開幕2戦で勝利を奪うことができず、18位に沈む中相手は同じく勝ち点1の札幌。互いに今季初勝利を目指し、雪に包まれた札幌で激突する。

 

2024.3.10(日)  J1第3節 札幌ドーム

札幌 0-1 浦和

′31 酒井宏樹(浦和)

 

 

変わったスタメン、変わったサッカー

1分け1敗、流れに乗れない中ヘグモ監督はこの札幌の地でスタメンを2人変更。右WGに広島戦短い時間で強烈なインパクトを残した前田、ワントップは新加入のサンタナから前節途中交代で持ち前のキープ力を存分に披露した興梠が先発となった。そんなメンバーの変更も相まってか、チームは前の2戦からサッカーのスタイルを大きく変えてきた。攻撃では興梠と前田を中心に、シンプルにディフェンスや中盤から一気に飛ばして当てたり裏に出すボールが増えた。一つひとつ繋ぐ形から変えてきたが、やはりこれでも興梠は収まるし前田に相手ディフェンスの少ない状態、スピード感のある中で仕掛けを託せるため初っ端から幾度も得意のドリブルからシュートへ持ち込めた。今までよりも圧倒的にボックス内への仕掛け、チャンスが増え、前節までの戦術を優先し自由な動きが少ないサッカーから、ある意味戦術を捨ててリアルに執着したことで大きく期待感が高まった。

 

可能性の感じるセットプレー

それでもなかなか点が取れない中、ついに歓喜の瞬間は訪れる。コーナーキックを得ると、すぐに始めてキッカーのグスタフソンへショートでつなぐ。相手の守備対応が遅れる間にグスタフソンは中の様子を伺い、マイナスに飛び込んできた酒井にドンピシャで合わせパワーヘッドで決め切った。キャプテンの初ゴールで貴重な先制点を奪ったが、レッズのセットプレーではこのシーン以外も期待感があった。例えば得点の前の時間だが、左サイドのフリーキックの場面で渡邊がインナーラップしスルーパス。1対1の状況からシュートに持ち込んだシーン。ああいったデザインされた(即興かも?)でチャンスが生まれ、点につながればたとえ苦しい展開でも大きな飛び道具となる。またシンプルなコーナーキックでもグスタフソンは多種多様な高精度のキックを持っており、中に飛び込む選手も2人のCBや酒井を中心に高さのある選手が多い。チームでも練習を重ねているといい、今後もこういったセットプレーからの得点が苦しい展開を助けることとなるだろう。

 

魂を感じる守備

そして何より、今日感じたのは以前に比べ守備が圧倒的にアグレッシブになっていたことだ。前半が始まってから、あまり立ち位置を気にせずどんどんと相手に枚数をかけプレッシャーを与えた。その結果プレスの連動していなかった前の2試合に比べボールの回収が素早く、スムーズに行われた。後半は逃げ切りを図るような形で(酒井曰く不本意だったが)昨年使用していた4-4-2のブロックを使用。小泉と伊藤が同時に足を攣ったシーンに見受けられるように、今までの試合とは全く違い全員が最速で人に詰めに行き、札幌に攻撃の時間を与えなかった。最後も今までは寄せが甘いことも多かったグスタフソンがスライディングで相手ボールをカットするなど、魂を感じる守備が今季初のクリーンシート、そして勝利をもたらした。

 

個人的MOM MF 11 サミュエル・グスタフソン

前節までは消極的な守備が目立つ場面が多かったが、今日の試合ではアンカーとして相手に向かう素早いプレスが数多くみられ、中盤での競り合いも高さがあり、守備面で大きく助かった。そしてもちろん攻撃面でも、中盤の底で失われない安心感、なにより酒井のゴールをアシストしたシーンにみられるセットプレー時の高精度のクロスなど、質が圧倒的に高い。彼が上り調子であれば、チームの力は大きく底上げされるだろう。

 

次節に向けて

今節を簡単に振り返れば、やりたいことを捨てて結果にフォーカスしたサッカーだった。攻撃ではポジションを意識したショートパスの崩しから積極的に動き回るロングパスを多用したサッカーへ、守備でもポジションを意識するがあまり連動性を失った中途半端なプレスからとにかく相手に近い選手から素早くかけていくプレス、そして去年まで鍛えた4-4-2の守備陣形を使うなど、ヘグモ監督のやりたいサッカーというより勝ちにこだわりに行ったように感じた。個人的に、ヘグモ監督の戦術がチームに浸透するまでは、試合では今日のような結果を求めたリアリストなサッカーで勝ちを重ねていくことが大事だと思う。そして戦術が熟成された頃からスパートをかけるようにJリーグを蹂躙していけば、今年の優勝もまだあきらめる段階にはない。次の相手は同じく3バックを使う湘南。代表ウィーク前を連勝で終えれば、必然と混戦のJリーグでは上位に躍り出る。今日のような熱い試合で、再び勝ち点3を勝ち取ってくれ!!

 

 

次節 2024/3/17(日) vs湘南ベルマーレ @レモンガススタジアム平塚