試合短評(J1) | picture of player

試合短評(J1)

■J1第13節
■ジェフ千葉1-2ガンバ大阪
■短評

J1で屈指の流動性を持つチームとJ1で最もボールスキルのあるチームの対決は、決定力の差で後者に軍配が上がった。ガンバは3-5-2で怪我のマグノ・アウベスの代わりに中山別人、千葉は3-5-2だか2バックだかでともかくもストヤノフが一枚最後にあまる形。序盤はほとんど千葉ペース。ハースのキープ力を中心に、後ろからどんどんと人が絡んでくる千葉らしい攻撃で、決定機を何度も作る。対するガンバだが、どうもうまくいかない。キーマンのフェルナンジーニョにはJ1トップクラスのエースキラーである阿部がついて鬱病に陥らせ、中山2号には斉藤とストヤノフがきっちりと見てポストプレイをさせない。それでも遠藤を中心としたパス回しはさすがで家長、二川の機転から、何度かチャンスらしいものを作るが、それも単発。そうこうしているうちに、ハースの出身地であるオーストリアを、ワールドカップでトラウマになったオーストラリアと読み違えたのか、宮本のあまりにも軽いパスミスを坂本にかっさらわれ、最後はハースが押し込んで、千葉が先制。その後も千葉のペースで試合は進むのだが、ここまで巻に仕事をさせなかったシジクレイが怪我で退場。足の裏思いっきり見せてたのはシジクレイで、巻はすねが当たってるんですが、やはりこれが機械と丈夫な人間の差ですか。ともあれ、この退場が試合を動かすことになる。代わりに西野監督が投入したのは播戸で、ガンバは2トップ気味に。これでマンマーク気味につく千葉は完全に混乱し、広範囲に動く播戸にかき回され、他の選手もフリーにしてしまうという悪循環。そしてフェルナンジーニョ(?)のミドルシュートをGK立石が弾いた所を中山Zに押し込まれて、同点。その後はなんとか落ち着きを取り戻した千葉が押し返し、試合は膠着したまま後半へ。


後半序盤は千葉のペース。ガンバの布陣変更に対応し、ハースを起点に山岸、クルプニコビッチ、羽生が絡んで何度もチャンスを作るが、やっぱり決めきれない。ガンバはガンバでフェルナンジーニョを再び阿部に封じられ、なすすべなく、遠藤がのらりくらりとチャンスを作るのみ。そのまま、試合はまたも停滞する。膠着状態を破ったのは、先に動いた西野監督。中山νを前田雅文に代えて、フェルナンジーニョのポジションを上げる。さらには残り10分でフェルナンジーニョを代えて寺田を入れ、右サイドに貼り付ける。結局は播戸の1トップのような形になったのだが、千葉は多少の混乱を見せるものの、なんなく対応。決勝点は、あまりに前がかりになりすぎたところを阿部がマークをはずしてしまい、坂本のマークミスを突かれて、播戸に叩き込まれたもの。采配云々よりも、千葉がギアを入れ間違えた、というような試合だった。試合はそのまま終了。


千葉はリスクをかけた試合を志向するため、ある程度の失点はやむを得ないが、得点はもう少しないと厳しい。チャンスの数は作っているので、あとは決定力か。ただ、純粋なストライカーと呼べる人間はいないので、これからも手数を多くしていくしかないだろう。また、行くところ、行かないところ、というギアの上げ下げがチーム全体でできていないので、こちらも長期的課題だろう。対するガンバにも課題は残った。マグノ・アウベスを負傷で欠いたこともあり、前線に中山Aを置いたわけだが、ポストプレーヤーではないためにどうしてもボールが収まらず、フェルナンジーニョを封じられると、以前の迫力ある攻撃はできなかった。また、守備もシジクレイが入れば磐石だが、加地、山口、宮本、家長の4バックはどこぞの日本代表よりも軽量でデンジャラス。宮本はハースにちんちんにされたように、4バックはかなり厳しいかもしれない。



■picture of player マリオ・ハース
ほぼすべての千葉の攻撃の起点となるおっさん。ほんとは大して年とってもいないのだが、西部謙司さんに「おっさんくさい」と言われたように、なんだかおっさん臭い。抜群のキープ力と、パスのうまさなど、周りを生かす力はさすがにオーストリア代表なのだが、どうも見ていると、「指導者としてはどうだろう?」、「あー、温泉でも行けばいいのに」などと要らぬ心配をしてしまう。なぜだ?猫背だからか?頭の微妙な薄さか?とにかく、千葉の攻撃の要なので、怪我しないことを一番求められている選手。ちなみに、決定力はほぼ皆無に近く、今日も豪快に何発も外してた。ポストマシン&チャンスメイカーとしての使用推奨。