2017年ぶりのアジア制覇まであと一歩までたどり着いたレッズの前に立ち塞がるのは、4年前同じ決勝の舞台で屈辱を喫したディフェンディングチャンピオン、アルヒラル。因縁を晴らすには絶好の相手と、まずは敵地大アウェーのサウジアラビアで初戦に挑む。埼スタでの”決戦”を有利な形で迎えるために苦しい試合になっても粘り抜いて良い結果を持ち帰りたい!

 

Offence

封じた中盤のアイデア 守から攻へ狙い通りの形

レッズは前半、完全にハーフコートゲームと割り切り、自陣に引いて失点を防ごうという戦い方だった。その中で13分と早い時間にネットを揺らされてしまうが(後述)、集中を切らすことなく最少失点でハーフを終えた。そして迎えた後半、浦和は明らかにギアを上げ前線からのプレスをかけるようになった。相手は、2人のCBに加え中盤3枚の内カンノとアルファラジが降りてくる形で終盤でのボール回しに参加しており、基本的な重心はかなり後ろ目であった。レッズの守備時は442であり興梠と小泉でこの4人を見る数的不利な状況であったがその分パスの出し所はなくアルヒラルの攻撃は停滞していた。うまく持たせるような展開の中、たまに上がったSBやアルドサリへつける縦パスが入ったとき、レッズは一気にプレスをかけていく。ここまでのアルヒラルのACLではミドルサードでスペースと時間を与えられないことはあまり無かったし、浦和は前線のフィルターを通されても中盤4枚のブロックを剥がされることは滅多になく、いい形で前線のマレガ、イガロにボールを渡さなかった。そして、ただプレスをかけるだけでなく連携した守備でボールを奪うところまでいけていた。相手のSBへのパスコースを関根、大久保がしっかり封じ、興梠と小泉もバックパスの線を消しながらボールホルダーに近づいていき、相手が中盤で困ったところをボランチとともに狙っていった。こうしてボールを奪うと、中盤からの奪取であるためすぐにライン間へと入っていき、サイドハーフも上がることで一気にチャンスを作ることができた。アルヒラルの守備はあまり強度が高くなく、選手間の距離も広いため十分にスペースがあり、今季浦和が得意の形とするショートカウンターをかけやすい相手である。相手に持たせてはいるものの自分たちが主導権を握るような守備から攻撃への形。築き上げてきたものを決勝の舞台でもほぼ完璧に披露したのではないか。アウェーの難しいゲームであったの中やれることを最大限やり結果を出したのは何より素晴らしいものだった。

 

Defense

難しい連携面 サイドを簡単にとられるな

アジアの決勝ともなれば、スタジアムはすさまじい雰囲気に包まれ、大歓声がこだまする。そうなれば必然とピッチの選手たちのプレイにも影響は出る。試合開始直後は空気に呑まれたかレッズの選手に軽率なミスがいくつか見られたが、こんな舞台での経験は滅多にあるものではなくある程度慣れが必要なのだろう。そして個々の問題だけではなく、チームとしての連携にも影響は大きく出る。コーチングの声は届かない状況であり、特に守備時の早い攻撃、ボールへの対応は誰がどう行くのかの声掛けが重要であり、それを封じられると非常に守りづらくなる。失点したシーンではディフェンスとキーパーの間に送られたグラウンダーのクロスに対し、ショルツがクリアに行くのか西川が取りに行くのか連携が取れずお見合い状態となり、流れたファーでアルドサリに沈められてしまった。これが国際大会の難しさであり、ある程度致し方なしとみるしかないだろう。それでも後半は西川の飛び出しと2CBの動きは素晴らしく、うまく身振り手振りを使って連携を取っていた。ホームで迎える第2戦も同じような大声援が予想されるため、試合の中で修正できたことは非常に大きい。そしてもう一つ、大きなカギとなるのが自陣のサイドでの局面だ。失点シーンは明本が縦に抜かれて上げられたクロスからだった。あの場面ではSBとしては縦を切ることが絶対であり、中には圧倒的な個の強さと得点能力を誇る外国人2人がいる。中央からの攻撃は今日ほとんど完璧に封じていたため、やはりサイドからのクロスを警戒していきたい。ただ失点の後には明本だけでなく関根も降りて守備に加わり2対1での対応をするシーンも見受けられた。次戦はより失点をしないことが重要になってくるため、中央、サイドどちらも制圧してマレガやイガロにチャンスを作らせたくない。

 

まとめ!

何はともあれ難しいアウェーでの1stレグをアウェーゴール付きのドローで帰ってこられるのは非常に大きい。しかもアルドサリが退場したことにより次戦出場停止であり、これはでかいのはないだろうか。岩尾課長、今日は素晴らしい働きだったと思います、バックパスマジ焦ったけど。そしてこの決勝大アウェーの緊迫した舞台、しかも1‐1の場面で17歳の早川を出せるスコルジャの勇気よ。順当に考えたら大久保の替えは早川になるのかもしれないが、それにしてもここで出すのには相当な決意と信頼が必要なはず。漢気采配惚れました。あとは現地組、本当にありがとう。後半なんてずっと応援拾ってて、サウジアラビアでやってることを忘れてしまうほどだったよ。あなた達のおかげで大きな希望をもって埼スタに向かえます。舞台は整った!!!アジア獲りに行くぞ!!!!!