2007 J1を振り返って 「行く年来る年サガン鳥栖」 part4 | picture of player

2007 J1を振り返って 「行く年来る年サガン鳥栖」 part4

あけましておめでとうございます。
あー、やっぱ年内間に合わなかったわ。
年末年始はバートンのように牢獄に入っていたわけではなく、酒びたりでした。
今年は特別な目標もなく、相変わらずだらだらと好きなときに更新していきたいと思います。
ちなみに正月に実家帰ったら、妹の彼氏(俺より5歳年上)が鎮座。微妙な雰囲気で餅を食ってきました。あはははは。
では、ファイナルです。どーぞ。


■清水
■順位 4位
■採点 6.0
■評価
守備は完成した。では、次は攻撃を!ということでしたが、イマイチ突き抜けられないまま、昨年と同じ順位。勝ち点もわずかに1アップの61。中盤ダイヤモンドという攻撃的な布陣を敷いたが、得点は昨年より少ない53点で全体の8位。それでもCBを中心とした守備陣の頑張りで勝ちを拾ってきたが、長谷川監督的には「こんなはずじゃ」という思いが強いだろう。攻撃は結局チョ・ジェジンとフェルナンジーニョ頼みだった。特にターゲットマンであるチョ・ジェジンへの戦術依存度は非常に高く、おそらく抜けるであろう来季に、誰をここに当てはめるのかというのは非常に頭が痛い。矢島にしても岡崎にしても決定力は期待できず、西澤はただ単にぼーっとしてるだけだった。新たな外国人を獲ってくるのだろうが、Jの水に慣れていたチョ・ジェジンの穴はすぐに埋められないだろう。そう言えば、アンデルソンとか獲っていたような??しかし、どちらにしても彼は答えになりえない。また、中盤も100%機能していたわけではなかった。ダイヤモンドにしたことで藤本の守備の役割が増え、昨年見せていた輝きが見られなくなったのはマイナス。才能のある選手だけに、より一段上のプレイヤーを目指して欲しいのだが…。また、枝村は今後どうするのだろうか。布陣変更で出場機会を得られなくなるのは仕方がないが、まだ若い彼にとってこの状態は辛いだろう。と、ここまでネガティブ全開だったわけだが、守備は非常によかった。昨年の4-4ブロックを崩して、4+3に変化をさせたが、失点は減った。マイスター伊東の貢献が非常に高かったのはもちろんだが、1年を通してセンターを守り通した青山、高木和、岩下のセンターバック陣は二重丸。怪我もほとんどなかったし。サイドも左は児玉が無難にこなし、右サイドは市川が全盛期を彷彿とされるダイナミズムを見せ、こりゃ代表復帰もあるんじゃないのという期待を抱かせるような内容。岡ちゃんも監督になったしね。となると、やっぱり攻撃なんだよね。来年の成績は獲ってくる外国人FW次第ってことで。
■picture of player 伊東輝悦
中盤の底でバランスを取り続けたいぶし銀。開幕前の対談で「伊東壊れたらやっばいよねー」とか言ってたら、なんと全試合スタメン出場。なにより出場停止がない。このポジションにしてはよっぽど仕事してないか、小狡いかどっちか。たぶんどちらでもなく、ポジショニングがいいからなんだよね。おかげで守備が崩壊せずに済みました。ただ、これがいつまで続くのか。来年には伊東も34歳。徐々にキャリアの終焉が近付いている。後釜はどうするのだろうか。と、そういうことはクラブ首脳陣が悩めばいいのであって、我々としては明神との「振り返れば奴がいる対決」をとっくりと堪能しようではないか。別名「超ストーカー対決」。



