新スタジアムでの敵地広島戦で惨敗し、ここからの巻き返しを図る浦和レッズ。ホーム開幕戦で5万人以上の観衆が集まる中、昇格組の東京ヴェルディ相手に勝ち点3を掴むことができるか。

 

2024.3.4(日) J1第2節 埼玉スタジアム

浦和 1-1 東京V

'42 木村勇大(東京V)

'89 アレクサンダー・ショルツ(浦和)

 

 

各駅停車、もどかしいサッカー

今日の試合、現地で90分観戦したが、最初と最後の10分ほどを除けば非常に退屈な試合だった。スタメンは前回の試合と同じであったため、連携面での向上を期待したが、相手の4-4-2のブロックの前にスピード感を失い、CBで繋いでサイドに送ってからは、全くゴールへの形が見られなかった。
前半から振り返ると、東京ヴェルディは縦横コンパクトに守備陣形を組む。その中で必然と外に押し出されるが、左サイドでは何度か渡邊、小泉、松尾の三角形で打開することはあっても、右サイドでの連携は皆無に等しく、クロスはほとんど相手選手に引っ掛かり、またクロスを上げてもボックス内への迫力は乏しく、得点の匂いが感じられなかった。

 

人に行かぬ守備

一方、自らが守備に回った時には、人に向かわない守備が目立った。相手がサイドから攻める場面では、突破した選手にほとんど寄らず、いとも簡単にクロスを挙げられる、そういった場面がいくつもあった。(自分達はブロックされ続けてるのに)昨年より前からのプレスをかける場面は増えてるのに、どこか接触プレーから避けてるような対応ばかりでボールを奪う場面は少なかった。この低い守備意識は、前半終了間際最悪の形で表れた。コーナーキックのセカンドボールを拾われるとクロスの選手へは緩く近づくだけ、そして中で混戦を作られ、浮き玉をダイレクトボレーで狙った木村に寄せる選手はいなかった。何か緩い雰囲気、この守備意識は去年より悪化している。何か魂を入れられる解決策が必要ではないか。
 

変化を加えるキャラクター

ビハインドで後半を迎え、最初は相手に握られるも徐々に押し込む時間が長くなる。しかし、なかなか苦しい状況を打破できない。61分に岩尾、大畑、興梠を同時投入すると、少しずつ流れを掴み始める。サンタナよりもポスト能力に優れた興梠が前線で収めることができ、大畑も効果的に攻撃参加。渡邉が本職の右WGに回ったことで伊藤、酒井とともに徐々に右サイドからも崩せるようになった。中島を投入してからはより攻撃が活性化。各駅停車のパス回しからアイデアのある、積極的な攻撃に変化した。中島のシュートミスがつながり、大畑がキーパーと1対1になった場面や、直後のPK獲得、そして同点からの時間は迫力のある、可能性を感じる攻撃だった。交代選手のキャラクターが、試合の流れを変えた。

 

個人的MOM 10 中島翔哉

73分に松尾に代わって投入されると、停滞していた攻撃のムードをガラリと変える活躍。ドリブル、クロス、シュートで積極的な攻撃を披露し、大畑の決定的な場面、またPK奪取のきっかけも作った。チームの連携面が成熟するまでは彼のような選手のアイデアに頼るのも大事だと思う。

 

次節に向けて

この試合を総括的に見れば、安牌なパス回しに終始していた印象だった。相手陣地深くに侵入してもバックパスでCBまで戻すようなシーンが多く、ブロックの外で握らされていた。ボール保持にこだわらず、もっと挑戦的な攻撃を仕掛けるべきではないか。例えばホイブラーテンの対角へのロングフィードや、ミドルサードから裏を狙ったスルーパスなど、奪われてもいいから積極的なサッカーが見たかった(結果奪われても相手陣地のためブロックが組める)。また、先述したように連携面の成熟までは個でアイデア、違いを作れる中島や前田、まだ未知数だがソルバッケンのような選手に頼ることが必要になるだろう。ここまで苦しい2試合だが、J1ではすでに全勝チームが消えた。まだまだこれから、成長していくチームを応援していきたい。