アポフィスの真実 ⑴ | ランニングとフライトシミュと・・・♌スフィンクスのホロスコープ☄

ランニングとフライトシミュと・・・♌スフィンクスのホロスコープ☄

星好きな市民ランナー 兼 バーチャル・パイロットの日記、フィクション、タワゴト、ちょこっとボランティア

小惑星アポフィスの地球大接近(2029年4月)の
シミュレーションをやると書いて、9ヶ月が過ぎてしまい
ました。

決して忘れていたという訳ではありません。
いろいろと地球接近時の地球とアポフィスの位置計算
を試すうちに、微妙な軌道要素の数値の違いによって、
かなり位置がズレてしまうということに気がついたからです。

まるで、顕微鏡で太陽系を覗くような感覚です。
日食や惑星食の予測とは全然違い、「小惑星の地球
接近」あるいは「地球衝突」というシチュエーションは、
素人が計算できるような代物ではないということをつくづく
思い知らされました。

通常、地球接近天体(NEO)が発見された場合、
その位置測定データと暫定軌道データがNASAのJPL
(ジェット推進研究所)に送られ、最先端の数値モデル
によって100年先まで地球に衝突するか調べられます。

小惑星は質量が小さいがゆえ、軌道が絶えず変わって
います。このため、他の惑星の重力だけでなく、月や本体
の自転と熱放射(ヤルコフスキー効果)やガス放出、
相対論的効果まで考慮されてスパコンで計算されます。
そして、地球衝突の可能性は衝突楕円と呼ばれる楕円
に地球が入る確率で表されます。

そういう作業を一個人ができるはずもありません。

そこで、私にできることは、シミュレーションに使う軌道要素
(軌道の形)は一定にして、NASAが発表した地球接近
距離まで時間を微調整してアポフィスが通過する姿を表現
するということです。

つまり、先に答案があり、それに計算結果を合わせる方法
です。

邪道と言われるかもしれませんが、素人ならではの面白い
結果が出ると思います。

通常は衝突するかどうかの確立計算でしか発表されない
ものを目に見える形で表現しようということです。

実際にこの方法によりアポフィスを地球の地表から32000
km(地心距離38378km)まで近づけることができ
ます。

問題は、用いる軌道データですが、「TheSkyLive.com」
に掲載されている軌道要素を採用することにしました。
TheSkyLiveの軌道要素はJPL(NASAジェット推進研
究所)の出典だからです。

本日は、シミュレーションにかかる前に小惑星アポフィスの
軌道について見ていきたいと思います。

下図は、アポフィスの軌道の傾きを表したものです。他の
惑星と同様、地球軌道面(太陽黄道面)に対して傾斜
角があります。アポフィスのの場合は約3.34度です。
水色の部分が地球軌道面よりも南(下)側で、ピンク
の部分が北(上)側です。

地球と衝突する可能性があるのは、黄色の〇印のポイント
で、図で見るとちょうど南側から北側に移る点で地球軌道と
交差しているポイントです。
2029年の地球大接近ポイントでは、地球よりも南側から
北側へ駆け上がるように通過することがこれでわかります。

次に、この地球接近ポイントにアポフィスを実際に配置して
拡大してみましょう。
実際に地球軌道までどのくらい近づくでしょうか。
図で見ていきましょう。

上の図は、2023年1月29日12時0分UTの状況です。
地球軌道と交差する直前ですが、この時点ですでに地球
軌道面から北へ9978kmまで駆け上がってきています。

そして、3時間後に下の図で地球軌道と交差していますが、
すでに地球軌道面よりも27582kmも北上しています。

地球の半径が6378km(赤道半径)なので、
”現時点の”軌道では地球に衝突はしないということになり
ます。


次に興味深いのは、今度の2029年の地球大接近によって、
アポフィスが地球重力作用圏に入るため、「地球スイングバイ」
を起こしてその後の軌道が大きく変わることです。
下図は接近前の軌道(水色)と接近後(ピンク)の軌道
を表しています。

スイングバイは惑星探査機がスピードを上げるために使っている
方法の一つですが、今度のアポフィス地球接近では、地球の
公転方向の後方から接近するため、地球重力に引かれて
増速しながらとばされて、今よりも長楕円軌道に変わります。

次回からはいよいよ、無謀な「小惑星アポフィス地球大接近」の
のシミュレーションにとりかかります!!

 


人気ブログランキング