年の瀬も押し迫り、今年一年をゆっくり振り返る時間もないまま、あわただしい日々を過ごしています。そんな中、来年の宝塚の公演ラインアップが次々と発表され、頭の中が追い付かない状況になっています。

 

まずはクリスマスを目前に控えた12月22日、花組の公演ラインアップが発表されました。公演のタイトルは「鴛鴦歌合戦(おしどりうたがっせん)」。和物です!小柳先生が演出を担当され、日活の映画作品を舞台化した作品として上演されることがわかりました。小柳先生は映画を舞台化されることが得意な先生です。「シャル・ウイ・ダンス」「幕末太陽伝」と、雪組での上演が続きましたが、今年の年明けには月組が「今夜ロマンス劇場で」が上演されました。どの作品も素晴らしかったと思います。映画を舞台化するのは小柳先生の得意分野のようです。多くの映画作品の中から、舞台化するのにふさわしい作品を選ぶ慧眼は素晴らしいと思っていました。

 

でも、「鴛鴦歌合戦」って・・・・。日活の娯楽映画が原作とのこと。長屋住まいの貧しい浪人と隣に住む町娘のラブストーリーを中心に、いろいろなキャラクターが出てくる人情物の作品のようです。吉本新喜劇の江戸時代版ような感じなのでしょうか。解説に、「日本映画史にその名を刻む傑作オペレッタ喜劇」という説明がありましたが、オペレッタということは作品がほぼ歌で構成されるということになります。そして、「歌合戦」というタイトルから、れいちゃんとまどかちゃんが歌でバトルをするシーンがある、ということも想像できます。れいちゃんはダンサーです。ダンサーのれいちゃんが歌姫のまどかちゃんとバトルをしたら、その結果は・・・。でもれいちゃんはトップになってから歌唱力がどんどんアップしてきていますので、まどかちゃんを歌で打ち負かすことができるかもしれませんが、ファンが望んでいるのはれいちゃんの華麗なダンスシーンです。和服を着た浪人のれいちゃんが、かっこいいダンスを見せてくれるシーンはあるのでしょうか。

 

考えれば考えるほど、謎が深まる今回の作品・・・・。小柳先生は「はいからさんが通る」でれいちゃんのかっこ良さを最大限に引き出してくださった先生です。小柳先生を信じて、れいちゃんの新たなかっこいい一面を見ることが出来る作品であることを期待したいと思います。

 

そして、間もなく初日を迎える花組公演の「うたかたの恋」も小柳先生の演出作品です。花組の大劇場公演は、小柳先生の作品が2作品続くことになります。

 

でも・・・。

 

お正月に皇太子ルドルフだったれいちゃんが、次回の作品では江戸の長屋に住む貧しい浪人になるなんて・・。

 

まるでジェットコースターのような展開です。この意表を突くラインアップは話題性も考えた宝塚歌劇団と小柳先生による演出なのかもしれませんが、れいちゃんを応援するファンの一人としては、ギャップを緩和させるためにも、皇太子と貧しい浪人の間に相当するようなキャラクターを挟んで欲しかった…と思います。

 

「鴛鴦歌合戦」のれいちゃんは、浪人という設定なので、武士の定番のヘアスタイルの「青天」ではないことは救いなのですが、お衣装は鼠色系とか黒系の地味な感じで、足元は裸足にぞうり・・・。れいちゃんは、どんなお衣装でもかっこよく着こなして、どんな髪型のかつらでもかっこよくかぶりこなしてくれると信じているのですが、日活映画が原作になっているので、髪型もお衣装も時代考証的に正しく再現された江戸時代の浪人の姿なのだと思います。同じ和物でも、谷貴矢先生演出の「元禄バロックロック」の時ように、自由な発想のキラキラしたお衣装でないことは確実なのではないかと思います。

 

ショーは「Grand Mirage!」というタイトルで岡田先生が演出をされるロマンチックレビューシリーズの作品です。作品解説に「柚香光を中心とした花組のダンスの魅力に迫るヴァイタリティ―溢れる場面等を展開」と書いてありましたので、れいちゃんのかっこいいダンスのシーンのシーンは、ショーでたくさん見ることができると思います!