■柏
■順位 8位
■採点 7.0
■評価
男・石崎のJ1第一章は幸福な旅に終わった。昇格初年度で勝ち点50の8位は御の字どころか、考えうる最上の結果。失点36は3位タイ。故障者が多かったが古賀を中心とした守備陣は堅牢。特にアップダウンの多さをものともせずに右サイドを走り回った蔵川は、初見だったが非常に印象的だった。その守備の固さとは対照的に、攻撃は非常に流動的で面白かった。別名フランサアタック(勝手に俺がつけた)。自由にポジションを変えるフランサの「タメ」を軸として、李、菅沼、鈴木、太田、矢澤などが次々と飛び出していくそのスタイルはすがすがしいほど。特にカウンター時の切れ味は斬鉄剣並みで、「あ、別に斬られてもいいかも」と思っちゃうくらい。思わない。来年もフランサが残るので、クオリティは保持。J1序盤最強ウイングだった茂原も来るようなので、普通に楽しみです。ただ、この攻撃が後半には見切られ始めたのも事実。まずフランサを潰せというのが各チームの合言葉になり、そうなると個々の突破力に優れているわけでもない面々ではかなり攻撃が停滞してしまう。ここを石崎さんがどうするのか。終盤には北嶋にポストをさせて新しい形も模索していたようだが、中心を封じられると苦しいというのはサッカーの普遍的な課題。よっぽど金と力のあるチームじゃないと解決は難しいだろう。単純に言えば、今年ハズレだったフランサ以外の外人ということになるのだろうが、来年当たるという確証もないしなあ。石崎さんの知恵に期待。ともあれ、優勝争いに絡めるほどではないが、来年も大崩れはないでしょう。
■picture of player 李忠成
一皮向けた、かな?ヘッドでよし、足を使ってもよし、裏に抜けれるし、ポストプレイも割に出来る。平均点は高いのだが、なんとなく飛びぬけたものがなかった。だが、石崎軍事教練所でひたすら走らされ、フランサと組んで世界の香りを嗅ぐことでプレーの幅が広がり、実効性が伴ってきた。それでもやはり一番の持ち味は気持ちの強さ。ゴールへの執着はすごいものがある。鄭大世もそうなんだけど、やっぱ韓国系の人はそうなのかな。真似できないもんがある。その心の強さで、是非A代表にものし上がってもらいたい。


■大宮
■順位 15位
■採点 5.0
■評価
降格決定だと思ってたよ、夏には。ピムの弟という肩書きでやってきたロバート監督が大外れ。選手の能力以上のサッカーをやろうとして沈没。「○○の弟」とかいう肩書きにロクな奴はいねー。なあ、ウーゴ?というわけで、前半戦は何をどうしたいのかわからないという思春期真っ只中のようなサッカー。とにかく点が取れない。しかもどうやって取ろうというのかちっともわからない。エニウトン、サーレスという獲ってきた外人も軒並みハズレで、さあどうしましょう。そんな混乱をもたらしたロバート氏も辞任。中断期間後は佐久間監督の下で再スタート。しかし、この交代も中断期間終了直前だったという拙さ。「こりゃ、もう駄目じゃねえ?」という雰囲気が漂っていたわけで、実際そこからも中々勝ち切れず、「残りの時間はできるだけ家族と」と延命治療を拒絶するしかないと思われたが、そこからなんと巻き返した。強豪には普通に負けるものの、下位からはことごとく勝ち点を奪い、ほとんど奇跡と言えるような残留を達成。最後まで集中力を切らさずに頑張った選手と、なんとかまとめ上げた佐久間監督には拍手を送りたい。ただし、諸手を挙げて万歳というところまではいかないだろう。結局のところ、たった24得点しか取れてないのに残留できたのは、40点しか与えていない強固な守備があったからこそ。シーズンを通して、得点が見られないばかりか、どういうアプローチで点を取ろうとするのかが見えてこなかった。守備力だけのチームがJ1で上に行くのは厳しい。来年はここを改善しないと、また残留争いになるだろう。手っ取り早いのは点も取れてタメも作れるナイスな外人フォワードを連れてくることだが、いかんせんここのフロントの外人選考眼は梨花の男を見る目と同じくらい見当違いなので、さて、どうなることやら。
■picture of player レアンドロ
全く得点が取れる気配がない中、ひたすら壁となって跳ね返し続けた。点が取れる望みがないというのは、補給のない籠城戦のようなもの。絶望的状況の中で、最後まで集中力をよく保った。戦国時代だったら、是非、鳥居元忠的役割を担わせたいものだ。ただ、守備もよかったのだが、そのハイライトは33節のFC東京戦。同点の状況下、後半ロスタイムにボールカットから長躯疾走してオーバーラップ。ワンツーを決めて豪快に右足で叩き込み、J1残留を決定付けた。50メートル以上の距離を突然吹っ切れたように上がった動機は不明だが(笑)、「ここで上がらなきゃ男じゃない」というその上がりっぷりは今シーズンの紛れもないハイライトの一つだった。まじかっこよかったぜ。来年もいるんだよね?



