1960年代後半、世界のカメラ事情はもう日本のメーカーの台頭で主流となるように。

だが光学界の巨星カール・ツァイス(当時西ドイツ)はそれを阻止すべくコンタレックスという怪物のようなカメラを完成させた。

それは最高の光学技術とメカで武装したとてつもないシステムカメラで、当時日本(大卒の初任給が5万位)ではボディだけでも50万を超えるという怒涛の代物であった。

コンタレックス・スペシャル、。超弩級のカメラ、、。 | redtylerのブログ (ameblo.jp)

 

ただ同時期に発売されているニコンFと比べると自動絞りが巻き上げないと作動しないとかシャッターショック等追いついていない部分も多々あった。

ファイルムバック交換式など凝りに凝ったボディは重く機動性にも問題が。

しかもこの価格では如何にレンズが優れていても到底日本製カメラに太刀打ちできるものではなく、世界は報道のプロ関係が次々と採用するにつけニコンFに傾倒していくことになるのです。

 

このイカレックスはそんな中、同西ドイツの同光学メーカーであるフォクトレンダーとボディを共同開発し、日本の普及帯であるアサヒペンタックスやミノルタSR等に対抗すべく開発されたカメラだ。

 

発売当初はシステムカメラを引きずってファインダー交換式と凝った構造だったのが、このSになって固定式となり。

それまでの独特なバヨネットマウント(BM、バヨネットマウント略)とは別に、汎用性の高いM42マウント(TM、スレッショルドマウント略)も並行発売された。

 

 

私のは42マウントのTMです、この規格のレンズは当時各社から多数発売されていたから。

通例として同じものを2台揃えます、それは各々違うレンズを装着してレンズ交換によるチャンス逃しをなくすためだ。

程度もよく傷らしいものも無くてファインダーも多少ごみの混入もあるがクリア。

電池室の腐食もなく作動も精度もそこそこ出ているようで快調だ。

 

 

片方には29ミリレンズを装着。

これは私の標準レンズで(実際は28ミリ)、写真を撮るときに私がまずカメラを持たず頭で作画する時の画角です。

使用しているレンズはペンタコンというメーカー。

これは何と東ドイツ製のレンズである、発売当時はまだ東西に分離されていた、なのでレンズは東ボディは西と東西ドイツの合体だ。

 

 

ペンタコンというメーカーは、というか当時東ドイツは共産主義なので国営のペンタコン公社だが。

実はいくつかの光学企業を統合した公社で、主にカメラ&キノゲルゲ(元カールツァイス・イエナ戦後東西に分離したカールツァイスの東側)とメイヤー・オプテック・ゴルリッツ、エキザクタのイハゲー等数社が合体吸収されて設立された。

この29ミリ、中途半端な焦点距離だがこれでメイヤー製のオレストンが元となっているのが解る。

メイヤー時代から定評のあるレンズで、このペンタコンになってからコーティングがマルチコートになり鏡胴の内面反射も抑えてより性能を上げた仕様になったので購入。

electricとあるのはペンタコンのプラクチナTLというカメラに使うと絞値をボディへ伝達可能でTTL解放測光が出来る。

それ以外のカメラに付けても接点はスプリングで引っ込むので支障なく使えますが、一部固定用のノッチが付いたボディに付けると外せなくなるので注意は必要ですね。

実際良く写るのに価格が1万前後と格安なのも理由だ。

 

 

もう一台にはこれもペンタコンの50ミf1.8と明るいレンズを付けています。

 

 

こちらも元はやはりメイヤー製のオレストンだ、これもマルチコートされており開放からのボケもきれいで定評通りの写りで全く破綻は無い。

こちらは1万以内で程度の良いものが購入できる。

 

この1960年代後半では、まだまだ日本製のレンズは高額な一部を除きドイツ製のレンズには及んでいないというのを実感しますよー。

特にカラーの色再現です、当時はあのニッコールをもってしても及ばない。60年代の日本製レンズはシャープに映るがカラーバランスが成って無いんですね(これが味とする向きもあるが)。

特にツァイスは戦前のレンズでさえコクのあるしっかりとした色再現をします。

ちょっと誇張気味でさえあるそのころのレンズはそれが魅力にさえなっていますよね。

 

風と共に去りぬ、という映画ご存じですよね、ビビアン・リー主演のあの映画はカラー(総天然色なんて言ってた)ですが戦前なんですよー。

コダックが開発したコダクロームというフィルムで作られた、このフィルムは35ミリなので当然カメラにも使用される。つまりは戦前からカラー映像に関する知見はすでにツァイスは持っていたわけですね。

 

 

この直線基本なスタイル、カメラ好きなら何か気が付きませんか。

この後ツァイスはカメラ本体の製作をやめ、何とヤシカ(現京セラ)と組んでヤシカがボディを、レンズをツァイスが作るコンタックスを再現する(後にレンズも設計はツァイスだが日本の富岡光学製になる)。

 

その最上位機種であるRTSは正に軍艦部はこのイカレックス35Sの基本ラインをそのまま引き継ぐデザインで登場した。

ヤシカ/ツァイスのコンタックスのスタイルはポルシェ・デザイングループによるものなのだが。

このラインは秀逸という事で引き継がれたのではないでしょうか。

 

軍艦部全面に貼られたIcarex35Sのロゴも、アルフォトというアルミ材にアルマイト加工で写真印字するという当時最先端な技術で作られています。

TTLは解放測光ではないものの自動絞りでアイピースシャッターも完備し、シャッタースピードもファインダーに表示され、専用レンズを装着すれば光学的にレンズの絞り値も読めると。

何よりファインダーのスプリットイメージが2段で老眼でも合わせやすい。

これに関してはF4のスクリーンに変えているニコンF FTNよりも上で、こちらの方が軽く(それでも重いが)機動性は高いか。

 

 

 

何時持ち出せるかは、、、なんですが。

メインはやはり使いたいレンズがそろっているニコンFだが。

ニコンF、FTN、。いつの間にか増殖してる、、。 | redtylerのブログ (ameblo.jp)

 

気軽に持ち出せるこちらもフィルム楽しむ時の良き相棒になってもらう事に致しましょうね。