これまでのストーリー
子どもの頃から無駄遣いはしない。
私が現金を手にするのは、毎週わらじを買う金を母からもらう時だ。
それで草鞋を買うと10円がなくなる。
近所でわらじが造れないのは、母だけだ。
周りは皆、家で造って軒に吊るしてあった。
その値段が10円だ。
田舎の子は、金がかからない。
だが、甘い物には飢えていた。
その頃、2円で口いっぱいになる、ざらめの飴玉があった。
それを私が買って交換するのではなく、友人とふたりで交互に舐め合って帰って来る。
最後に、残りの飴をやって新しいわらじと取り換える。
2円で新しいわらじを手に入れる事を覚えた。
それがうまくいって、毎週8円の貯金ができるようになった。
その頃は、紙幣だから値打ちがある。
納屋の藁屋根の中に隠しておいて、時々ひとりで数える。
小学生にしては金を持った子だったが、人には言わない。
その頃流行っていたのはビー玉やメンコだが、金があるので負ける事が怖くない。
そのせいで、負けない。
皆から巻き上げられるようになった。
家には、有り余るほどある。
それを仲間に店の半値で売った。
そうすると、遠くからでも買いに来て、益々金回りが良くなった。
小学4年のとき、東京の足立に住んだ事があった。
そこは下町で、子どもがやたらと多く、紙芝居のおじさんが3人やって来る。
飴かスルメを買えば前で見られるが、買わないと後ろに押しやられる。
私にも3人の仲間がいて、その子等が金がなくて後ろに押しやられるのは気の毒だ。
2円ずつ金をやって水飴を買わせ、前例で紙芝居を見ていた。
その仲間は私の応援団で、メンコやビー玉をするときに、大声で応援してくれる。
それだけで、負ける気がしない。
また、巻き上げたビー玉もメンコも、彼らが売ってくれるので、紙芝居の飴玉代くらいは簡単に稼いでいた。
私は九州の田舎者の新入りだが、その金の力で、下町の子によくしてもらった。
その頃になると、もう母から金をもらわなくても小遣いはあった。
つづく
よろしければ…
ためさんのストーリー





