日米対抗フイギュアとやらをやってました。これはたぶん、シーズンの開幕を告げるどちらかと言えば「顔見世興行的な」もののようだったんで、リラックスして見ました。

御馴染み、安藤美姫、浅田姉妹の登場です。オリンピックイヤーではないから、トリノ以降、彼らがどれほど成長しているかを確かめる感覚でしたね。

トリノで世界を獲った荒川静香は、「スタジオからこんにちは」とばかりに余裕の解説です。


まずは姉の浅田舞。

彼女はモデルも兼業しているという事で前からスケートの方はそれほど振るわず、申し訳ないけど妹の引き立て役というか、選手としては目立ちませんでした。が、近頃モデルの方を辞めてスケート1本に絞ったという話を聞いてましたから、はてさて妹に対抗してどれほどのもんかと思っていました。

いやいや、集中したら結構やるではないですか。妹と共通のDNAを有している事が伺えます。ジャンプに派手さがないというか、ミスをしないことを意識したというか、やや無難な滑りでしたが、これはスケートに専念したら相応のレベルの演技が出来るのだという事を示してくれましたね。まだ18歳だし、今後は本格的に姉妹が対決するのではと感じました。


次は安藤美姫。

トリノでは4回転ジャンパーとして相当なプレッシャーと闘った彼女。足の怪我があったりで本調子ではなかったせいもあり、4回転をやれないならメダルは無理で、それなら「協会はもっと浅田真央を出場させられるよう根回しすべきではないか」とか、もう何やかんやとバッシングもあったようです。結局、4回転に本番でチャレンジして失敗し、そこで彼女のオリンピックは終わりましたが、それでよかったのだと僕も思いました。やれるチャンスがあるのならやはりやるべきでしょう。4回転をやらずにはメダル獲得は困難だったわけで、それでは得るものは少ない。彼女はやって失敗して、そして喝采を浴びました。この経験で、彼女は大きな何かを得たんではと思います。そして今回の演技ですが、何かを吹っ切ったような、本当にキレのある素晴らしい滑りでしたね。安藤が最高のパフォーマンスを発揮すればこのくらいはやれるんだと、実に完璧な、鮮やかなものを見せてくれました。本来の、スケートを楽しみながらも観客を魅せるという彼女の実力を余すところなく発揮したものだったと思います。荒川静香も言ってましたが、動きが非常に軽く、ジャンプにもキレがあったと思います。また、トリノの時よりもステップだとか上半身の使い方だとかが洗練されていて、まさに一皮向けたものでした。周囲の雑音から相当に解き放たれて、有意義な練習と調整ができたのでしょう。これは、日本のエースとして充分期待できますね。


最後は浅田真央。

実際の話、やや心配というか、ちょうど身体に日々変化が訪れる時期ですよね、16歳というのは。いきなりこけました。本番でこけたのは本当に久しぶりだとか。それを除けば、全体的にはよく滑り込んだというか、動きもまずまずしなやかで、うまくまとめた感じでした。得点も最も高いものだったそうで。ただ、僕にはやはり・・・もう少しと感じました。しょっぱなにこけたせいで笑顔が少なかったからかもしれない。こけたせいで「あぁ減点だぁ」って思いながら見ていたせいかもしれない。真央がこけるのを見慣れていないせいかもしれない。それを横に置いといても、やっぱり何かが足りない印象がありました。僕が浅田真央の最高の演技を見た時の記憶では、「胸に迫るもの」や「どういうわけか込み上げるもの」や、あの細く小さな身体にも拘わらず「一大叙事詩を」感じたのです。今回それはなかった。

開幕戦という事で、また、最後の演技者という事で、硬かったのかもしれません。16歳になったことで、逆に伸び伸び感を奪われた可能性もあります。これからが試されるということになるでしょうね。


全体としての最後の演技者であるアメリカのキミー・マイズナーも一度こけて、やりかけてやらなかったジャンプが二度もあって、人の子の弱さを見せてくれました。

何にせよ、これからシーズン到来という事で、こういうのがちらほら行なわれるわけです。楽しみです。


村主章枝もいます。僕は中野由香利に期待しています。