原子力のカタチ | ランニングとフライトシミュと・・・♌スフィンクスのホロスコープ☄

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星好きな市民ランナー 兼 バーチャル・パイロットの日記、フィクション、タワゴト、ちょこっとボランティア

ブログへのご訪問、
誠にありがとうございます。
更新の頻度が少なく、申し訳ありません。

広島サミットも終わりましたが、核兵器
廃絶への道のりはアメリカが積極的に
発言しないこともあり、まだまだほど遠い
感じですね。

ところで、核エネルギーについてどのくらい
理解されていますでしょうか?
私自身、よくわかっていませんので、
ここらへんで1度整理してみようと思い
ます。


●核エネルギーとは


「原子核の変換や核反応に伴って放出
される多量のエネルギーのこと 、または
そのエネルギーを兵器や動力源に利用
すること」(ウイキペディアより)

であり、「原子力」とも言われます。

人類がこれを利用するきっかけとなった
あまりにも有名な数式

   E=mc²

E:エネルギー、m:質量、c:光速

アインシュタインは、質量とエネルギーの
等価性を証明し、この数式を導きました。

その後ドイツのオットー・ハーンにより原子
核分裂が発見され、それが
リーゼ・マイトナーによって核分裂反応と
確認されました。

そして、原子力は皮肉にも「戦争」に
よって利用技術が開発されたのです。

それでは、
アインシュタインが作ったこの数式を
使って、
実際に計算してみましょう。

驚きの数字がでてきます!


例えば、
1gの物質が持つエネルギーは、

Eの単位は”ジュール”(J)
質量mの単位をkg、
光速cを3×10の8乗mとすると、


J=0.001kg×9の16乗で、
答えは90兆ジュール(J)となり、

東京ドームに0℃の水を満タンに入れて
沸騰させるほどのエネルギーになります。

これを
私たちになじみのある”カロリー”に換算
すると、

1カロリーは約4.2ジュールですので、
約21兆カロリー=210億キロカロリー

1万人分の消費カロリーでどれだけ分
になるか計算すると、
1日1人2500キロカロリー消費と
すると、
210億/2500万=840日

となります。

つまり、1万人の人間を
2年2か月半こき使う(笑)
エネルギーとなります!

また、TNT火薬に換算すると、
1TNT換算トン = 10の9乗カロリー
ですので、

21兆/10の9乗=21000トン
   ↓
TNT火薬21キロトン これは、
長崎型原爆と同じということです。


わずか 1円玉1枚の質量で!?

と言っても、日常生活ではピンときません。

重たい車を走らせても莫大なエネルギー
は発生しません。

さわやかに風を切るくらいなものです。

上述の数式が意味を持つのは、物質が
この世から消えてその分の質量がなくなる
場合です。


現在では、2種類の反応でそれが起きる
ことがわかっています。
核分裂反応と核融合反応です。

この反応により原子核の素粒子レベル
での反応が起き、もとの元素から違う元素
や同位体が生まれることにより「質量欠損」
が生じ、消えた質量から膨大な熱エネルギー
が放出されます。




●核分裂反応

(1)ウラン原爆

人類が初めて使用した、「リトルボーイ」という
名の核兵器広島型原爆。

核分裂を起こしやすい、ウランを使ったもので、
”ウラン235”を85%、”ウラン238”を15%
という含有率です。

235と238の数字は原子核の陽子と
中性子を合わせた「質量数」というものです。

陽子数はともに92個であり、これがウラン
という元素の種類を決めています。残りの
中性子の数が3個ちがうということで、
235の方が核分裂を起こしやすく、
238の方はあまり分裂しにくいもので、
このように同じ元素で中性子の数が違うもの
を「同位体」と呼びます。

自然にあるウランは235の含有率がたった
の0.7%しかありません。

核分裂反応を起こすには、235の比率を
遠心分離機を使って高める必要があります。

核兵器の場合は85%以上。
原子力発電所の場合は5%です。

これを「濃縮」と言い、これを進めているテロ
国家を警戒しているわけです。


(2)臨界と超臨界

核分裂反応は、一つのウラン原子核に中性
子をあてることによって始まり、他のウラン原子
核に中性子があたっていくことによって連鎖が
広がりますが、反応速度が原子1個から
1個へとひとつずつ連鎖していくものを
「臨界」と呼びます。原発はそのように調節
して、ゆっくり反応させていきます。

一方原爆は、1個の原子から2個、2個
から4個と、倍倍に連鎖反応を起こします。
これを「超臨界」と呼びます。

80世代の反応が、わずか数百万分の1
秒で起こります。

猛スピードで質量が失われていき、温度は
数百万℃から、わずかの間は宇宙が誕生
した瞬間の温度まで上がると言います。


臨界と超臨界


from:https://www.s-yamaga.jp/kankyo/kankyo-genpatsu-1.htm


(3)プルトニウム原爆

爆弾の話の前に、プルトニウムは原子力発
電所の原子炉の中で生まれます。
(天然にはほとんどありません。)

