堂本兄弟の続きです。


中越典子はなかなか上手な印象を持ちました。あくまでも歌手でない割にはですが。言葉の歯切れの良さやリズム感、声も安定していました。選曲が椎名リンゴの楽曲だったので、もう少し聴きやすい、例えば今井美樹のバラードあたりを歌ってくれたらもっと心地良く歌えたんじゃなかろうかと思いました。本格的にきちんとレッスンを受けて修行したら、十分の歌唱力を発揮できそうです。


前に放送された時に観て、しかし総集編の中では登場しなかったユンソナは非常にうまいです。バラエティで笑い転げてるのとは対照的な、美しいボイスをお持ちです。伸びやかで、みずみずしく、透明感を備えた魅力的な声をしています。当たり前の話ですが日本語の発音がどうしても不安定で、しかしそれさえ解消されれば歌手としてのひとり立ちが120%可能だと僕は考えています。現に何曲か曲をリリースしているのですが、あまり音楽活動に積極的ではないようです。


僕の経験です。カラオケボックスで歌う時に、声を女性声に変換できる機械があって、一度試しました。自分自身さっぱり気持ちよくなかったし、周りもさら~っと引いてしまいました。僕が歌っているのを見ていながら「今の・・・誰?」みたいにしてむしろ気持ち悪かったようです。声の魅力というのは、肉声(マイクを通してるので肉声とは呼びがたいですが)にしかないものなのだとあらためて感じました。また、楽譜は歌の設計図ではありますが、それを設計どおりに再現しても、必ずしも魅力的ではないのです。肉声が持っている質感、声を震わせるビブラート、歌詞の内容に合わせて付ける音の強弱やアクセントとしての声の大小。それは無論、感情表現でもあって折々に込めるそういった想いをこそ歌に滲ませてはじめて人に伝わるのだと思います。メロディラインをきちんと捉える事はもちろん、いいリズム感を失わずに歌うのは基本中の基本です。それに、魅力的な声とその伸びです。

そこから更に一歩進んで人の心に沁みこむ歌唱表現というのは、歌い手の持つ独特の個性や感情までも表す事ができれば、その時叶うものなのかなと思います。


忌野清志郎も登場しました。彼の歌というのは、はっきり言って常識はずれです。他人の歌を歌っても、彼が歌うとそれは忌野ソングに変わってしまいます。彼の歌は、その歌にもともとあったはずの設計図を破り捨てる事からはじまります。彼が声を発すると、そのメロディがたとえ外れていても、その音、そのリズムが正しいとしか聞こえなくなるのです。全てを凌駕し、呑み込み、そして再構築してしまう彼の圧倒的な個性のなせる技。うまいとかへたとか、そんな次元を完全に超越してしまいます。人間の持つパワーを感じずにはいられませんね。

ソナ