宇都宮ライトレールが通った背景 | 私は鶏になりたい

宇都宮ライトレールが通った背景

日本の高度成長期、商用車も自家用車も爆発的に台数が増えて
都市路面の乗り物として路面電車(トラム)は邪魔者扱いで、どんどん廃れて行きました。

1970年代後半に最も減って、特に東北地方には路線が皆無。関東も都電荒川線と東急世田谷線だけで殆どが専用軌道なので残れたという程度。


1982年に豊橋鉄道が東田本線の路線を枝分かれさせて井原~運動公園前の僅か0.6kmを伸ばした時、「これが日本軌道最後の延長になるだろう」と予測されました。

事実その後延伸どころか新潟交通の廃止もあり路面電車のお先真っ暗…

ところが、いつからなのか覚えていませんが国が地方交通維持に取り組み、施設改良車体更新などに補助金出るようになりました。LRT(ライトレールトランジット)についても出ていたようです。

実現したのが富山ライトレール。
富山港線を持て余していたJR西日本が富山県に同線の路面電車化構想を説明したのが1999年6月とのことなので、国交省の事業はそれ以前なのでしょう。

とにかく富山県と富山市や地元企業による第三セクターが立ち上がり、富山ライトレール線が開業したのが2006年4月。
国鉄の古い電車がたまに来るローカル線が、10数分おきにきれいでのりやすい低床電車がやってくる新しい線になってバスとの連携も含め話題になりました。

その間に名鉄岐阜市内線廃止で路線長はわずかに減っていたものの、札幌市電が2015年に西四丁目~すすきの間0.4kmを開業してループ運転ができるようになりました。

富山市内では北陸新幹線開業に伴う駅舎建て替えに合わせ、富山地方鉄道の軌道をJR高架下に乗り入れ、さらに2020年富山ライトレール線もここに繋いで、岩瀬浜から富山駅をくぐり環状線を回ってまた富山駅に帰ってくる列車など大変便利になりました。


やっと本題の宇都宮。
初めて構想を聞いたのが2013年ごろだったか。
そりゃ昔から車の渋滞に悩む地方都市も東京都内でも新しい交通が欲しい、モノレールだ地下鉄だゆりかもめだとのふわふわした夢物語が数々ありました。

卑近な例ではメトロセブン・エイトライナー。
都区内東部の環七から西部の環八を何か新都市交通で繋げよう、という話しで、もう50年は前からあるのでは。

宇都宮のLRTそんな絵空事と笑って聞いていました。
今でも渋滞している道路にさらに路面電車。しかも東方向にしか行かない。

採算とれるの?いや作れるの?

と半ば忘れたころ、しかもコロナ禍にそのうち開業します、電車はこれですと発表があったからびっくり。

関東で路面電車が延伸したすら覚えがなく、まったく新規の事業者は戦前の川崎市まで遡るらしい。

よく作ったが、さてどうなる?