原発は5%のウラン235と95%の

ウラン238で運転しています。

核分裂を起こすのは235の方です。

235が分裂して中性子が飛び出し、
238の原子核に飛び込むと、
中性子数が一つ多いウラン239ができます。

ウラン239は不安定で、すぐに電子を放出
(ベータ崩壊)します。

そうすると、負の電荷をもつ電子が減ることで、
一つの中性子が正の電荷を持つ核子、
すなわち陽子に変化します。

すると原子番号が92からひとつ増えて、
93=ネプツニウム239という名の元素に
変わります。

このネプツニウム239も不安定で、2日も
たつと、再びベータ崩壊を起こします。

かくして、質量数はそのままで、原子番号が
ひとつ上がったプルトニウム239ができあがり
ます。

このように、原発を運転すればするほど、
ジャンジャン、プルトニウムができていきます。

アメリカは、原爆を開発したときに、すでに
これがわかっていたので、プルトニウム原爆を
同時につくりました。

天然ウランから濃縮して原爆を作るよりも
てっとり早く、費用もかからずに済むからです。

これが長崎に落とされた「ファットマン」という
名の原爆です。

ウラン爆弾は、臨界質量以下の2つの固まり
を砲身型の装置で発射してくっつけることで
超臨界を起こすという、構造的には簡単な
ものですが、

プルトニウム爆弾は、中心に詰めたプルトニウム
に正確に一気に火薬などで圧力をかける、
爆縮型と呼ばれる構造であるため、
これを作るために、天才科学者フォン・ノイマン
博士をもってしても、その設計に10か月も
かかったそうです。

ファットマンに使われたプルトニウムの重さは
6キログラムですが、核分裂を起こしたのは、
そのうち約1キログラムと言われています。

そのエネルギーは、TNT換算21キロトン
です。

その原因は、
1キログラムが消失したということではありま
せん。

プルトニウムは分裂しながら、陽子数の違う
ヨウ素やセシウムなどの元素に改名しながら
飛散していきます。

その分裂後の物質や出ていった中性子など
を仮にかき集めて重さを計ったとしても、
もとの1kgよりもわずかに足りないという、

その足りない分、この世から消えたモノが
膨大なエネルギーを放出したということです。

(4)原発の燃料消費量

ここで、原発の燃料消費量と化石燃料を
使った発電の燃料消費の比較を載せて
おきたいと思います。

発電規模1000メガワット級の場合です。

・原発で年間使うウラン=約8000キログラム
(そのうちウラン235=400キログラム)

・石炭発電で年間使う石炭=50億キログラム



●核融合反応

質量欠損と引き換えに膨大なエネルギーを
放出する反応として、もうひとつ、核融合反応
があります。

分裂とは逆ですが、こちらも核反応により別
の元素が生まれるときに、質量がこの世から
消えていきます。


核融合反応


from:https://www.global.toshiba/jp/company/energy/topics/nuclearenergy/clip-nuclear-fusion.html


(1)使う燃料

太陽での核融合反応は、中心部の1500万℃
2650億気圧の超高温・高圧の中で、4個の
水素原子が結びついて一つのヘリウムに変わる
現象が起きています。

この核融合反応を地上で実現させようという
研究が1950年代からはじめられました。

ところが、
核融合反応を地上で起こすには、1億℃と
いう、超高温状態を持続させなければなりま
せん。

これは、原子核同士は正の電荷を持っている
ため、反発しあう力が働いており、この力に逆
らって原子核同士を結び付けなければならな
いからです。

それに、太陽のように、普通の水素を融合
させるには、その第一段階で2個の陽子から
1個の「重水素原子核」ができなければなり
ません。

この反応は非常に起こりにくいため(陽子1
個当たり、100億年に1回)、地上では遅す
ぎて使えません。

そこで、燃料として、水素の同位体(中性子
の数が多い)である重水素と三重水素を
使います。

重水素は海水中に、水素7000個に1個の
低い割合で含まれています。

また、三重水素は海水に豊富なリチウムから
作られます。

ここで一般的な大きな誤解で、「重水素を海水
から取り出すために、電気分解で大きな電気
エネルギーが必要」とか言われますが、
実際は質量差と化学反応スピードの差を利用
した濃縮法で製造されており、カナダには年間
800トン製造可能な装置があります。



(2)核融合炉の方式

現在研究開発が行われている方式は、
次の2種類です。

・磁場方式(トカマク方式)

燃料をドーナツ状の超高温のプラズマ状態にして
中空に発生させ、それを超電導コイルの磁場の
かごで包んで漏れないようにする方式で、現在主流
の方式です。


・慣性方式(レーザー方式)

数ミリの燃料球をレーザーで瞬間加熱するもの
で、100億分の1秒刻みで核融合を繰り返す
方式。
電力規模が小さい、小型融合炉。


核融合炉(磁場方式)

from:https://ieei.or.jp/2021/09/opinion210924/


(3)核融合はクリーン・エネなのか?

