教育テレビの番組で「ITホワイトボックス」というのを時々見る。毎回、パソコンに関する何かを取り上げて、解説をしてくれる番組。何がどうなっているのか中身がわからないものをブラックボックスと表現するのに対してそれを明らかにする(ホワイトボックス化)ということらしい。内容は、僕としては「既に知っている」或いは「ちゃんと理解している」というものがおおむね7割。「あ~そうだったのか」という新しい発見が3割くらい。だから、確認作業を含めて見ているのが僕の姿勢。視聴対象者はパソコンの初心者から一般ユーザーまで幅広く、たぶんパソコンを始めたばかりの初心者には「それでもよくわからない」という面はあるだろうし、そうであっても、その疑問を手元の資料や目の前のパソコンやで確かめればクリアになるだろうし、まぁそれなりに意義のある番組かなと思う。中でもパソコンに目覚め始めた中学生あたりにはかなりおもしろかろう。


ここに森下千里が出ている。レギュラーで。彼女はもともとグラビアタレントからテレビに出始め、主にバラエティが活躍の場。自己の恋愛経験をざっくばらんに披露して司会者から厳しく突っ込まれ、回想しては無邪気に涙するなど性格の良さは(たぶん)広く知られている。と思う。ヌードにはならないまでも、かなりきわどい線まで肉体を商品化(グラビア)し、プライバシーを比較的包み隠さず明かして笑いをとる(バラエティ)彼女だが、テレビタレントがプライバシーを切り売りする「さらしてなんぼの商売」であるならば、まさにタレントの鑑(かがみ)と言えなくもない。

やや乱暴な物言いではあるが、森下千里は「バカ」だ。ここでいう「バカ」は、無知という意味。世の中には大きく分けて3種類の「バカ」がいると思うが、ひとつは無知である為に「邪魔や障害になるバカ」。場の空気を読めず、余計なひと言を発して白けさせたり「ばか!よせっ!」などとたしなめられたりするヤツ。次に「何もできないバカ」は、無知に加えて無能でもあり、この場合テレビには出てこない。テレビに出るような仕事はもらえないからだ。最後は「愛すべきバカ」で、これが森下千里ではなかろうか。世渡りがヘタで、おっちょこちょいで、感情を抑制できない幼稚なヤツで、その割には我慢強さがそこそこあって根は生真面目。単に無知なだけだから、「こいつには何でも教えてあげよう」「支えてあげよう」と思ってしまう憎めないヤツだ。そういう「愛すべきバカ」である森下千里が僕は好きだ。

あどけなさをたたえたチャーミングな容姿とナイスボディはテレビにうってつけで、そこへ持ってきてド素人も驚かす素朴で飾らない性格。近頃はあまりバラエティ番組を見ないせいで、彼女のおもしろ発言をしばらく聞いていないけども、まだまだ活躍するだろう。


「ITホワイトボックス」を見ていていつも感心するのだが、彼女はいつも驚きと新鮮さをもって話を聞き、番組内での彼女の役割である初心者役を見事にこなす。このような番組は収録前に打ち合わせがあって、ひと通りの流れは既に把握しているはず。そうして彼女はレギュラーであるから、番組の回を追うごとに「初心者では無くなってもくる」に違いない。毎回のテーマによっては、別の回に放送した(彼女もまた勉強した)内容とリンクするものだってきっとある。それでも、番組の流れにきっちり沿って感心し、「凄いですねぇ!」と声を上げ、また時には彼女独特の(バラエティで鍛えた)トークで和ませる。僕らが既に(意味をはっきりとは知らないまま)使い慣れているものもあるが、IT関連の用語には難解さが多くつきまとう。ともすれば眠くなる「講義」も、彼女がいると絶妙な息抜きが出来て飽きさせない。


カメラの前にいない森下千里を僕は知るすべもないが、テレビに出始めた頃は「それこそな~んにも知らなかった」に違いない。だが今は多くの仕事をこなしていく中でたくさんの知識を得ただろうし人間的にも大きく成長を遂げているだろう。と同時に芸能界のいやな部分だとか人としてのダーティさにもきっと触れている。

それでも、テレビの中の彼女は今日も「愛すべきバカ」だ。

自分の役割をきちんと把握し、見せ場をつくり、和ませ、時に暴露し、僕等を楽しませてくれる。


これからもますます明るく元気でいてほしいものだ。

間違ってものりピーみたいな事にならないよう願っている。


※「バカ」という形容詞は彼女の熱烈なファンの逆鱗に触れるかもしれないが、僕はタレントとしての森下千里について言っており、メディアにおける彼女の「タレント性」を指したもの。決して侮辱したものではなく、その実、私人としては賢明な女性なのかもしれない。タレントが様々なテレビ番組に出演する際は、各々に与えられた役割を担う事でこそその価値を発揮する。