一昨年の12月19日、槙野の劇的ヘッドで掴んだ天皇杯から始まったアジアへの道。タイでのグループステージを経て迎えたホーム埼玉スタジアムでの決勝トーナメントでは、準決勝で敗退寸前の状況に陥るもユンカーの劇的弾で追いつき、PK戦の末突破した。そしてシーズンをまたいで迎える待ちに待った決勝戦。監督が代わりここまでの戦いを紡いできた選手の中にはチームを離れてしまった者もいるが、公式戦11戦無敗と最高の状態で決戦へ挑む。そんなレッズの相手は過去2度決勝で激突しているアルヒラル。我々が2度目となるアジアの栄光を勝ち取った2017年にはアウェーを引き分けで凌ぎホームで撃破したが、直近の決勝となる2019年ではアウェー、ホームとまさに”完敗”を喫し、目の前でトロフィーを掲げられてしまった。そして迎える3度目の激突。W杯ではアルヒラルの選手がサウジアラビアのスタメンの9人を占めアルゼンチンに勝利、ACL準決勝でも7‐0で大勝とまさにアジア最強となり我々の前に立ちはだかるが、4年前の忘れ物を取りに行くには果たしてどんな戦いが望まれるのか。アルヒラルのサッカーを見てみよう。

 

Offence

外国人の理不尽 個の強さと速さでゴールへ

前文で、アルヒラルの選手が9人を占めるサウジアラビアがアルゼンチンに勝ったと述べたが、クラブではそこに圧倒的な個の強さを誇る外国人選手が加わる。特に注目なのが元ナイジェリア代表のイガロとマリ代表のマレガ。二人の個は強烈であり、基本的にはアルヒラルは彼らを最終的な目標として攻撃を進め、少ない人数でも決め切ってしまう。9番のイガロは得点能力に優れており、17番のマレガは94㎏と強靭な肉体であるにも関わらずスピードとうまさも兼ね備える万能ストライカーだ。個人的にはマレガのほうが個の力が恐ろしいように感じるが、試合を決める得点を奪えるイガロも要注意人物だ。彼らは基本オフェンス時には相手のディフェンスラインに並ぶような高い位置におり、勝ち上がってきたACLの試合を見ると押し込んで崩したり華麗なパスワークでの得点はほとんど見られず、ディフェンスラインやキーパーからのロングパスやフライパスででシンプルなゴールが多い。しかし、今の浦和なら彼らは恐れるに足らない。ショルツとホイブラーテンの両CBは彼らを封じる力を持っていると思うし、怪我で離脱中だった酒井も復帰する予定だ。アジアのレベルを超えた激しい攻防が期待される。

 

中盤経由の形も 浦和のプレス強度なら…?

正直、アルヒラルのサッカーはACL決勝トーナメントの3試合しか見れていないため、あまり攻撃のパターンを豊富に見れていない。しかし、中盤を経由した崩しにはそこまで恐ろしさを感じない。中盤を飛ばす形と同じように縦へ縦へと鋭いスピードで攻撃が進んでいくが、中盤がボールを受けたとき先ほど述べたようにFWはディフェンスラインと並んでいるため出し所が少なくなっている。しかしACLではボールを持つ中盤へのプレスが非常に緩く、簡単にライン間(相手ディフェンスラインと中盤の間)でどんどん受けられて大きく前進されたのちサイドで受けた選手がフィニッシュもしくはクロスで得点というパターンが生まれていたが、ここに関しては浦和のプレス強度ならば十分対応できるだろう。中盤に自由を与えなければ自動的に前線に飛ばすしかなく、そこには最強のバック陣が待ち構えている。もちろんここで話したもの以外にレッズへはレッズへの攻撃を組み立ててくるだろうが、恐れてはいけない、浦和の力なら必ず抑えられる。

 

Defense

鍵は前線からの守備 セットプレーも重要に

ACLでの試合は、基本的にアルヒラルのチャンスが圧倒的に多くどのようにすれば彼らの守備を崩せるかという手掛かりが得づらい。しかしそんな中でも見つかった”弱点”は、終盤でつなぐ際のハイプレスへの対応か。もちろんこれも点差をつけて勝っている場面であるため集中は切れかけているかもしれないが、決勝トーナメント唯一の失点は終盤でのボールロストから喫している。基本的に彼らは選手間の距離を大きくとるため、チームで連携して守備をかけパスコースを消せば出し所に困ったCBや降りてきたボランチのところを突いてボールを奪える。ショートカウンターは今季の浦和が取り組んできた形であり、チャンスは十分に見出せるはずだ。また、これはもはやアルヒラルどうこうの問題ではないが、これだけの相手にはやはりセットプレーが重要になってくるだろう。相手に主導権を握られる時間が長くなり、チャンスを作れなくなるほど、コーナーキックなどで点を奪えると非常に大きい。完璧に崩した1点もセットプレーで押し込んだ1点も同じ1点。苦しい試合展開になってもこういったところに勝機を見出してほしい。

 

まとめ!

普段まったく目にしないチームのことなのでしっかりとした分析はできなかったし、レッズ相手にはこれまでとはまた違った戦い方をしてくるだろうが、とにかくサポーターとしては細かいことは考えず応援するのみ。因縁を晴らすには絶好の舞台であり、アジアのタイトルを渇望している。世界へ羽ばたくため、ついに迎える3度目の決戦。目指すは勝利のみ!!!