これまでのストーリー



会社の従業員には、牧場や養鶏、果樹園といった、片手間に農業をやってる者も多く、仲間で売り買いしている。

その中でも、ジムは桁外れに広い牧場を持っているのだ。

山の牧場は奥行きが広く、歩いて行くと2、3時間もかかるので、トラックを使う。

延々と山の尾根が続き、朝方には雲海が見える。

ジムは山林を勝手に伐採されて、かなりの材木を盗まれた。

裁判になったが、相手に金がないという理由で、ジムは盗まれ損に終わってしまった。

山の材木は成長が遅く、家具屋が好むらしい。

私も薪を沢山もらったが、長時間燃えるので少量で済む。

それよりも、その炭が長持ちして、焼肉に打って付けなのだ。

春、4月まで牧場には行かない。

冬になって雪が積もると、春まで溶けない。

私はそういう季節でも牧場へ行く。

石や薪を積んで、もらって帰る。 

薪は長持して上質なのと、石は春に仕事で使うためだ。

雪の上に鹿や狐、コヨーテ、ポッサム、ラクーンの足跡がある。

谷川は凍らず、澄んだ水は手を切るように冷たい。

ジムに、牧場にある全ての石をもらったのだが、生涯で使いきれない。

そこに積み上げている石を見ているだけで、価値がある。

石好きな人間なら、いくらでも欲しがるような石だ。

ただカリフォルニアでは乾きすぎて、この美しさを保つことは出来ないだろう。

ジムは、副業は牧場だけにしたかった。

にわとりも豚も汚れる。

にわとりは牧草の上で、糞をする。

知らずにつかむと臭う。

カーラは、毎日のように収入になる事について考えていた。

カーラは、ジムの給料がいくらなのかも知らない。

彼女はウエストバージニアで、自分の兄弟が持って帰る小切手を見て育っている。

ユニフォームが汚れない職業で、高給をもらうとは思っていない。

小切手を金と思わないところがある。

銀行で金に替えて、初めて満足する。

ジムは会社の保険に入っていて、医者代はいくらもかからないが、出産の時の病院代を見て怖くて病院にも行けない。

カーラが17歳の時、初めて家の中に電燈が点ったことを考えると、わかるような気がする。

ジムはカーラに何もしなくていいと言うのだが、貧乏性な彼女はじっとしておれない。

野菜作りから鶏の世話、家で食べる牛や豚、山羊の世話をするのだ。
                  つづく