なるほど!慢性膵炎
看護師になるための勉強アドバイザー☆上田由香里です
新シリーズ「なるほど全部つながる解剖生理」です。
看護ができる看護師を目指すみなさんですが、適切な看護を提供するために欠かせない要素の一つ「知識」
解剖生理がわかると病態を理解しやすくなります。病態がわかると必要な看護が見えます。そう見えてくるんです。というわけで、名付けて「なるほど!全部つながる解剖生理」
このシリーズでは、今すでに実践している看護の根拠を確認することで「解剖生理を復習しちゃおう」と思います。
今回は「慢性膵炎」についてです。
慢性膵炎と言えば「食事療法」が重要ですね。教科書に必ず出てくるのは「低脂肪食」です。
「なぜ脂肪を制限しないといけないの?」
「脂肪を消化吸収するために膵臓がはたらくからだよ。膵臓に負担をかけないようにするために脂肪を制限するんだね。まずは、脂肪の消化吸収のしくみを確認してみよう!」
「脂肪を吸収するためには、まず脂肪を分解しないといけないんだよね?」
「その通り!下の図を見てみよう。」
脂肪を分解するには「胆のうから分泌される胆汁に含まれる胆汁酸と膵臓から分泌される膵液に含まれる消化酵素」が必要です。(それぞれが十二指腸に分泌されるその出口(赤丸部分)を「〇〇ー〇ー乳頭」といいますね。)
つまり、摂取する脂肪を減らすことでその分の膵臓の仕事を減らしてあげようというのが「脂肪を制限する理由」です。
さて、膵炎というと大事な観察項目は「便の性状」ですね。慢性膵炎の場合、どんなことに注意して観察するとよいのでしょう?
脂肪を分解するには「胆のうから分泌される胆汁に含まれる胆汁酸と膵臓から分泌される膵液に含まれる消化酵素」が必要です。
膵炎の場合、膵液を分泌するはずの膵臓のはたらきが悪いわけです。そうすると、胆汁は分泌されるのに、膵液は分泌されない・・・
つまり胆汁と膵液の2つがそろわないせいで脂肪を吸収できません。小腸で吸収できなかった脂肪は大腸に送られ排泄されることになります。
こうして排泄される便には「脂肪が多く含まれる」んですね。この便のことを脂肪便といいます。想像通り、油っぽい便です。
もうひとつは「便の色」です。膵炎の場合「便が白くなる」って聞いたことはありませんか?
なぜでしょう?
答えは、本来便に含まれるはずで便の色の素になる「何か」が少なくなるせいで色が薄くなるんです。
「何か」とは?
脂肪の分解に使われる胆汁酸、実は1日に使う分のほんの1~2割ほどしか作られません。残りはどうしているのかというと「リサイクル(腸肝循環)」です。脂肪の分解に使用した胆汁酸は脂肪にくっついた状態で小腸で吸収されて肝臓に戻るんですね。
リサイクルによって肝臓に戻ってきた胆汁酸の刺激で新たな胆汁生成を促します。
胆汁には胆汁酸以外にもいろんなものが含まれています。「何か」はいろんなものの中のひとつです。「何か
」は胆汁に含まれて分泌されたあと、大部分は便中に含まれ排泄されます。
ところが、慢性膵炎の場合脂肪の吸収ができないため胆汁酸の「リサイクル」ができません。つまり胆汁酸が戻ってこないうえに、「新たな胆汁を作ってください」という刺激すらなくなってしまうわけです。
つまり胆汁を作ることができない→胆汁に含まれるはずの「何か」がない→便の色の素になる「何か」がなければ便の色は薄くなる というわけです
【まとめ】
脂肪の分解には胆汁に含まれる胆汁酸と膵液に含まれる消化酵素(膵リパーゼ)が必要です
膵炎の場合、脂肪を吸収できないことによって起こる身体の反応:異常便の性状が大事な観察ポイントです
【復習ポイント】
脂肪の消化・吸収
胆汁の生成・分泌(肝臓のはたらき)
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