昔テレビで見たミラーマンは、鏡の世界からやってきたヒーローだった。ウルトラマンと違って宇宙人という設定ではない。もちろん、そんな世界は架空のものだからしてそれほどたいした違いはないが、これは独特の世界観ではあった。敵の連中が、確か「インベーダー?」などというもので、主たる活動が夜で、みな黒いサングラスをかけていて、だから見ている方は「そいつは敵だ!だまされるなよ、おいっ!」ってよく突っ込んでいた気がする。それで割合と暗い場面が多用されていて子供心に怖さを感じながらおそるおそる見ていた記憶がある。

ミラーマンはピンチになると鏡、ガラス、車のバックミラーなど、要は自分の姿が映るものを利用して変身(本来の自分に戻る)する。この事は何を意味しているのだろう?「○○の鑑」という言い方がある。手本という意味だ。「人の振り見て我が振りなおせ」なんてのもある。鏡は普通、自分の姿を映して、そこで自分に至らない面がないかをチェックするのによく使う。鼻毛の先は揃っているかなとか、目ヤニの色で健康度を測ってみようとか、この、目元がもう少しきりりとしていたらなぁとか、色々だ。してみると、ミラーマンが鏡を使う(鏡の世界にアクセスする)事は、本来の自分に帰る意味を持つと考えられる。違う言い方なら、「胸に手をあててじっと考える」ことだ。甲子園で活躍する球児達はよくお守りを懐に忍ばせている。それをぐっと握り締めて打席に立ち、マウンドでもやはりお守りに手をあてる。(まだ)巨人の桑田はボールに向かってぶつぶつと語りかけ、メジャーのガルシアパーラは打席で1球ごとに手袋を絞めなおす。第一線で活躍する人たちにはみな個性的なクセがあり、それが精神集中の儀式であり自分を高める方法だとわかる。そうそう、ハンカチ王子の汗拭きも同様だと思う。だからミラーマンの変身は、本来の自分に戻ることであり、己の成すべき事を成すためのアクションなのだ。これによってミラーマンは自分の最大の力を発揮できるわけだ。


一方、ここ最近のミラーマンといったら、例の植草一秀だ。彼が映したものは何だったか?そうだ。女子高生のスカートの奥だ。使い方が違う。彼が映したのは己の奥底に潜むべき歪んだ欲望であり、彼は、男という生き物がどこかに飼っている獣を飼いならす事が出来なかったらしい。我が身を正す為に使うべき鏡を、欲求を開放する道具として使った。裁判所が没収したのもうなずける。しかもこの男、周囲が甘いのをいいことに、今度は白昼の電車内で実行行為に及んだのだ。いくら鏡を没収されたからって、これはもうどうにも救いようがない。刑務所に入ったら、こいつは同性に手を出しかねないと見た。


それにしても、この男がどうなろうと僕には関係ないのだが、周りの人たちが本当に気の毒だ。家族はもちろん、この男をかばった大学関係者や友人、知人達だ。一般庶民が聞けば「住む世界が違う」と開き直るしかないほどの輝かしい経歴は全て失い、性欲の塊と目される男。愚かな男。


鏡の使い方を間違った男の行為は、逆に反面教師にしたらよかろう。


この人が鏡の世界からやってきたミラーマン。ご存知の方はたぶん40歳代です。

近々、ミラーマンの新作が出るらしいです。

ミラーマン

あと、なんかおもしろいのを見つけましたので。

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