今日でよくわからない単語がゴソゴソ出てくる回も終わりかと思います。

ただ、脳のしくみはここで勉強していただければと思います。

 

さて、今日の分ですが…

 

脳内の細胞で大多数を占めるのは、ニューロンではなくグリア細胞(神経膠細胞)と呼ばれる細胞です。ニューロンの10倍もの数のグリア細胞が脳を空間的に支えたり、栄養を与えるなどの生化学的な支援を行うことで、脳の複雑きわまりない情報ネットワークが支障なく稼働されています。

 

グリア細胞には、3つの種類があります。もとも多いのはアストロサイト(星状膠細胞)で、その名の通り、星形の突起をもっています。この複数の突起をニューロンの各部位や脳内を走る毛細血管などに伸ばして接合し、ニューロンが複雑にからみ合う立体構造を支えています。

 

脳の細胞にはほかにも、オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)、ミクログリア(小膠細胞)などがあります。

 

アストロサイトは、太く短い突起をもつ形質性アストロサイトと、細長い突起をもつ線維性アストロサイトに分けられる。

 

2つのアストロサイトの基本的な役割は、ニューロン周囲の環境バランスを維持することです。たとえばシナプスを包むように存在することで、シナプスで放出された神経伝達物質がシナプス間隙外に拡散しないように防いでいます。

 

アストロサイトは、血液中の不必要な物質が脳内に入り込まないよう、血液脳関門の役割も果たしている。突起先端で毛細血管の外壁を覆い、脳への物質の移動を制限しています。たとえば水やCO2、O2は容易に通れるが、Na+やK+などの電解質は制限されます。それにより、ニューロンを取り巻く環境は、つねに一定に保たれます。

 

ニューロンは軸索を伝わる電気信号を他にもらさないように、周囲を髄鞘(ミエリン鞘)という脂質に富んだ絶縁組織で覆われています。軸索をらせん状に幾重にも取り巻くこの膜を供給しているが、オリゴデンドロサイト(希突起膠細胞)です。オリゴデンドロサイトは中枢神経系にのみ存在し、末梢神経系ではシュワン細胞というものがその役割を果たします。

 

オリゴデンドロサイトは、1つの細胞で複数の幕をつくっていますが、シュワン細胞は1つの細胞が1つの軸索の鞘だけをつくっている。

 

ミクログリア(小膠細胞)は死滅したり損傷を受けたり、炎症を起こしたニューロンを貪食(食べて!)処理する細胞です。

 

上衣細胞は、脳室や脊柱管の内壁を覆います。

 

アストロサイトが情報伝達に能動的(自分から積極的)に関与している可能性も示唆されています。たとえばアストロサイトの細胞膜には神経伝達物質を受け取る受容体が存在していることが明らかになっています。シナプス前膜から放出されたグルタミン酸がアストロサイトの受容体と結合して細胞内のCa2+が上昇するという、ニューロンの興奮と同様のしくみです。興奮したアストロサイトは、エネルギー代謝に重要な役割を持つATP(アデノシン三リン酸)を放出し、これが他のアストロサイトを興奮させます。グルタミン酸だけではなく、ATPやノルアドレナリン、アセチルコリン、ドパミンなど、さまざまな神経伝達物質に対する受容体が細胞膜に存在しているそうです。

 

アストロサイトがグルタミン酸を放出し、ニューロンを興奮させることもわかってきており、アストロサイトの全貌究明の研究がすすめられています。

 

 

明日からは脳を臓器別に見ていきたいと思います。