人食った報い | 私は鶏になりたい

人食った報い

といってもカニバリズムだの人食い人種の話ではなく…

この数日急激に世間の耳目を集めている「O111食中毒事件」。
29日に富山県砺波市で先月21~23日に焼肉店で食事をした39人が発症、うち男児1人が29日に死亡したほか、
昨日になって福井県の同じチェーン店で食事をした男児が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症し27日に死亡していたことが判りました。
富山県高岡市の同系列店でも8人が症状を訴えているとのことです(以上アサヒコム2011年5月1日23時27分付け記事 から抜粋)。

この焼肉チェーン店の運営会社の記者会見が昨夜ありました。
アサヒコム2011年5月2日22時40分付け記事 引用
「一度も細菌検査せず」焼き肉店が陳謝 男児食中毒死

 富山県と福井市の焼き肉チェーン店で生肉のユッケなどを食べた男児2人が食中毒で死亡した問題で、焼き肉チェーンを運営する「フーズ・フォーラス」(本社・金沢市)は2日の記者会見で、業者と仕入れ契約を結んでから細菌検査を一度もしていなかったことを認め、衛生管理が不十分だったと陳謝した。 フーズ社の勘坂(かんざか)康弘社長らによると、ユッケに使った牛肉は2009年7月ごろから仕入れていた。卸売業者から「検査済み」との連絡を受けていたため、フーズ社が検査をしたことはなかったと説明した。

 厚生労働省は1998年、生食用の食肉処理についての衛生基準を設けた。しかし同省の担当者によると、国内で同基準に沿って加工・流通している生食用の牛肉はないと説明。罰則規定がないこともあり、業者の判断で生食に使われているケースが大半とみられる。

 勘坂社長は、生食用の衛生基準を満たしていない肉をユッケとして提供したことを認めたうえで、「どの焼き肉店でも慣習的にそうしている」と釈明した。(以下略)
この記事では社長がしおらしく非を認めたように思えますが、テレビでこの会見を見た限りではこの若作りの社長さんの態度たるや (←ANNnewsCHのYouTube動画にリンク)
「牛肉に就いては、国内と屠場からの生食用としての実績は…有りませんっ!
…と怒鳴り

「法律で、生食用というか普通の生肉をユッケで出してるのを禁止するべきだ禁止して頂きたいとおもいます。生食用以外出してはいけないという風にしてしまえば明らかに違法ですし、速逮捕というか」
と国の対応が悪いと言うし

「この二日間数え切れないくらいの人殺しというメールを企業に頂きましたっ。衛生管理に不備はあったのかも知れません。認識の甘さが、事件を起こした以上あったと思います。でも話を戻しますが生食用という肉は流通しておりません。」(早口で目をぱちくりしてまくし立てる)

「日本中の全ての焼肉屋さんと同じものを使用し、その中で私たちもしくは納品業者様に何らかの不備はあってこのような事態は起こしました。これに関しては真摯にお詫び申し上げますっ!大変失礼いたしましたっ!」とこれまた早口で言い放ち、力いっぱい目を瞑り礼というより首をがっくり伏せて去るという見苦しいもの。
この方は大声を出せば出すほど訴求力が増すとでも思っていらっしゃるのかしら?
 
焼肉酒家(さかや)えびすのページでは「お詫び 」と題し、謝罪文のあと
『メディア等で生食には不向きの食肉を使用していたとの報道がございましたが、使用していた食肉は適切に殺菌処理されたものであったため、納入業者および弊社は生食用で使用しても安全であるという認識の下で提供しておりましたが、このような事態となりましたこと、深くお詫び申し上げます。』
とあり更に枠囲みで
『一部のマスコミで、卸売業者は「生食用」と「加熱用」をあえて分けて出荷していて、弊社では卸売業者が「加熱用」として卸した肉を提供しているという報道がございました。』ので誤解を解きたいまではまだいいのですが、

『誤りかねない認識をさせるような報道をそのままご理解なさることは、この度お亡くなりになった方をはじめ、発症なさってご迷惑をおかけしている方々への配慮を欠くことになります。
お亡くなりになったお子様のためにも、ご遺族様のためにも、以上を申し上げます。』という末文がどうにも不愉快です。
私は、この会社は被害者が加熱用の肉でいいからユッケで食わせろ、と店に要求してこのようになったと言いたいのだと取りました。

では他の焼肉店のユッケはどうやって出されているか、地元富山の2011年05月02日 11時50分付けチューリップテレビニュース によると
「国内で提供されている牛肉と豚肉の『なま肉』はすべて加熱用を消毒したもの」
だそうです。

事件発覚後急いでググって「生食用」肉の流通が無いことを見つけたのをいいことに、会社の安全管理の不備とすり替えたがっている印象を受けました。

複数の店舗で同じ中毒が起きており、卸売り業者の段階で汚染されていたという主張は一見尤もで、社長の会見では「日本中で何でウチだけ運が悪い」とぶち切れた様子でしたが、それにしてもこの会社のチェーン店についてだけ起きていることを忘れてはなりません。

このチェーン店は格安で肉を提供するとしてキー局でも紹介されたようですし、コスト削減を徹底した経営で業績を伸ばしたものでしょう。
しかし昨今の物価は余りに低すぎる。原料も運送も納入業者がコスト削減を理由に買い叩かれたり人を提供させらている事情はよく耳にします。
ここでも余りに安い価格を提示して来る業者に飛びついたのでは?と考えざるを得ません。

利益のために安全を蔑ろにした結果がこれなら、それこそ『この度お亡くなりになった方をはじめ、発症なさってご迷惑をおかけしている方々への配慮を欠いた』のは何処のどいつだ、ということになります。

この会見で悪印象を抱いた方は多いと思います。今後事実関係が明らかになっていくでしょうが、
こんな人を食った対応をする会社や幹部は徹底して断罪されるべきです。
再発防止策も公的機関により場当たり的でなく、なされるべきです。
またマスコミも先走った報道は慎むべきです。

全ては被害を受けた方への見舞いとこれ以上の被害者を出さないために。