■戦評■W杯アジア3次予選 日本-タイ 「日本の両軸」 | picture of player

■戦評■W杯アジア3次予選 日本-タイ 「日本の両軸」

■日本4-1タイ
■短評
さて、ついにやってきたW杯アジア予選。もうやるのかよ。というわけでざくっと見ました。

日本は4-4-2のトップ下付き。GKは変態川口、DFが右から内田、中澤、阿部、駒野、中盤は啓太がアンカー、その前に遠藤、憲剛、トップ下に山瀬を置いて、2トップは高原&大久保。タイは低い位置にゾーンを敷いた4-4-2。キャプテンと主力サイドバックが欠けた二枚落ち。

前半はワンサイドゲーム。テクニックにおいて完全に上回る日本が押し込む。が、フィニッシュまでは中々行かない。そりゃあんだけ引かれりゃ中々難しい。わけだが、こちらにあるのは飛び道具。遠藤大先生のFK一閃で日本が先制。やあ、楽勝かな、と思いきやそのあとにタイの超絶無回転ミドルで1-1の同点に。ありゃ墓まで持ってくスーパーシュートなので、しょうがない。そのまま日本は押し込むが、追加点は奪えずに後半へ。

後半も日本は同じやり方で押し込み続ける。だんだん疲弊して可動性が悪くなってくるタイDFを見て、もう時間の問題かなと思ったところ、山瀬の突破からのこぼれ球をサッカー馬鹿が押し込んで逆転。そのあとはタイの集中力が切れ始め、一人退場になってぷっつん。そして、中澤&巻の2連発ヘッドで沈没。あの高さにヘッドで行くのは、世界でもイグリ・ターレか巻くらい。タイのみなさま、寒い中お疲れ様でした。

さて、内容。守備はパス。何もなかった。

攻撃は以前よりも改善していた。チリ戦のような中央突破一本槍ではなく一旦中央で細かなパス回しをしてからサイドに振る、あるいはサイドに寄せてから逆サイドという形が見えてきた。特にサイド寄せだけではなくて、中央で一旦くさびあるいはショートパスの交換をしえから逆サイドに振るのは、岡田時代になってからの特徴の一つか。ただ、その独自色も必ずしもうまくいってなかった。まずバイタルエリアでの細かいショートパスが繋がれば当然チャンスになるのだが、「バイタル」と呼ばれていることからもわかるように、ここで自由にさせないのは現代サッカーの鉄則。自然と相手も守備を固めてくる→ボールをつなぐことは難しい。しかも、イタリア型少数カウンターでボール取られる分にはなんら怖くないのだが、いかんせんここはJAPAN。サイドに展開するために人数をかけているので、ボールをとられると一気にピンチに。この試合ではタイがどうしてもボールを前につなげなかったのでそれほど怖くはなかったが、欧州&南米の強豪相手だと一気にゴール前まで持っていかれる可能性が高い。もちろんリスクの高いやり方をしているので、それも織り込み済みなのだろうが、今、スイスのようなプレスの強い相手と当たるとしたらぞっとする。コンビネーションと精度を上げて、なるべく取られないようにするのが一番だが、それも限界がある。中央を攻める回数を減らすのも一手だと思うが、そうなると淡白な攻撃でサイドで崩せるかどうかは微妙。痛し痒し。

また、折角苦労して振ったサイドがどうなのよ、という話もある。このチームにおいて、サイドバックの上がりは組み立ての最終段階に近い。しかも、MFとFWが中央に極端に寄る攻め方が多いので、サイドはサイドバックの単騎駆けがデフォ。そうなると内田、駒野ともに突破力がある選手ではないので、1対1で勝てない可能性もある。そうなるとまたスローダウンして1から作り直し、ということになってしまう。また、オシム時代同様に極端なまでの運動量をサイドバックに強いるので、ボールを奪われたときのリスクが大きい。オシム時代よりも中央に寄っているから、なおさら。そのマネージメントを啓太一人に任せられるのか。また、まだ合わせて間もないからしょうがないのかもしれないが、クロスがあまりにも見当はずれなのも気になる。特に内田は単純にまだFWと合ってないことが多い。慣れてないだけならばいいのだが。

最後に、前線の組み合わせ。今回巻が外れて、高原・大久保の2トップに山瀬という形だったが、お世辞にもよく機能していたとはいいづらい。普段サイドや前線で人柱になっている巻がいないので、代わりを高原が汚れ仕事を務めたのだが、彼はなるべくゴール前に置いておきたい。かと言って大久保や山瀬がそういう仕事をできるわけでもない。中々PA内に進入する機会がなく、高原自身も苛々したことだろう。また、大久保と山瀬のプレーエリアが被りすぎる。どちらかが気を利かせて、というか山瀬がやるしかないと思うのだが、うまくそれができるか。とりあえずもう少し見てみなければわからないが、格下相手ならともかく、強いチームとやるときにこれでは厳しいだろう。エース+泥沼系+トップ下という形が一番理想な気がする。泥沼系が人柱枠の巻・矢野・田代になるか、小型機動兵器の播戸・寿人・羽生になるかはそのときの状況次第になるかと思うが。まあ、とりあえず大久保は腹筋100回な(かわいがり)。

と、まあ色々あげつらったけども、いい点もあった。練習試合も含めた3戦で、軸がはっきりしてきたことだ。オシムがいなくなって外見が変わってしまったのだが、それでも軸はぶれてない。このチームは遠藤と憲剛のチームだ。遠藤がリズムを作り、ボール回しに参加し、憲剛が大きなサイドチェンジでリズムを変える。システムの似たミランでたとえるなら、セードルフとピルロか。褒めすぎだ。おそらくオシム時代で最も成長したであろうこの2人が、岡田監督に引き継がれた最大の財産なのではないか?最盛期ちょっと腐りかけくらいで迎える2010年は彼らが心臓になってくるだろうね。もう一人の中村オリジンのことを考えるとちょっと頭が痛いが(笑)。

まあ、まだ三次予選。しかも相手は飛車角落ちのタイ。まだ大騒ぎするようなことじゃない。


■picture of player 山瀬功治
やっときたスタメンのチャンスで勝利に貢献した。これと言って際立った特徴はないのだが、ドリブル、パス、運動量、シュートと全てが高水準。特に動きながらの基礎技術は日本人でもトップクラスじゃないか。遅れてきた才能がゆっくりと代表に根を下ろし始めた。ただ、絶対ではない。松井もいる、中村初号機もいる、梅崎も、柏木も、家長も、大久保も、羽生だっている。彼らから抜きん出るために、一体何を武器にしていくのか。突出した何かがないと厳しいだろう。後、怪我が怖い。まあ、とりあえず巻と交換 ってのは違うでしょ。笑