サンプルの意味
厳密に言えば
トライアル作品だと思う
それに完成はしていない
商品化に最後のせめぎ合いがまだだ
革やさん達の関心はともかく
我々の努めるところは
お客さんの評価である
この鞄に価格を付けていただいた時に
予想の範囲内であれば
購入を検討してもらえるが
それ以上ならば
僕だったら直ちに忘れてしまうだろう
僕も材料の仕入れにあたり
価格の推理は怠らないでいる
どんなに高値でも
買いたいと思った皮革は
今まで3回しかない
それがレッドムーンからの
定番に使われているわけだ
年々お客さんの好みは変化を重ね
またそれとは別に世の中には
流行というのもある
流れているものに逆らう意味はない
しかし身を任すに値する利益も
全く確定されたものじゃない
新しい価値は
我々が気付いて構築する立場にある限り
毎日のようにモノとして
現実的に表現して見せて行く必要がある
結果的に商品化されたなら
それは幸運と呼ぶべき事なのだろう
誰かが買ってくれるかもしれない
…
それでは我々の事はすまない…
それにそれほど無駄な仕事は出来ない
一人のお客さんのために一つ作る
僕の考えるお一人とは
世界中の一人をさして言っている
日本中の理解者をさして言っている
このもの言いを
先ず職人達に認識と理解を求めたい
明日もまた
今日と同じように
明日なりの別のモノ作りに挑戦する
サンプルこそ
我々のモノ作りの真髄かもしれない
結果を呼び起こす原因が
一番重要だと僕は考えている
レッドムーン後藤