米原のキ555 | 私は鶏になりたい

米原のキ555

数年前訪れて、書き忘れておりました。

米原駅西口正面の道を細くなっても構わず真っ直ぐ歩いて5分ぐらい

米原市米原公民館(現米原学びあいステーション)敷地に、見えてきた

雪カキ車、キ550形キ555

説明板があります

昭和18年製とありますが、銘板を見た人のブログによると昭和21年運輸省とあるそうです。
私は銘板見落としました…

複線ラッセル車で、東海道本線の大垣〜米原間の伊吹越えで使用されたそうです。

39年(昭和21年製説をとれば36年)で走行距離5634キロというのは鉄道車輌としてとても短く大垣〜米原53.9キロの78往復くらい。

大垣〜関ヶ原間は新垂井線もある1.5複線。
積雪状況では出動のない年も有ったでしょうし、説明板にあるサンパチ豪雪の際は大垣のキ552(本巣の住友大阪セメント岐阜工場に保管)と共に活躍したことでしょう。

車体を見て回ります

現在では在来線米原駅などはJR西日本に属しますが、国鉄では名古屋鉄道管理局管内でしたので、米原機関区配置のキ555には独特の字体の『名』が書かれれています。

独自の走行用動力を持たず機関車に押されて雪かきをするので事業用貨車に分類され、最高速度65キロ以下を示す黄帯を巻いています。
車番表記も低速車を表すロを添えてキ555となります。

前の方へ回ります

乗務員は先頭に乗り込み前方の線路周りや積雪を監視しつつ、車体先端や左右側面の羽根、レール内側の雪をかき出すフランジャーを操作し、後ろの機関車に速度停止発進を合図して雪かき作業をしました。

全面の旋回窓、筒の奧に収まった前照灯、左右の補助灯が物々しい。


日本の複線ラッセル車は本線を左側通行しつつ、線路左側の線路外に雪を押出して雪かきします。

車体前面のラッセル板の僅かに上下方向に折れていて、搔いた雪がせり上がり視界を塞がないなど考えているようです。
フランジャーの存在も判ります。


羽根類やフランジャーの操作動力は、機関車から送られる圧縮空気によるため車体屋根上に空気タンクが6個載っています。

車体後端左上のラッパ状の設備は、伝声管だろうか。

雪カキ車後端には出入口がなく、雪掻き作業中乗務員は側面も塞がれ出られないかもしれないので、後ろの機関車と打ち合わせするためかも知れません。

いまなら無線機でいいのでしょうが。

台車を見てみます。

車体が細いので後部台車の側受がむき出して見られます。

wikipediaにはベッテンドルフ台車のTR41とありますが、これはアーチバーのTR20ですね。

よく見たいのは前部台車ですが、ラッセルのスカートに覆われているので低い姿勢から覗き込まないと見えません。

スポーク車輪が特徴的。暗くて判りづらいですが床下の梁と車輪の隙間が極わずかです。
軸箱周りの機構も簡素。

ラッセル車は車体でレール面ギリギリまで雪を掻きフランジャーも効かせないとなりませんから、走行中車体高を保つために、前部台車にサスペンションが有りません。

走行中車輪の衝撃がモロに乗務員に伝わるのですから、寒さ視界の悪さ作業の難易に加えて過酷な労働環境ですね。

前部台車の機能は首振りだけ。形式は何だろう。TR42?

車体左側から

ラッセル走行中は排雪抵抗で常に車体を右に押す力がかかるので、車輪も偏摩するでしょうね。

見辛いけど見応えある展示です。