■G大阪
■順位 3位
■採点 5.5
■評価
ACLのない今年はチャンスだったのだが、いかんせん失敗してしまいました。やっほーい。積み上げた勝点67は昨年とほとんど変わらず。順位も同じ3位。シーズンで71点をたたき出した圧倒的な攻撃力は確かにすごかった。遠藤が舵を取り、バレー、播戸、マグノ、二川とサイドバックが絡む攻撃は、好調時にはどこのチームも止められなかった。また、明神、橋本の小型ボランチコンビは危機察知能力が極めて高く、流動的に動く中盤でバランスを取るという難しい仕事をかなり高いレベルでこなした。シジクレイが衰えつつあるのに失点が36と少なかったのは、彼らのおかげ。その甲斐もあって、得失点差34はぶっちぎりで1位。でも、優勝できませんでした。去年と同じように夏場に失速し、そのまま帰ってくることなくシーズンを終えてしまった。さて、こうも同じ展開が続くと、原因は何なのだろうかということになってくる。なってこないか。なれよ。ともかく分析すると、まず一つの要因としては、その流動的なパスサッカーの性能低下にあると言える。パスを流動的に繋いでいくスタイルは効率がいいように見えて、受け手に相当な運動量を要求する。それが夏場になって運動量が下がることによって、繋がっていたパスが繋がらなくなってしまう。夏場に得点力が下がって勝ちきれない原因はそこだろう。また、カウンターチームに極めて脆弱な側面もある。今年負けたのは、新潟、浦和、川崎、横浜FM、清水というカウンターが得意なチームばかり。パスを掻っ攫われると、流動的なミッドフィールドを形成しているため、守備が追いつかない。いくら明神&橋本が優秀だと言っても、手が回らないこともある。シジクレイのスピードが衰えたのも、カウンターに弱い一つの原因だろう。この2つが勝ちきれない大きな要因だと考える。ただし、これはパスサッカーに付き物の構造的欠陥のようなもの。直すにしても部分補強しかないだろう。おそらく、そこには西野さんも気付いている。今年獲ったバレーは中盤をすっ飛ばして独力で点を獲るための武器という意味合いが強かった。コンディションや連携で必ずしもうまくいかなかったが、来年以降は彼はもっと特徴を出していくだろう。また、シジクレイも退団が決定。スピードのあるセンターバックを獲れれば(福元?)、そこはマイナスではなく強味になる。ともかく、西野さんが監督である限り現在のスタイルを捨てることは考えづらい。強味を残しつつ、どれだけ弱味をぼかせるか。成熟したチームならではの難しい作業が来年は待っている。
■picture of player 家長昭博
不遇のシーズンでした。前年は左サイドバックで妙な使われ方をしたわけですが、今年はほとんど出番なし。それならサイドバックでも良かったのに…と思ったら、なんか金髪の変な奴が台頭してきてそこでも使われず。ほとんどジョーカーとして過ごしました。がびーん。とりあえず、その鬱憤はオリンピック代表で死ぬまでキープすることで晴らしたが、来年どうすんだろね。体重移動と切り返しだけで抜ける珍しい人材のため、無駄な時間を過ごして欲しくはないんだが、使いづらいのも事実。主力にするには一抹の不安もあり。なんというか「エース」という感じではなく、アクセサリー的な感じで使うといいかも。あくまで嗜好品。ということで、セレブな名古屋さん頑張ってください。


■大分
■順位 14位
■採点 5.5
■評価
「シャムスカマジック炸裂で大分県独立」くらいまでの大躍進を予想していたのですが、蓋を開けてみれば青息吐息で残留争い。さすがのシャムスカも優良ダブルボランチと天才トップ下がいなくなってはきつかった。特にエジミウソン&トゥーリオの守備力の高いダブルボランチが抜けた穴は極めて大きく、代わりに獲ったジュニオール・マラニョンが名前のインパクトだけ残してアディオス。宮沢、藤田、森重などが代わる代わる勤めるも、帯に短したすきに長し。また攻撃陣もアウグストが怪我、高松がコンディション不良、セルジーニョが意味不明、松橋兄弟は読まれ始めた、というわけで不安定極まりなく。こんな状態では下位に沈むのは当たり前。これじゃいかんと中断期間にフロント大慌て。福岡で干されてたホベルトを呼び出し、エジミウソンに頭下げて戻ってきてもらい、鈴木慎吾をレンタルで獲得、梅崎もカムバックとJ1トップクラスの補強。当初は連携などで苦しんだが、強固な中盤守備が復活し、梅崎・鈴木慎吾経由のカウンターが機能するようになった。さて、獲得大当たりで残留を決めたのだが、来季はどうするか。途中加入で機能していた4選手のうち、梅崎は既に浦和に移籍が決定。鈴木、ホベルト、エジミウソンの3選手はいまいち去就が不明。もし抜けた場合にはその穴を埋めきれるのか。また、2年連続で不発だったシャムスカ選定の外人フォワードも不安。おそらく今年も獲るのだろうが、カウンター主体のチームにあって、エリア内だけで勝負できるフォワードを獲ってもしょうがない気がするのだが…。予算も限られてるわけで、フロント&首脳陣はプランをきっちりと練り、狙いを絞った補強をしてもらいたいものだ。でも、シャムスカがいれば大丈夫な気もする。だって、すげー着物似合うもん。
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■picture of player 高橋大輔
苦しい状況の中、その得点によってチームを何度も救った。PKなしの10得点は、ポジションを考えるとすごいというかほとんど異常。ヘッドでも足でも決めたが、その飛び込む感覚は素晴らしい。サイドからゴール前に飛び込んでいける選手というのはJ1でも希少種。というか、千葉の山岸もそうなんだが、元フォワードのサイドプレーヤーだからなのだろうか?この感覚は育てようとして育てられるもんでもないので、大事にして欲しい。しかし、この人も山岸もそうだけど、そのままフォワードやってたら大成したかどうかわからないわけで、まさに人生何が吉と出るかわからんですな。


