■戦評■三大陸マッチ スイス-日本 「イビチャ・オシムはハリウッドの夢を見るか」 | picture of player

■戦評■三大陸マッチ スイス-日本 「イビチャ・オシムはハリウッドの夢を見るか」

■スイス3-4日本
■短評
スイス戦をようやく見たのだぜベイベー。でも飯食いながらの飯観戦だったために適当に流し。

で、まあ試合の流れについては色々な人が書いてるのでそっちで見て。「前半酷かった」って散々ネットで見てたから、どれだけの惨状なのかと思ったら意外とそうでもなかった。確かに腐れハゲのマニャンに散々にやられていたのだけれど、点取られたのはセットプレーだしなあ。中盤を完全に封鎖される中でよく踏ん張っていたとは思う。スイスの中盤は素晴らしかった。オフェンスでの1タッチ2タッチでのパス回しが非常に小気味いい。日本が連動して守れなかったのもあるんだけど、それができなかったのは、スイス選手間の距離が良かったから。必ず二つ以上のパスの選択肢ができるように動いていた。また、ディフェンスに関しては綺麗なラインを作ってオフサイドを取ろうとしていたのが印象的。これはプレスに自信がなければできないし、実際に巻はあほほどオフサイドに引っかかってた。これは相当鍛えられている。まあヨーロッパの上位チームじゃ当たり前のことなのだが、それでもその機能美は羨望を覚えるほどだった。前線に化物がいたら前半で勝負は決まっていたかもね。逆に日本はちょっと気持ちで引きすぎていた。プレスを怖がってパスが出せず、守備でも中々奪いに行くことができない。要するに「びびってた」。へーい、へーい、ピッチャーびびってんよー。

後半にはスイスの選手も入れ替わり、また日本が攻撃性を強めていったこともあって、段々とプレスを掻い潜れるようになってくる。体力的な限界ってこともあるんだろうけど、やっぱり精神的要素もあるんだろうなー。明らかに舐めてたもん。で、まあ舐めたぶんだけしっぺ返し、と。やっぱりスポーツはメンタルゲームの側面があるからね。しかし、この日でクーン監督はベーラミ(笑)をサイドバックで使うのを諦めただろうね。久々にあんな守備下手な人見た。サイドバックとしてはジミー・トラオレ以来の衝撃のディフェンス。掴むしかできないのか(笑)。まあ本職じゃないからしょうがないのか。

ま、日本としては矢野とか山岸とか当落線上の選手がいい働きを見せたのは今後にとっていいんじゃないかな。後、よかった選手は稲本、巻。稲本は必死な方がいい。巻は必死通り越してなんか絶望的なほうがいい。中村1号は必死な状況でなんとか生き場を見つけられるように。最終的には10回やったら6回くらいはこのレベルのチームに勝てるようにならないと、ワールドカップベスト16は厳しいと思うので、後の3年間でなんとかこの日に感じた差を埋めてもらいたいものだ。

さて、ここまでは前置きで、俺たちの話。今回、0-2の絶望的な前半→やけっぱちアタックで大逆転!→ひぎぃぃ、また追いつかれたぁ!→あばばばば、また逆転したよ!という非常にスリリングな展開だったわけで、まあ実際面白く見れて、みんなが満足したみたい。ネットとかメディアでもいろんなところで手の平を返したように「オシムサッカーおもしれー!安倍の次は麻生ー!」ってなことが言われてるわけですが、はて、これって本当に面白いのかな、と。まあ、俺は結果を知った上で録画で見たからそうでもなかったんだけど、正直生で見てたら俺も叫んでたと思う。そりゃあ点も多く入って日本も勝ったんだから、面白いよね。でもさ、それっていいことなのかな?内容がよかった、っていうけど、基本的なコンセプトは変わってないわけですよ、サッカーの。それが、2点のビハインドを背負って尻に火がついて、多少仕掛けるようになって、チャンスも多く作ったけど同じくらいのピンチも背負って、結局逆転して。わかりやすく言えば、これってハリウッド映画だよね。絶対絶命のピンチ→なんとか突破口を見つけて脱出!→ああ、でも相手にも奥の手が・・・→それもなんとか乗り切って大勝利!ヒロイン大妊娠!って流れなわけでしょう。これって典型的なハリウッドメソッドじゃん。いや、確かに面白いんだけどさ。でも、どっかで見た気がしない??

そう、そうなんだよ、ジーコジャパンなんだよ、この展開は。ジーコジャパンは内容はしおしおだったんだけど、そのマッチポンプ的な展開にある種の快感はあった。それを散々4年間見せられたから、オシム政権発足後1年経った今でもそういうのが普通だと思ってしまうことがある。だから、オシムの正統的かつ漸進的なアプローチは退屈に見えてしまうんだろう。いやー、これもジーコジャパンの負債の一つかもしれん。ジャンクフードでも食べ過ぎると中毒になってしまうというか、もうすっかりあのジーコのお手盛り手法が体に染み付いていて「ああ、私、もうこんな普通の責められ方じゃ感じない体になってる・・・!」という愛の奴隷a.k.a団鬼六に成り下がってしまっているんだよっ・・・!俺たちはいまだにジーコの呪縛に取り付かれているんだっ・・・!もう泥沼っ・・・!

と、まあジーコさんをダシにしてみたわけですが、宇都宮さんが前のアジアカップで「不健全なスリル」って書いてたのを思い出したよ。今回のはそれとどう違うのかな?確かに内容はジーコのときより全然いいとは思うんだけどさ。ただ、結果的に点が入った試合は褒めて、入らなかった試合は大声で騒ぐっていうんじゃ、結局俺たちはその「不健全なスリル」だけを求めているんじゃない?それともそういうスリルがサッカーの本質?だったらオシムが監督である必要ってどこに?ディティールばかりでもしょうがないけど、ゴールという結果ばかり見ても結局はジーコ時代と同じことになっちゃうんじゃないかな。まあ、結局、サッカーが点取りゲームである以上、ましてや人間である以上にそういう感情抜きには試合を見れないんだけどさ(笑)。試合見てあーだこーだ言うのは俺たちの特権だし。でも、一喜一憂せずにクールに熱くいきましょーよ。スリルにせよ何にせよ、中毒は体に悪いよ。

■picture of player 今日はなしよ