私の家は、鍵をかけない。

私の家はあばら家で、間違っても盗みに入るものはいないが、娘夫婦も孫も鍵をかけない。

考えてみると、鍵をかけるとガラスを割って入って来るので、鍵はそれほど役に立たない。

防犯ベルや、金を払えば防犯システムを設置してくれるのだが、その金の方が家の中の品物よりも高くなる。

そこは貧しい生活をしていると、そういう心配をしなくても済むので楽だ。

鍵がないので、近所の人が届けてくれた野菜がテーブルの上に置いてあったり、訪ねて来た人が家の中で待っている。

日本から来た友達が外に立って待っていて、隣のグレーディが気を利かせて、彼を家に入れておいてくれた。

言葉が通じないのだが、ペギーが気を利かせて、サンドウィッチを食べさせてくれた。

そういう時、鍵をかけない方が役に立つ。

私は無精で、煮物を火にかけたまま外出する。

そういう時、隣のペギーに電話して火を消してもらう。

電話会社が接続に来る時、家にいないといけないが、鍵がないので勝手に入ってもらって、印をつけたところにソケットを設置してもらった。

子ども達も留守中に、勝手に家に出入りできるので便利だ。

40年住んでいると、家の中に思い出がある。

中心にある柱、大黒柱に子ども達の背丈も刻まれていて、通路を通る時にそれが目につく。

もう私よりも背が高くなった孫の、小さい頃の記録を見ると、時の流れの早さがわかる。

あばら家、そういう理由で捨てられない。

ストーブが燃える音と、木枯らしの音、年寄りが1人だから、すきま風さえ友達になれる。