そんなある日のこと、
トラが私の姿をみて玄関先にやってきました。
すっかり痩せて、毛並みも
悪くなっていました。
「久しぶり、、、トラちゃん
餌が欲しいのね。」
と私は餌をあげました。
ところがトラは手を付けません。
どうしたの?
トラは、視線を塀にむけました。
すると、塀の隙間から、
若い猫があらわれたのです。
1匹、2匹、3匹、えまだいるの?
全部で4匹です。
トラはその猫たちを呼び寄せて、
私の顔を見つめました。
「ままさん、この子たちをこれから
よろしくお願いします。」
トラはそう言っ
ていたに違いない。
若い猫たちは餌をむさぼりました。
トラちゃんは全く口にしません。
若い猫たちが食べ終わると、トラも一緒に
去っていきました。
これが、私がトラちゃんの姿をみた最後の
日でした。