 

そして、この花組ラインアップ発表の衝撃が冷めやらぬ翌日の23日、月組の6月の外箱公演が発表されました!「れいこちゃんと海ちゃん主演による「Death Takes a Holiday」というミュージカル作品と、礼華はるくん主演のバウホール公演「月の燈影」です。

 

 

 

 

れいこちゃんのミュージカルは死神と令嬢の愛の物語のようです。エリザベートのミニ版みたいな感じの作品なのでしょうか、興味深々です!そして、わたしが注目している月組の若手男役のホープ、礼華はるくんがついにバウ公演の主演に抜擢されたことも嬉しいニュースでした。この作品は、同じタイトルで彩吹真央さんと蘭寿とむさんによって上演された作品をアレンジした作品のようです。桜嵐記の新人公演で珠様の役を演じた礼華はるくんは和物のメークがとてもよくにあっていて、凛々しい若武者だったので、和物の作品はぴったりだと思います。こちらも、「鴛鴦歌合戦」のような江戸時代の下町の人情物語がベースになっているようですが、2月から4月まで宝塚と東京で「応天の門」が上演され、6月にはバウホールで「月の燈影」が上演されます。7月~10月まで宝塚と東京で「鴛鴦歌合戦」が上演されるということは、宝塚では6月から連続で江戸時代の和物が上演されることになります。

 

 

 

 

そして、昨日、また新たに8月から11月まで上演される月組の本公演の演目の発表がありました。「フリューゲルー君がくれた翼」という齋藤先生の東西ドイツの分裂時代を背景にした作品と、「万華鏡百景色」という町田先生の大劇場公演デビュー作のショー作品です。町田先生のショーの解説を読むと「東京・・・それは玉響の人生が煌く街。幾万の人生が交わる街。江戸・明治・昭和・平成・令和と、刻一刻と景色を変えてきた万華鏡のごとき街”東京”を舞台に、そこで生きてきた人々の様々なドラマを映し出す現代的かつレトロなレヴュー作品」とありました。和物をベースにしたショー作品ということなのだと思います。

 

和物のショーと言えばチョンパで始まる植田先生の日本舞踊チックな作品が時々上演されますが、今回の町田先生のショーは、またちょっと違うイメージの作品のようです。でも、わたしが気になったのは、この月組公演のショーを入れると、6月の月組バウ公演「月の燈影」から、7月~10月までの宝塚と東京での花組公演「鴛鴦歌合戦」を経て、8月~11月の月組の宝塚と東京での「万華鏡百景色」まで、宝塚では、和物作品が6カ月間連続で上演されることです。さらに言えば、2月~4月末まで月組は宝塚と東京で「応天の門」を上演するので、月組は2月から9月まで、5月の1か月間を除いて、和物の作品を上演し続けるということになります。来年の月組は「和物の月組」になりそうです!

 

そして、宝塚全体でみると、2月に宝塚大劇場の「応天の門」で始まった和物シリーズは、10月~11月の東京宝塚劇場「万華鏡百景色」まで、5月のバウホール公演「舞姫」(「舞姫」は日本の純文学!森鴎外の作品で主人公は日本人です!和物と言えば和物です)を含めると、2023年の2月から11月まで、宝塚歌劇団では毎月どこかの劇場で和物を上演している、ということになります。これって、珍しいことなのではないかと思いました。

 

 

 

宝塚歌劇団ファンとしては、いつも歌劇団には人事予想で意表をつかれることが多いのですが、今回発表された公演ラインアップにはびっくりしました。でも、この驚きがワクワク感に繋がっていることも事実・・・。年末年始も油断は大敵。宝塚歌劇団が発信するニュースから目が離せません!