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我が家はドイツに暮らす日英ファミリーです。

ちょっと心身共にバタバタで、落ち着かない日が続いてますが、誰が読むわけでないこんなブログでも、一応自分用の記録として。最近読み終わった本です。


今年の目標:通勤電車で読書 地味に続けています。3冊目の本は、、、下矢印



Timothy Garton Ashのノンフィクション「The File」


歴史学者でガーディアン紙とかに寄稿もしてるGarton Ash自身が、まだ東西ベルリンだった時代に、研究者としてどちら側でも暮らし、そして壁がなくなって統一後、東ドイツの秘密警察Stasi監視下に置かれていた事を発見するところから話が始まります。


最初の彼の若い頃のバックグラウンド話は正直冗長で、一度読みかけて諦めたことがあるのですが、今回再挑戦したら、読み進めるたびにぐんぐん引き込まれて最後はめちゃくちゃパンチのある一冊でした。


特にロシアによるウクライナ侵攻の最中の今、1997年初版のこの本がこんなにも関連性を持ってくるとは!著者Garton Ashもきっとびっくりでは。


ちなみにスパイだの秘密警察StasiだのMI6(英国秘密情報部、ジェームズ・ボンドは架空のキャラですが、MI6は実在します)だのいっぱい出てくるんですが、実は、私はリタイアした本物のスパイのお家でお茶を頂いたことがあります。


その方とのお茶で覚えているのは、彼は絶対に窓やドアに背を向けて立つことがなかったこと。そして、上品な奥さんが、帰り際に玄関に掛かっていた古いプラハの街の絵をみながら、プラハではとても素敵な時を過ごしたわ。と言ってたこと。まだ鉄のカーテンがあった頃のプラハ、、、表向き外交官としてプラハに赴任してたそうです、、、ジェームズ・ボンドの世界そのままの現実で、さすがイギリスのスパイや~と変なところで感心したのを今でも覚えています。


The Fileの読みどころは、Garton Ashが自分のファイルにあったStasiのIMこと非公式協力者・密告者を、見つけ出し実際にファイルのコピーをみせて対峙する部分。信頼していた友人や、全く予想だにしていなかった人物が密告者であったことにショックを受けつつも、彼らの人生からその選択を理解しようとする姿、そして密告者として暴かれた普通の市井の人々の人生には、善悪はっきりと色分けできない人間の複雑さをまざまざと見せつけられます。


最後にGarton Ashは、実際に自分の尾行に関わった秘密警察側の人間にも接触を試みます。仕事だから、自分は悪事に手を染めていない、組織は悪でも自分の部署は違った、など、置かれた環境で精一杯生きるしかなかった東ドイツの普通の人間の弱さが次々と出てきます。


これはどの社会でも同じです。自分が他方から見て悪の部分にいることなんか、中にいたらわからないのが当たり前。おかしいなぁと思っても、周囲もみんなそうだし、とそこから一歩外に踏み出さない人間がどれほど多いか。自分も含めて、今、世間がウクライナ侵攻で燃え上がっている今、大いに考えさせられます。


ある国際ピアノコンクールは、最近こんな告知を出し、支持と非難を受けています。






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西側の音楽界がロシア/ベラルーシの音楽家で、体制を非難しない(できない?)人たちを著名だろうがなんだろうがバンバンぶった切ってるなか、この「音楽に国境はない」というメッセージを打ち出したコンクール。

支持、批判どちらの意見も生の人間の意見で、考えさせられます。