試合短評 清水-京都(J1第14節)
■清水1-2京都
■短評
難敵横浜FMを破った清水と、再開後もやっぱりしおしおの京都の対決。
試合は序盤に清水の藤本がバーに一発当て、対する京都も新加入のピニェイロとベルサイユ・アンドレを中心にいくつかチャンスを作る。しかし、10分も過ぎると徐々に試合は膠着。清水は綺麗なスリーラインを作って、前線からプレッシャーをかけ、中盤でも厳しくチェックにいったため、京都はうまくゲームを作ることができず。となると、後方からのロングボールをオスカル・アンドレに当てるしかなくなるのだが、空中戦が売りとの評判だったアンドレだったのだが、清水期待の若手の青山に競り勝つことができず。盲目後のアンドレだったんでしょうか。対する清水も奪うまでは形になっているのだが、後方からの動き出しがいかにも鈍く、マルキーニョスや藤本がキープしても孤立するばかりで、べた引きのDFライン+斉藤・米田の京都守備ブロックを崩すことはできず。それでも、藤本の閃きと市川のオーバーラップ、さらには前半なかば過ぎからしきりに前線に進出し始めた枝村を中心に何度かチャンスを作るが、最後の精度を欠いて、得点はならず。前半終了間際の決定機を逃したことが悔やまれる。
後半も、さらにもっさりとした展開。なんだか眠くなってきたよパトラッシュ…と、少年ネロになりかけながら、それでも後半15分過ぎくらいから清水の寄せが甘くなり始め、既に寝ていた京都がなんとかチャンスを作り始める。アンドレのところで起点ができるようになり、パウリーニョがボールを保持して突破を図る。さらには右サイドの加藤が狂ったようにドリブルを仕掛け、守備専だった斉藤と左サイドバックの三上も上がり始める。清水も薄くなった中盤を再三にわたって枝村、兵藤が侵犯するが、いまひとつ決め手に欠く。そして、すっかり中盤が間延びしてわやくちゃになった85分。ゴール前の混戦から、アンドレ・君は光、僕は影が叩き込んで、京都が先制。これで試合は決まりかと思いきや、5分後にあっさりと久保山が決めて、清水が追いつく。その後は、京都がPK獲得→失敗→パウリーニョ逆転弾と、観客が「あ…ありのまま 今起こった事を話すぜ(以下略)」というポルナレフ状態になるような、ぽかーんという展開。そのまま試合は終了し、京都が2勝目を獲得。
清水は終始ペースを握りながらも、点を取れるところで取れなかったことが結果に響いた。守備は堅く、早めに展開してサイドからのクロスという攻撃を意図しているのはわかるのだが、クロスの精度に問題があり、点は奪えなかった。遅攻になると、現実的に変化を作り出せる選手が左サイドの藤本だけなので、点をとるのは彼の出来次第になってしまう。FWも一人でどうにかできるタイプではない。ここは変に考えず、堅守からのハーフカウンターを磨いて、チャンスの数で勝負するべきだろう。対する京都はこれでいいのか、という前後分断サッカー。攻撃は前のブラジルトリオに任せ、残りの日本人で守備をやる、仙台やら名古屋やら、どこぞで見たような凄絶な生き残り戦術。残留のためにはなりふり構っていられないということだろうが、前線のブラジルトリオがそこまで圧倒的な能力を持っているわけではないので、残留争いには最後まで加わりそうだ。
■picture of player 市川大祐
2002年の代表も今は昔、いまや清水不動の右サイドバックとなった市川。ジーコジャパンにはとんと縁がなかったが、動きの幅、クロスへの持っていき方、オーバーラップのタイミングなどはJでも高品質。以前より守備も安定し、サイドバックらしくなってきた。あとはクロスの精度をあげていけば、というところか。加地、駒野、内田などライバルはたくさんいるが、候補に入れてもいいのではないか?どうですか、オシム教授。