前節、今季初勝利を挙げてこのまま上位浮上へと移りたい浦和レッズ。対するは勝ち点で並ぶ湘南ベルマーレ。浜風が荒れる平塚で両軍がしのぎを削る。




2024.3.17(日) J1第4節 レモンガススタジアム平塚

湘南 4-4 浦和


'11 興梠 慎三(浦和)

'23 ルキアン(湘南)

'32 鈴木 章斗(湘南)

'46 鈴木 章斗(湘南)

'55 松尾 佑介(浦和)

'64 前田 直輝(浦和)

'74 ルキアン(湘南)

'81 サミュエル グスタフソン(浦和)




  変化に揺られ、変化を躊躇う

この試合を見終えた後、あまりの展開に疲れてしまった人も多かったのではないか。ここまでの3試合で2得点3失点だったが、1試合でどちらも上回ってしまった。前半から振り返れば、最初は湘南のプレスが上手く噛み合わず、浦和が内と外を使い分け良い連携から多くのチャンスを作っていく。初先発の佐藤もどんどん縦へボールをつけていた。その中で素晴らしい流れから興梠のゴールで先制し、ここまでは今季最高の展開だった。


しかしここから相手が、先ほどからボール回しに積極的に参加していたアンカーのグスタフソンをマークすると、浦和は対策できず攻め手を失い、徐々に湘南に押し込まれる時間となる。2節前に戻ったかのような緩い守備で簡単にボックスに入れさせると、どちらも混戦模様からゴールに押し込まれる。途中で修正を加え流れを呼び寄せた湘南に対し、浦和は何も変えることができず逆転され前半を終えた。



  ノーガードの殴り合い

迎えた後半、浦和は流れを変えるべく松尾と岩尾を同時投入する。しかし始まって僅か15秒ほど、ディフェンスラインで軽率なミスが生まれあっけなく3点目を奪われる。ただ、去年は2点ビハインドとなれば絶望的だったが、今年はここが違う。尻に火がついたように、急激にギアを上げると松尾と前田の両翼が積極的に仕掛けてチャンスを作る。コーナーから松尾、岩尾のスルーパスから単独突破で前田がゴールを決め追いつき、試合を振り出しに。特に前田のゴールの形は去年の浦和では見られなかったもので、強烈な個を手に入れた喜びが湧いた。


ただこの間にも湘南はバー直撃を含めた惜しいシュートをいくつも放っており(今日の湘南はシュートタッチが良すぎた)、再びミドルレンジで相手を空けたところからポスト直撃のシュートの跳ね返りを押し込まれ、ノーガードの殴り合いはまたも湘南に傾く。ただ、今季の浦和は超攻撃的チーム。松尾の仕掛けのこぼれ玉に待っていたのはアンカーのグスタフソンで、思い切って振り抜くとディフレクションでゴールイン。壮絶な撃ち合いは4-4で終わった。



個人的MOM    FW 38 前田直輝

攻撃面において圧倒的な違いを見せてくれた。スピードに乗った時のドリブル、積極的に狙うシュート、そしてそれらが最高級クオリティであり、相手にしたら恐ろしくてならないだろう。今日は70分ほどの出場にとどまるも(怪我明けで?)、1ゴール1アシストと結果を残してみせた。今季の浦和の攻撃を担うのは彼になるだろう。



  ​良くも悪くも

個人的にこの試合は、良くも悪くもヘグモ監督のやりたいサッカーをはっきりと見ることができたと思っている。両WGが仕掛けて、IH・SB・アンカーまでもが上がっていく。その結果4点を奪うことが出来たため攻撃面は最高だし、松尾と前田の強力ウィンガーは大きな期待を抱ける。攻め手を失った前半にできれば修正を加えてほしかったが、後半に入り岩尾を入れツーボランチ気味にすることでパスを回るようになり、同時に入れた松尾とゴールアシストの関係を作るなど試合中の策も悪くなかっただろう。


一方守備面の構築はやっていないのか出来ないのか、いずれにせよ少し緩さを感じる。特にサイドはかなり自由に使われており、今季不調の酒井、急造SBの渡邉を使うくらいなら大畑を先発で起用して見てほしいと感じた。当然、ショルツの不在は大きいが、佐藤も失点に絡んだシーンを除けば地上戦(デュエル6/8)、空中戦(5/7)、そして長短の縦につけるパスなど非常に良いプレーを見せてくれた。あとはファウル覚悟でもう少し人についてもいいと思う。緩いまま失点すれば意味がない。細かい所で寄せを怠らず、札幌戦のような守備が増えれば今後勝利を収めることは圧倒的に増えていくだろう。



 次節へ向けて

このあとは代表戦を挟むため2週間ほど空く。浦和はいいのか悪いのか代表選手がいないため、じっくりと戦術を浸透させることが出来る。この大事な時期の後はホーム福岡戦。昨季リーグ杯決勝、その後のリーグ戦で苦杯を舐め続けた相手に雪辱を晴らす時。相手は確実に激しく来るが、球際で負けず、埼スタで初勝利を挙げてほしい。