昨日からのさらに続きです。長い!


当初は4キロ弱だった練習メニューは、次第次第に増えていきました。5キロ、6キロ、7キロとです。そしてT先生も僕らが(女性陣は皆こつこつとやっていて、さぼっているのは男子だとちゃんと知っている)さぼらないように結構早くプールにやってきて練習を見るようになりました。個人的にフォームの修正をしたり、ターンを集中してやらせたりします。


僕は中学の時に何とか泳げるようになって以来、とりあえずは400メートルとか800メートルを泳げる体力も身につけていましたが、エントリーするという1500は未体験の距離です。或る日、1500のタイムを計るという事になり、「まぁどれくらいできるかとりあえず泳いでみろ」とのたまいます。

はぁ~っと気が重い僕。1500も泳げるかなぁ?途中で足つっちゃうんでないの?

泳ぎ始めて、まぁ800までは経験があるのでまだいいです。1000を超えたあたりで、身体の感覚がない事を自分で意識します。機械的に反復運動を繰り返し、まぁ進んではいますが泳いでいて全く泳いでいる気がしない。気持ちよくないし、推進力を自分で感じない。こりゃ少なくとも「かなり遅いな」とわかります。

・・・そして、泳ぎ終えて、身体から力が全て抜けた感じ。


実際の試合では、記憶が定かでないですが25分か30分か、確か制限タイムのようなものがあります。それを過ぎると、プログラム進行の妨げになるので「もういい」とばかりに止められてしまうのです。僕の最初の試し泳ぎタイムは・・・確か40分近かったような記憶があります。こりゃ止められる。少なくとも、試合に出るからには制限タイム以内でコンスタントに泳げないと話しになりません。実際に止められた日にゃ顔から火が出るほど恥ずかしいですよ。T先生は、「まぁ最初はこんなもんやろ」とそれほど意に介さない様子でした。

「先生~!自分とこの選手が止められるとこ見たくはないでしょ?指導者としても恥ずかしいはずだ。誰か他の人を出してちょーだい!!」

と内心思いましたが、僕にもちょこっとは意地がありますから口には出しませんでした。とりあえず、まずは400のタイムを上げるよう、400のスピードを身体に覚えこませろと言われ、その日からは練習メニュー以外に400のタイムトライアルを一日5本づつやらされたのでした。


そんな折、僕に幸か不幸か「ある事故」が起こります。

体育の時間にバスケットボールをやっていて、何と足をひねって捻挫してしまったのです。練習を3日ほど休み、泳ぎ始めてからも「長い距離は当分やるな」と言われ、400のタイムトライアルも課されませんでした。そうして、やるのは200のタイムトライアルに集中していきました。何か、楽をさせてもらってる気分にもなり、自然に200を泳ぐ事には気合いがいや増していきました。泳ぐたびにタイムが上がり、がぜん燃えても来ます。少しでもたくさんの水を、それも強く掻き出し、足の蹴りが衰えないよう腰に意識を持ち、集中力を切らさず前を目指します。

もっと前へ!1秒でも早く!


与えられた練習メニューを(そこそこ)こなし、自分の種目のタイムトライアルをやり、速いターンを練習し、がっつり(放課後はパンをふたつ)食って、帰ってもまた晩飯食ってぐっすり寝る。そんな日々を過ごしていれば16歳の伸び盛りの時でもあり、それなりにスタミナもつき、タイムも上がっていきました。


そしていよいよ試合の日がやってきました。高総体(当時は高体連と呼んでいた)です。僕のエントリー種目は200と400。そうです。結局1500は充分な練習ができなかったという事でエントリーなしでした。はぁ~よかった!


次回はいよいよ最終回とあいなりまする。