サッカー用語だらけの桃太郎 | picture of player

サッカー用語だらけの桃太郎

昔々、おじいさんとおばあさんがサッカークラブを経営していました。

 

おじいさんは山へ和製メッシを探しに、おばあさんは川へ和製ロナウドを探しにいくと、川上からランパード、ランパードとユース史上最高傑作の桃が流れてきました。

 

「川を流れるスピード、ターンの鋭さ、インテンシティの高さ、この若さでこんなに完成度が高い桃は見たことがない。持ち帰ってうちの至宝にしよう。あと、一緒に流れてる傷ついた鮭たるカペッロはこのまま流そう」

 

とっさにおばあさんは持っていた手ぬぐいを渡し、はしりがきの契約書を交わしました。家にダイアゴナルランして桃のバイタルエリアをエントレリネアスしてみると、中からはプレーは素晴らしいが素行の悪い逸材が生まれました。

 

「根も葉もない噂ばかりで笑ってしまうよ。彼だけじゃないんだ、うちに来たい選手は他にもいるはずさ。まあ様子を見てみようじゃないか」

 

逸材は和製桃太郎と名付けられてすくすくと成長し、指導方針で村長と衝突、ナイトクラブでケンカ沙汰、恋人とのセックス映像をネタに村人を脅迫、村人が育てたトマトを全部食べるなど一通りの騒動を起こした後、ある日こんなことを言い出しました。

 

「自分たちのサッカーで鬼退治をしたい」

 

おじいさんとおばあさんは慌てて反対しました。フィジカル、スピード、インテンシティの高い鬼に対してあまりにも準備が少ない、守備を固めてカウンターを狙うしかないだろうと説得します。

 

「それはごもっともだが、俺の考えは違った」

 

和製桃太郎の決意に折れ、おじいさんとおばあさんは食べればたちどころにフィジカルが高まり疲れ知らずになるが尿からは何も検出されないきびだんごを和製桃太郎に渡しました。

 

和製桃太郎は鬼ヶ島を目指してフリーランニングしていましたが、協会がボーナスの支払いを断ったのでボイコットをちらつかせていたところ、メディアの犬に出会いました。

 

「きびだんごをくれたら、インタビューしてないのにあたかもしたかのような記事をたくさん書くよ」

 

和製桃太郎がまだ見ぬアモーレをエアインタビューしていると、気持ち猿に出会いました。

 

「きびだんごをくれたら、強い気持ちを見せてあげるよ」
「サンキュー、猿!サンキューな!」

 

メディアの犬、気持ち猿とアタッキングサードをレジスタしていると、今度は協会の風見鶏に出会いました。

 

「きびだんごをくれたら、引退後に協会での役職を約束しよう。役職を約束、なんつってな!」

 

和製桃太郎は激怒して協会の風見鶏を殴って代表を追放されかけましたが、「すいませんでした、自分が一番悪いですが俺だけのせいになるのは腹が立ちます」と謝罪会見を開いて事なきを得ました。

 

やがて和製桃太郎は鬼ヶ島に辿り着き、鬼たちとの対戦となりました。記念撮影、握手を終え、試合開始前に和製桃太郎は鬼にこう宣言しました。

 

「ゴール前にバスとか置いたらアンチフットボールだから!」

 

鬼たちはさすがに欧州トップモードでした。4-2-3-1から4-3-3そして2-3-5、さらには5-5-1へとフォーメーションを変える可変型システムで波状攻撃を繰り出し、ディアゴナーレなスカラトゥーラを炸裂させます。

 

和製桃太郎はたじたじとなりました。きびだんごでドーピングしたのに、自分たちのサッカーがまるで通用しないのです。

 

犬はあることないことを書き立てますが、訴訟をちらつかされて沈黙しました。

 

猿の強い気持ちは早々に折れて沈黙しました。

 

協会の風見鶏は英語ができないので沈黙しました。

 

万事休す、そう思われた時、鬼ヶ島を切り裂くように高い笛の音が聞こえます。笛の方を見ると、そこには高々とレッドカードを掲げる主審がいました。鬼たちは抗議をしますが、判定は覆りません。その後もすべての接触が鬼たちのファウル、和製桃太郎がつまづいてこけたらPK、主審と目が合ったから退場などの不可解な判定が繰り広げられ、チーム鬼ヶ島は崩壊してしまいました。

 

試合後に和製桃太郎がスタンドを見ると、おじいさんとおばあさんが主審にサムアップをしている姿が見えました。なお、三日後に主審は原因不明の死を遂げましたが、ロシア当局は自殺と断定しています。

 

「確かに鬼たちから見ると不可解な判定かもしれないが、サッカーにはそういったことはつきものだ。全体で見ると公平なジャッジだったと思うよ。八百長?バカバカしい、きみはその発言の責任を取れるのかね?」

 

試合後の会見で、おじいさんとおばあさんは机を叩いて早々に席を立ちました。ヘスス・スアレスはすぐこの件について親友のペップにメールを送りましたが、返事はまだ来ていません。戦いは終わったのです。

 

鬼たちからジュール・リメ杯を取り戻した和製桃太郎は協会内の支配者として君臨し、「ジーコには聞いたのか?」と時折現場に口を出しては幸せに暮らしましたとさ。


デレ・アリ、デレ・アリ。

 

 

 

サイバーエージェント用語だらけの桃太郎パクりオマージュして作りました!インスパイア!