電車のAC波形比較(1)新幹線編 | 私は鶏になりたい

電車のAC波形比較(1)新幹線編

各車輛の製造初年順に挙げます。
1)E2系(東北・上越・北陸(長野以南)新幹線、1997年~)


高校で習った正弦波はこのような波形ですね。
AC100Vと言った場合それは実効値であって、理想的な波形の正弦波であれば約280Vp-p(ピークtoピーク)あります。更にこの測定系では1/100に分圧しているので約±1.4Vに見えます。

時間軸は1目盛り5ms。この波形は1サイクル20msですので周波数は50Hzで東日本の市中に電力会社から供給されている周波数と同じです。

少々ノイズのような波形が見えますがまあ綺麗な波形です。

E2系車輛は客室前後端の壁にコンセントがあることがあります(ない車輛もあるらしい)。

2)E3系(秋田→山形新幹線、1997年~)

周波数は50Hzです。測定は山形新幹線用2000番台車になった後です。

 1)に比べるとぼんやりした波形に見えます。1MHzくらいのノイズが乗ってる模様。

E3系車輛も客室前後端の壁にコンセントがあることがあります。

3)E4系(東北、上越新幹線、1997~)
今や唯一になった二階建て新幹線。東北出張でよく乗りましたがいまは上越新幹線だけに走っています。
来年秋ごろ運行終了とのこと。

 周波数はやはり50Hz。なかなか面白いノイズが乗っています。
14kHzなど音声周波数帯のノイズがあり50Hzに同期しているのでノイズ動かず止まって見えます。

以上3車輛は同じ時期の設計でAC電源の構成は同じと思われ、車輛の走行状態で波形のノイズが違うのかもしれません。

E4系は客室にコンセントが無く、洗面台で測定しました。
 

4)700系(東海道山陽新幹線 1999年~)

上3つより波が詰まって見えますが、これは周波数が60Hz(1サイクル16.6ms)だからです。

もひとつ波形を出します。

こちらはノイズが少ないですが同じ車輛。

実は力行時と惰行時でノイズの量が違います。新幹線電車は走行中殆どの時間モーターに電力をかけて力行していて上のようなノイズの多い波形、停車駅に近づいたり惰性で走行している(惰行)間だけ下のような波形が見られました。
測定を何度かしていてたまにこうなるのでしばらく理由が分かりませんでした。

700系とN700系は客室の前後壁にコンセントがありました。

5) N700系(東海道・山陽新幹線、2009年~)

60Hzです。これは力行時。


これは惰行時です。
これまでより年代が下がって設計された系列。4)700系より波形が改善された印象。


6)E5系 (東北・北海道新幹線 2009年~)

ちょっと頭が尖がった正弦波。周波数50Hz。
この系列から客室全列の壁側にコンセントが付いて供給能力を増やす必要が出て来ました(客室両端の壁には全席分あり)。

7)E6系 (秋田新幹線、2010年~)

50Hz。上のE5系と手を組む設計の車輛で波形もそっくりです。同じ電源回路なのでしょう。
コンセントの配置もE5系と同様。

8)N700A (東海道・山陽新幹線 2011年~)

60Hz。ノイズが乗ってはいますが、綺麗な正弦波にはなって来ました。

N700Aも全列壁際と客室両端の全席分コンセントが付きました。
東海道新幹線の主力、速いしWi-Fiも付いたし快適です。

9)E7系 (北陸、上越新幹線 2013年)

北陸新幹線以外の新幹線は、商用周波数が一定の地域だけを走ります(東海道新幹線は開業以来富士川以東の50Hzを60Hzに変換して供給)。

北陸新幹線は東京から金沢へ行くと50Hz→60Hz→50Hz→60Hzと何度も変わります。走行系は両用になっていますが、E7乗客向け電源は全線で60Hzが供給されます。

N700Aより更に綺麗な正弦波になりました。

共通設計のW7系(JR西日本の車輛)も同様でしょう。

10)N700S (東海道・山陽新幹線 2020~)

今年颯爽と登場し7月から運用に入ったN700S。SはSupreme(究極)の略。
ついに全席にコンセントが付き、これまで改良されてきたAC波形はどこまで進歩したか♪

最新は最良ですから。さて測定っと♪

ギャー!

正弦波とは程遠い、山の潰れた三角波。
渡り廊下の屋根によくこういう波型鋼板ありますけど…

えーこれが最新、Supreme~?

この個体の不調だと信じたいです…
このあとオシロを持って歩いててN700Sに出会う時はいつになるやら。

次のエントリはJR東日本の在来線特急編

(2024年6月30日追記)
波形サンプルを増やした新エントリを上梓しました。