このドラマを最初から観てるが、未だに核心の部分は明かされない。

端的に言うとよくわからない、しかし連続ドラマだからわからせないようにしてるんだろうとも思う。学校側と弁護士側のふたつのフィールドを設け、それぞれに細かい波風を毎回立たせて視聴者をあおっている。

積木珠子(菅野美穂)の攻撃が始まったと思ったら雨木副校長(風吹ジュン)が動き出し、加地耕平(伊藤淳史)はまるでこうもりのように珠子と雨木の間を右往左往。この、加地の態度にはかなりいらついている。仕方のない事だろうが、職員や雨木に踊らされて殆んど飼いならされた犬。

君にポリシーはないのか?まぁそういう役だから。きっとあとからウソみたいに人が変わるんだろう?

珠子の私的な味方であった瀬里直之(谷原章介)は、今や敵に回った。加地は予想通り学校側に懐柔されて、第6話終了時点で珠子はほぼ孤立している。7話で戸板篤彦(大倉孝二)が加勢するようだが、不正を働いて失職したアナーキーな男だから証拠能力にも乏しく、仁科朋美(谷村美月)もまだ口を割らない。三澤亜紀子(市川実和子)という元教師が今後キーマンになりそうだ。


お話の冒頭近くで、重要な役どころと思われた藍沢明日香(志田未来)が死んでしまったのには驚いた。学校が舞台だからして、いじめがテーマになりそうなことはだいたいわかっていた。だがこういうケースで命を落とす人物は、明日香のようなキャラクターではなくてむしろいかにも不良で手のつけられない問題児で、「あんなやつ死んじゃえばいいのに」と誰もが忌み嫌う生徒というパターンが多いのじゃないかなと思う。そして、真相を追うに従って「本当はいいやつだった」とか「皆に誤解されてた」というような展開ではなかろうかと思う。が、今回はその逆をいってる。志田未来といえば、「女王の教室」でいじめに耐え抜き、「14才の母」ではバッシングや周囲の反対を押し切って命を誕生させた立派なヒロイン。劇中ではもちろんの事、女優としてもひとり立ちした格上の存在。それがいきなり死んじゃうンだから、「どんだけ?」っちゅうインパクトだ。

果たしていったい彼女に何があったのか?

義理の母子であったという過去は明かされたものの、まだまだ学校で何があったのかは「強烈ないじめがあったらしい」事しかわかっていない。その真相にどうやって迫るのか?という最大の関心が視聴者をテレビに釘付けにしている。


このお話がどう進んで行くのかを考えた場合、それは当然「いじめたのは誰か?」であり、「どのようないきさつでいじめられるようになったのか?」であり、そして「誰も助けられなかったのか?」が気になるところのはずだ。しかし僕が妙に思ったのは、生徒たち同士のやりとりがちっとも描かれない事だ。剣道部の主将やコスプレ少女は出てきて、また明日香の親友だったという朋美は登場したが、そこまでだ。何しろ、今いる生徒たちの個別のやりとりは僕の記憶では一切描かれていないのだ。これはどういうことだ?

描かれているのは珠子側の事情であり、また教師たちの在り様。雨木は「子供たちを守る」と判で押したように繰り返すが、その子供たちの顔はちっとも見せない。学校が舞台なのに子供たちは顔を消されているかのようだ。僕が妙に思いつつ、またある種の寒々しさを感じる理由だと思う。


そしてもうひとつ。

いじめの真相を突き止めるという事は、「悪いのは誰?」「何がまずかったの?」だと思うのだが、そこには敢えて未だにちっとも触れられていない。非難されるべき、改善すべき点ではなく、何が正しいのか?という正しさが追い求められている気がする

曰く、教師がやるべき事は何なのか?

書類を適正に提出する事。寄付を下さる父兄を刺激しない事。学校の安全の為に画鋲を拾う事。校区内では大人の模範たる事。そして、子供たちを守る事だ。それが教師の務め(のひとつ)だとされるが、それは同時に「本当にそれが教師の務めなのか?」という問いを常に伴っている。何が正しいのかをひとつひとつ求め、同時に確かめれば確かめるほど疑念が募っていく

それは、瀬里にも言えるのではないか?

仕事の為に正しい事を求め、それが人道にもとることであっても「職業人としては正しいのだと」自分を納得させている。


それが唯一出来なかったのが珠子だ。

血のつながらない、騙された(と思いこんでいた)結果、ごくわずかな期間、暮らしを共にしただけの、明日香への思い。それは単なる感傷に過ぎないちっぽけな感情だ。親子ではなく、後見人でもなく、何の契約もない。学校を相手に裁判を起こしたところで、弁護士として勝てる見込みなんて限りなく、ない。職業人として動くべき案件では一切ない。その真実を追い求めるなど笑止千万で、そこに正しさなんてカケラもないはず。

だが珠子は立ち上がった。

そこに、このドラマが描きたいものがあるのかなと思う。


この作品は、最終的には明日香の死の真相が明かされるのだろう。

明日香の死の可能性はいくつかある。

事故か自殺か他殺。

自殺の場合、いじめが原因となる。

他殺の場合はいじめのエスカレート。

これだけ空虚な教室を描いておいて、事故って事はないだろう。やはり自殺だろう。では誰が引金を引き、誰が明日香の背中を押したのか?

勝手な推測だが、それはな、なんと朋美だった!みたいな結末だったりして。

いや、いちばん明日香の身近にいた彼女の味方だった彼女が、こういう場合最も怪しいんでないかなと僕なんかは思うのだが。

もちろん勝手な想像。

なんだか、この作品はだんだんサスペンスドラマの様相を呈してるんで、そのサスペンスの手法であれば、誰が犯人っていって一番どんでん返されるのは彼女だから。


あ、第7話の放送は今日ですな。こりゃまた楽しみです。