今回は、第二の認知症治療薬レメニール(ガランタミン)についてお話します。

 

レミニールは、アリセプトの初登場から遅れること12年、2011年に発売された薬剤です。
かなり長期に渡って、日本ではアリセプト1剤しかなかったため、満を持しての登場となりました。
一般名は、ガランタミンといいます。

とはいえ、実はスウェーデンで2000年に発売されてから多くの国で使われてきたいわゆるドラッグラグの大きかった薬剤で、既に多くの実績を持った薬剤です。
ヤンセンファーマスーティカN.V.社とシナプテック社とのライセンス契約のもと、ジョンソン・エンド・ジョンソン・ファーマシューティカル・リサーチ・アンド・デベロプメントとシャイア社との間で共同開発された薬剤で、日本ではヤンセンファーマが開発し、ヤンセンファーマと武田の共同販売という形で販売されています。

薬の作用としてはアリセプトと同様、コリンエステラーゼ阻害剤、という種類の薬剤で、アセチルコリンの分解を防いでアセチルコリン濃度を高める、という機序を持っています。

そしてレミニールの場合にはそれだけでなく、ニコチン性アセチルコリン受容体に対する増強作用(APL作用)も持っています。

この話はちょっと複雑で、単にアセチルコリンの伝わる力を強める、というものではありません。
この受容体は神経伝達物質を受け取る側の細胞ではなく、放出する側にある受容体で、この受容体が活性化されるとスイッチが入り、ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン、GABA、グルタミン酸といったアセチルコリン以外の様々な神経伝達物質の放出を促進してくれるのです。

その結果、快楽、気分改善、意欲増進、記憶や学習の促進など様々な効果がみられ、中核症状だけでなく周辺症状にも効果を示すことがわかっています。

 

レミニールも、同じく根治治療薬ではなく、症状の進行を止める薬剤です。なので、早めの服用が鍵となります。副作用もアリセプトとほぼ同様で、消化器症状やパーキンソン病用症状などがありますが、一方でALP作用によってGABAなどの放出も増えることから、興奮作用は少なめです。

また、高度のアルツハイマー病の場合、レミニールには適用がないので注意が必要です。アルツハイマーが進行してしまった場合には、薬剤変更を余儀なくされるのも薬剤選択のポイントのひとつと言えるでしょう。

 

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