二酸化炭素が発生しないという点では、現在の
原発と同じですが、
核融合炉の運転により、ヘリウムガスと中性子線
が発生します。

この中性子線により、低レベル放射性廃棄物
(炉内のステンレス構造部品など)が出ますので、
部品交換や解体時には問題になるかもしれません。

全くのクリーンという訳にはいかないようです。



(4)実用化への問題とカギ

・「エネルギー倍増率 Q」

トカマク方式では、プラズマの加熱や磁場の発生
のために大きな電力が必要となります。

この投入したエネルギーに対する、核融合による
エネルギー発生の比率をエネルギー倍増率 
Q(キュー)と言います。

日本の核融合実験装置「JT-60」では。
1998年にQ=1.25を達成しています。

目標としては、Q=30としています。


・3要素の同時達成

現在、実用化のカギとして、3つの要素が問題
となっています。


①プラズマの維持
  九州大学の「TRIAM-1M」が
  2003年に5時間26分21秒達成。

②燃料の炉内での増殖
  一つの核融合する度に三重水素を一つ
  以上作らなければなりません。

③熱処理
  冷却と同時に発電のための高温熱の取出し
  を同時に行わなければならない。


で、もっと大変なのは、一つの装置の中で、この
3つの要素を同時にこなさなければならない
ということで、一つ一つが単独でできても意味が
無いという厳しさがあるということです。

現在、国際プロジェクト「ITER」(イーター)は、
フランスで2007年に建設が始まり、2025年に
プラズマ運転、2035年に核融合運転を目指して
います。


●ウランのふるさと

ウランという元素がいつ生まれたかは分かっていま
して、その年齢は約60億年です、

地球は46億年と言われていますので、当然
それよりも昔に生成されたということです。

ですから、地球に飛来したか、寄り集まって地球
の構成材料のひとつになったかです。

生まれた経緯としては、通常太陽のような恒星
では、水素からヘリウムへの核融合から融合
反応が始まり、最終的には鉄まで融合反応が
進みます。

つまり、恒星の中では、ウランのような鉄よりも
重たい元素は作り出せません。

なぜかというと、鉄よりも軽い元素は核融合
によりエネルギーを生じますが、鉄以上に
重たい元素は、エネルギーを生じません。

それどころか、鉄の芯の温度が上昇すると。
逆に周りからエネルギーを吸収し始めます。

ですので、ウランのような重たい元素は、
おそらくは、超新星爆発のような、大量のニュー
トリノや中性子線を爆裂的に浴びる環境で生
まれたものとみられています。


●質量欠損の意味

下の表は、各元素の質量欠損量を
表しています。

一番上の”n”の質量1.008665は中性子
の質量です。


元素名Hが水素で、Dは重水素というように、
下にいくほど、重たい物質となっています。

詳しい単位とかの説明は割愛しますが、
これを見ると、重たい元素ほど、核融合による
質量欠損が大きいということがわかります。
核融合反応が起これば、欠損した質量分の
エネルギーが発生するということになります。


そして、水素からヘリウムへの核融合では、
高温高圧の環境があれば容易に核融合
反応が起き、その際に失った質量の見返り
として膨大なエネルギーの放出があります。

しかし、この表ではわかりませんが、
炭素(C)よりも重たい元素になると、
核融合を起こすために
逆にエネルギーが必要となってきます。

質量欠損の意味というのは、
私的には、

核分裂での質量欠損は、原子核の陽子や
中性子を結びつける「核の強い力」を解放
したエネルギーであって、核融合の場面では、
反発する陽子同士を結合させるエネルギー
が解放された結果なのではと思います。

質量欠損表


from:https://atomica.jaea.go.jp/dic/detail/dic_detail_2226.html


●実は核分裂発見以前に予測されてた?

イギリスの科学者レオ・シラード

彼は1934年3月に、中性子によって核分裂
による連鎖反応を起こす特許を申請し、
さらに「核戦争」を予測して
その権利をイギリス海軍に譲渡していた!?

科学者として論文を書くよりも、
将来の核戦争を危惧した結果の行動です。

という、私の好きな(笑)トンデモ話です。

核分裂が初めてマイトナーによって証明された
のは、1938年12月のネイチャー誌への投稿
であって、それまで「核分裂」という言葉さえ
なかったのです!

彼だけではありません。彼が影響を受けたのが
SF作家のH.G.ウェルズでした。

ウェルズは第一次世界大戦前に原爆を
予見した「解放された世界」という作品の中で、

巨大原子を一つにまとめ挙げているエネルギー
を解き放って連鎖反応を起こす鉱物の話を
書いていたのです!

何という、先見の明といいますか、
これが事実なら、本当に不思議なことです!


人間の能力には、計り知れないことがあるんです
よね。


私も最近よく夢をみるんですが、仕事で失敗する
夢とかで、なんかもっと凄い予知夢とか
ないのかなぁー(笑×笑)

 


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