス、お前もかと思わせられた。

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 そんな間違った論評がされている原因は三つある。
 1)情報源をまったく確認してない不勉強
 「ある人がこんな酷いことを発言した」と批判し、中には「性格はこうだ」と精神分析する言論人もいたが、実際に情報源に当たったら、そんな発言はされてなかった、あるいは文脈ではそういう趣旨ではなかったという事例がけっこうあった。

 2)他者の発言や公けの情報を捻じ曲げる悪意
 特定の個人に対してやたら悪口を言っている割合著名なYouTubeがあったが、嘘の数字を根拠にしていたので、私が官庁発行のデータを挙げて指摘したら、訂正するどころか、その動画を「メンバー限定」にして見えなくされたこともあった。

 3)文脈が読めない読解力不足
 質問者が「まだ答えてもらってない」と言って同じ質問を何度も繰り返したが、実際にはその質問の答えは直前に同席者に対してすでに述べられていたという場合もあった。しかしその切り抜き動画は「※初めての質問なので堂々巡りではない」と注釈を入れていた。つまり文字起こしに嘘か、読解力不足かがあったのだ。
 ただ、その回答者について、「漠然とした質問の意味が分からない。それを文脈から推測できないASDだ」と分析する人もいた。


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 堀江貴文氏と百田尚樹氏が対談で、読解力不足について述べている。
 「けっこうな人が文字は読めてるけど、文章として読めてない」
 「反語的表現が伝わらないで、そのまま受け取る人がいる」
  https://www.youtube.com/watch?v=ntspQozmHug&t=11s#t=75


 ただし、私の見た限りでは『アベプラ』の司会者・平石直之氏は非常に有能で、ポイントを突いた質問を瞬時にし、出演者の意見を中立公平に扱っていたので感心させられた。 https://www.youtube.com/watch?v=xoHIb5Os9Kc

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 視点や思想が違えば、事実とは違う景色が見えてくる。
 人物を善と悪かで切ったり、あるいは好きか嫌いか、右か左かで見る人もいる。
 私の規準は、反日(媚中親韓)でなく、日本人の幸福を第一に考えている人であれば、左・右の思想の多少の違いは(方法論の違いだから)許容できるほうだが、虚偽や捏造、不正をする人は別で、これは論外だ。

 石丸伸二氏は選挙中に「反日!」と罵られ、「はて、反日の日本人がいるのか?と一瞬考えた」と述べていたが、これにはちょっと驚かされた。どうやら氏は、反日の日本人については現状認識が弱いようだ。また氏は「恥を知れ」「ゲスの勘繰りだ」などときつい言い方をするが、それで過去はウケても、今はいい結果を生まないことに気づいてないようなのも気になる。

 今回の都知事選も大きな支持組織が付いた候補者が「数の原理」で選ばれたが、それはまあ、確かに「都民の意識が可視化された」ということでもあった。これから小池都政が良くなるかどうかは都民の責任になったのだろう。


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 そのようなわけで、このたびは、ネットの「切り取り動画」はつくづく要注意だなあと痛感した次第です―――がしかし、YouTubeは有用で、面白いものですね。



※風刺画の作者はDavid Suter氏(1949年生まれ)。長年、ワシントン・ポスト、タイム、ニューヨーク・タイムズなどの社説イラストを制作したアメリカのアーティスト。