■浦和
■順位 2位
■採点 5.0
■評価
史上初のACL獲得という華々しい業績の一方で、国内ではノンタイトル。その上、リーグ戦では最終節での憤死ものの沈没ということで、敢えてこの評価。今年は昨年以上の「固い」サッカーを繰り広げた。7人でマンツーマン要素の強い強固な守備ブロックを作り、攻撃の展開はほぼ前線の3人にお任せ。この戦法は極めて流動性に欠けるが、個人能力がずば抜けて強いこのチームにおいては非常に効果的だった。まず守備面においては、1対1で勝つことを前提としていて、実際に勝てるため、局面局面での争いで負けることはあまりない。それでも他チームのエースクラスになると抜け出ることもあるのだが、そこはカバーリング能力が高い選手(阿部、トゥーリオ、鈴木)などが難なくカバー。また、高さにも秀でているので、セットプレーでもやられない。シーズンを通して守備が綻びを見せることはなかった。J1最小の失点28も納得の結果。攻撃面においては、遅攻になると手詰まりになることが多かったが、数的に同数 or +1、2程度ならばワシントン、永井、ポンテが止められることはほとんどない。また、それでも突破できない場合には、ポンテの高精度FKからの阿部やトゥーリオなどのダイナマイトヘッドが控えている。以上の特徴を考えると、極めてイタリア的なチームだと言える。守備・攻撃においてリスクを避けたこの戦術は、個人能力で優越したからこそ取れた戦術でもあった。ただ、その弊害も大きかった。能力に依存をする戦術(と呼べるのかどうか)を取っている為、控え選手とのターンオーバーが重大な戦力低下を招くことになる。そのため、スタメンが硬直化し、主力選手の極度の疲労と控え選手のモチベーション低下が必然的に起こってしまった。終盤の失速は紛れもなくこれが原因。1対1で勝つことが前提なのに競り勝てず、運動量低下によって押上げが全くできなくなってしまった。一時的なチーム力低下には目をつぶり、シーズン中に何人かの控え選手をチームに融合させる努力をするべきだった。シーズン序盤に違う戦術を導入しようとして失敗した経緯もあるので、いじることに臆病になった部分もあるのだろう。だが、それを含めても、オジェック監督のチームマネジメント能力が極めて低かったと言わざるを得ない。浦和関係者にとって不幸なのは、来年も同氏が留任するということ。今年は就任1年目で色を出せなかった、というのであればいいのだが、不安は拭えない。とは言え、来年も優勝には絡む。既に梅崎・エジミウソンの獲得を決め、高原も加入濃厚だという。おそらくもう何人か獲るのだろう。今年と同じサッカーをしていれば、否が応でも結果はついてくるはずだ。ただ、それでいいのか。J1最大規模の予算を誇り、戦力においては圧倒する人員を誇りながら、旧態依然とした個人能力頼みのサッカーを展開するのだとすれば、寂しいの一言しかない。そうじゃないだろう。人員において圧倒し、さらにそれを強固な戦術で武装して、ぐうの音も出ないほどの完璧なチームを作り上げ、J1で勝つだけではなく、世界に誇れるサッカーを見せる。そういう日本のサッカーを主導する役割と責務が、浦和にはあるのじゃないだろうか。優勝したレアル・マドリーが「美しくない」という理由で監督を更迭したように、時にはサポーターが勝利をブーイングで迎えることもあってもいいと思うのだが、どうだろうか?勝つだけで満足するべきチームではない。目標はもっと先にある。
■picture of player ポンテ
今シーズンの浦和の攻撃指揮を担った将軍。そのプレーは柏のフランサと共に明らかにJの上限を軽く超えていた。ていうか、この2人+ベルバトフって恐ろしいトライアングルだな、レヴァークーゼン。その常軌を逸したキープ力とセンスの香り漂うパス、そして何の前触れもないミドル。今シーズンの浦和の守備の象徴が啓太と阿部だとしたら、攻撃ではポンテがいなくちゃ始まらないというぐらい依存していた。その証拠にポンテを失った浦和は、ミラン相手にチャンスのかけらもつかむことが出来なかった(いても駄目だったかもしれんが)。さて、来シーズンは前半怪我で休み。梅崎がチャレンジャーとして入団してくるが、まだまだポンテのほうが格も力も上だろう。軽くいなして、来シーズンも魔法を見せてください。