1月3日に花組公演「うたかたの恋/Enchantement」の15時半公演を観劇しました。この日は、小林一三先生のお誕生日!1月3日生まれなので一三というお名前だったことを知ったのは、公式HP上のニュースを見た時でした。今年は小林一三先生の生誕150周年に当たる記念の年なので、この日に上演される公演の終了後にスペシャルカーテンコールがある、ということが2日前に公式HP上で発表されました。観劇会の日程はアンケートによって決めたので、この特別なイベントに遭遇する日に観劇をすることになるとは想像もしていなかったのですが、とてもラッキーな巡りあわせでした!

 

今回の演目の「うたかたの恋」は何度も繰り返し上演されている宝塚歌劇の名作ですが、ところどころちょっと古臭い感じがして、セリフや場面の中には、赤面するような恥ずかしい場面があったりしましたが、今回、小柳先生によってリニューアルされた脚本は、ルドルフの苦悩や追い詰められていく状況が説得力を持って描かれていて、ルドルフとマリーの束の間の純粋な愛が美しく心に迫ってきました。お衣装やセットも豪華で、大劇場公演ならではの圧倒的な人数で上演される舞踏会のシーンや大階段を使った演出など、本当に「これぞ、宝塚歌劇の王道!」と言いたくなる素晴らしい作品になっていました!

 

なによりも強調したいのはれいちゃんのかっこ良さです!赤いじゅうたんが敷き詰められた大階段に登場する白い軍服姿のれいちゃんは、まさに王子様!!れいちゃんが動くたびに、かっこいい王子様のオーラがふりまかれて、見る者全てをれいちゃんの沼に引きずり込みます!そして登場する度にかっこいいデザインの軍服を何着も着替えるれいちゃん・・・!!そして、これまでのルドルフとは違って、リーゼントで固めたヘアスタイルではなく、さらさらの前髪がふわっと動くのが、これまで見た事がなかった新しいルドルフの髪型で、これもまた素敵でした!

 

れいちゃんの表情にも注目です。今回のルドルフは、理想に燃えた若い皇太子が、両親や側近からの理解を得られず、政治的に追い詰められて苦悩する様子が強調されて描かれていました。今回は、マイヤーリンクの山小屋でかくれんぼや鬼ごっこや狼ごっこをする余裕はない真面目に悩むルドルフ・・・。マリーとの悲劇的な最後のシーンも、追い詰められたルドルフが、最終的に選ばざるを得なかった結末として、説得力をもって描かれていました。ルドルフとマリーの純粋な心の結びつきが、これまで以上に強調されて見えました。先日、映画館で見たロイヤルバレエ団の「マイヤーリンク」の、最初から最後までずっと苦悩しつづけるルドルフの描き方に似ていたように思いました。れいちゃんの表情には、最後に二人が亡くなった後、白い衣装で登場するウェディングドレス姿のマリーを見つめて抱きしめるシーンまで、明るい笑顔が封印されていました。れいちゃんの繊細なお芝居と役作りの研究は凄い、と思いました。そして、「ルドルフが大好き!」というルドルフの熱狂的なファンのようなまどかちゃんの初々しいマリーも、とても自然な演技で可愛かったです。お衣装も一新されて、優雅でとても素敵なドレスばかりでした。

 

そして、今回は、フランツ・フェルディナンドのひとこちゃんの役がかなり膨らまされていて、登場シーンやセリフも多く、最後にルドルフが追い詰められていく場面では、お話のキーパーソンとなる役割を果たしていました。死を決意したれいちゃんのルドルフが、「ハプスブルグは君に任せた」とフェルディナンドのひとこちゃんに最後に言ったセリフは、なんだか意味深な感じもしましたが・・・。

 

世界史で習ったとおり、第一次世界大戦の発端になった「サラエボ事件」で暗殺されたのはひとこちゃん演じるフェルディナンドです。結局、ハプスブルグ家によるヨーロッパ支配はこれで解体してしまうことになるのですが、やっぱり、トート閣下に愛されてしまったエリザベートのハプスブルグ家は、こういう結末を迎えてしまうことになるのですね。トート閣下のパワー、恐るべしです。

 

そして、ショーの「Enchantement」も優雅で上品で宝塚らしい豪華さもあって、とても素晴らしいショーでした。お芝居で封印されていたれいちゃんの明るいキャラクターが、一気にショーで弾けたという感じでした。「TOP HAT」のれいちゃんを思い出すようなニューヨークのダンスシーンや、中詰めでの客席参加型のシーンも華やかでゴージャスで素敵でした。退団者への愛を感じるシーンや、歌が上手な生徒さんが影ソロに抜擢されるなど、野口先生の生徒に対する愛を感じました。歌もラベルやドビュッシーの曲がつかわれていたり、聴き馴染みのあるミュージカルやジャズのナンバーも多く使われていて、安心して見ていることができました。

 

前作の「Jaguar Beat!」が、極彩色&鳴り響くリズムと音楽&ギラギラしすぎるライティングというカオス状態の世界観だったので、刺激が強すぎたことへの反動的な反応なのかもしれませんが、やっぱり私はこちらの方が宝塚らしくて好きかな・・と思いました。野口先生のショーは全て大好きなで、また一つ、大好きなショーが増えました。

 

客席参加型の演出はとても楽しかったです!お隣の友人が2つ保有しているお扇子の一つを貸してくれて、わたしも振り付けに参加させていただきました!簡単そうに見えて難しかったので、舞台の生徒さんのお手本どおりにはいかなかったのですが、楽しかったです!スカイステージを見て振り付けを予習してこなかったことをちょっと後悔しました。

 

 

「うたかたの恋」も「Enchantement」もどちらも優雅でゴージャスですべてが美しい世界の中で繰り広げられる大満足のお正月公演!宝塚ファンで良かった!とあらためて思いました。特に「うたかたの恋」は、れいちゃんとまどちゃんのトップコンビの代表作になるのではないかと思いました。このような素晴らしい作品の前では、先日の忌まわしいスキャンダルがすべてかき消されてしまったような気がします。美しい作品の持つ力が、醜悪なスキャンダルを完全に駆逐したという感じです。宝塚歌劇団にとんでもない演出家がいたことは残念極まりないことですが、それ以上に、小柳先生や野口先生のような、素晴らしい才能を持った若手の演出家も宝塚歌劇団に在籍し、生徒への愛に溢れる素晴らしい作品を見せてくださっているということに、宝塚ファンとしては救われた気持ちになりました。

 

そして、この日は冒頭にも書きましたが、小林一三先生の150回目のお誕生日ということで、スペシャルカーテンコールがありました。宝塚ファンとして、宝塚歌劇団の記念すべき素晴らしい日に立ち会うことができたということを大変嬉しく思いました。天国の小林先生も、先日のスキャンダル報道には心を痛められたことと思いますが、このお正月の素晴らしい公演を天国からご覧になり、出演者全員による「宝塚歌劇団団歌」と「すみれの花咲くころ」の2曲の合唱を聞かれて、安心されたのではないかと思います。年明けから素晴らしい作品を観劇できて、素敵なイベントにも遭遇することができたことに感謝です。今年も宝塚歌劇を愛し、生徒さんたちの頑張りをこれまで以上に応援したいと思った一日でした.