17日午後7時52分ごろ、長崎市の伊藤一長(いっちょう)市長(61)が、JR長崎駅前にある同市大黒町の選挙事務所に入ろうとしたところ、男に背後から拳銃で2発、撃たれた。 市長は救急車で市内の長崎大医学部・歯学部付属病院に運ばれたが、心肺停止の状態。直後に事務所員が男を取り押さえ、長崎県警が男を殺人未遂で現行犯逮捕した。

男は長崎市風頭町、指定暴力団山口組系水心会会長代行の城尾哲弥容疑者(59)で、調べに対し、「市長を狙って撃った。殺すつもりだった」などと供述しているという。

銃撃直後、伊藤市長は事務所前の歩道に敷かれた布の上にあおむけに横たえられ、首の辺りから血を流し、ぐったりしていた。城尾容疑者は、拳銃のようなものを握った右手を掲げていたが、抵抗する様子もなく、警察の車両に押し込まれ、連行された。

最終更新:4月18日0時4分 読売新聞より


火曜日の8時は母の楽しみの時間。「歌謡コンサート」なる演歌番組だ。そのほぼ冒頭に、伊藤市長が銃撃されたとテロップが流され、「えぇ!」と驚いていたらば、8時を10分程度過ぎたあたりでテレビはいきなりニュースに切り替わった。そして上記のニュースが特別に流れ始め、同時に歌番組は打ち切りとなった。

ちょうどアメリカで銃の乱射事件が起こったばかりで、それは32人という史上最悪の死者を出したそうで、ただ海の向こうの事とて、「ふ~む」と腕組みするしかなかった。が、お隣りの、ローカルニュースで御馴染みの長崎市長がやられたと聞けば、なにやら人ごとでない気になる。人ごとではあるが、そうも言ってられない思い。

何しろ長崎市の、周囲に一般市民が大勢いる場所での事。市長選が始まったばかりで、いったいどうなるのか?と不安ものぞく。

その後のニュースはこの話題で持ちきり。テレビ朝日の報道ステーションでも「心肺停止」と報じるばかりでその先がわからない。午前1時から長崎大病院の記者会見が行なわれ、地元のフジテレビ系列のローカル局で会見の模様が流された。


『伊藤市長の容態』

発生時間は午後7時52分で逮捕が同54分(報ステ内で流れた長崎県警の記者会見より)。傷は二箇所。銃弾は背中から打たれており、一発は背中から心臓を損傷して胸骨に留まっていて、もう一発もほぼ同様の弾道で体内に入っている。長崎大病院に運ばれた段階でレスピレータ(人工心肺装置)が手当てされていた。これは、救急車が駆けつけた時点で専門医が同行していたらしく、その処置については迅速にできたと言っている。

病院に着いたのは確か8時10分くらいの時間を言っていたと思うが、そのあとの緊急手術が始まったのが8時50分だそうだ。僕は、これはかかり過ぎではと思った。記者が「かかり過ぎではないか?」というような質問をしたはずだが、「それくらいの時間はかかります」と院長が答えた。色々と答える中で、損傷は心臓だけではない事が知れる。出血は相当あったそうで、心臓以外に(カダイ?)静脈の損傷と、肺の損傷があったという。

執刀医は恐ろしく深刻な顔つきで、「重傷です」とコメントした。重篤なのだ。

僕は考えた。

銃弾が損傷したのは心臓と、肺と、(カダイ?)静脈。出血はもちろんひどくて、手当てが遅れれば出血多量になったと思う。そうはならなかったが、問題は心臓の損傷具合だろう。で、もひとつ肝心なのは、心臓が損傷を受けた為に脳への血流が滞っていた事が予想され、それを見て、救急医が慌ててレスピレータを手当てしているのだが、果たしてそれは何時の事だったろうか?通常、脳に血流が行かない時間が3分を超えると危険なはずなのだ。この事が意味するものは、つまり脳死だ。病院に着いた時には脳死状態だった可能性もある。伊藤市長は救急車に担ぎこまれるときに問い掛けられていて、しかし応答はなかったと伝えられている。意識はなかったのだ。なぜか?心臓を貫かれた為に拍動は止まっており、意識は消失しており、普通ならそれで亡くなるところだ。人間は心臓が止まってもすぐには死なない。心臓が動かない事によって前身に血液が回らず、それで脳が機能を停止する。中でも、脳幹が死ぬと全てが終わる。確か。脳幹がまだ生きている人が植物状態。

容疑者が(2分後に)直ちに取り押さえられ、しかし同時に市長にレスピレータを取り付けられたのか?甚だ疑問。病院に担ぎ込まれたのは8時10分だから、撃たれてから18分経過している。レスピレータの取り付けが何分だったかは(記者の)誰も聞かなかったし(病院側の)誰も話さなかった。


もひとつ言うなら、緊急手術は何に対して行なわれたのか?損傷を受けた心臓に対する処置は適切に行なわれたのか?手術を始めるまでに40分かかっている(8時10分~8時50分)が、その40分の間に心臓が機能停止に陥る心配はなかったのだろうか?レスピレータをつけているから生命維持は出来ているとしても、何より心臓が死んでしまったら大変な事ではないのか?


・・・・いや。いやいや。

別に、僕は病院を責めているわけではない。恐らく、心臓を撃ち抜かれた・・・いや損傷された時点で『万事休す』だったかなと考える。救命態勢は相当に充分に迅速に対処出来ていると思う。けれども、心臓が止まった時点から3分以内にレスピレータを取り付けるなど、あの状況ではどだい無理だったろう。


『容態の推察』

これまでの経緯や記者会見の内容から考えて、伊藤市長は既に脳死状態にあるのじゃないかと僕は思う。それは、銃撃を受けた段階で心臓に著しい損傷があり、脳への血流が停止し、迅速にレスピレータを手当てしたがもう手遅れだった。今は、実際にレスピレータによって前身に血流が循環しており、市長は生きている、しかし、もう脳は・・・。そして心臓も。もし、撃たれてから3分以内にレスピレータが装着されていたと仮定すれば、その場合の脳はちゃんと生きており、すると心臓移植を行なえば蘇生するはずだ。もちろん仮定の話。

市長は遊説を終えて事務所に戻り車を降りたところを狙われたが、たとえばもっと農村部だとか郊外の、病院が近くにない場所だったら完全にアウトだっただろう。いや、なんか、意味のないたとえだが。

病院側としては、出来うる限りの処置をという事でレスピレータを取り付けたはずだが、一命はもちろん取り留めたのだが、それはその場を凌いだだけの事だった気がする。




もちろん許される事ではないと思っている。

容疑者の動機は、要は個人的な恨みだったようだ。市の関係する道路工事現場において自動車事故を起こし、(細かい理由は知らないが)損害保険金が出なかったらしく、市に対して工事現場の管理義務違反などと言ってクレームをつけたそうだが市は取り合わなかった。そのような事に腹を立て、だからといって市長を襲っていったい何になる?殺害して何の解決がある?事故を起こした運転者である城尾容疑者がもとではないか。


それにしても、1990年にも、当時の本島市長が銃撃を受けている。戦争を終わらせるための見せしめとして原爆の被害にあい、40年後も、60年たっても市の代表者が暴力にさらされる。こんなことってあるか?


追加記事:長崎伊藤一長市長 死亡