むかしあるところの魔王はいいました

『恋愛に両想いなんてない』

『あるのは追う人間と追われる人間だけだ』

と。





勇者は反論したいけどできません。

なぜなら勇者もそこはかとなく
それを納得してしまい、

恋愛が終わるのは追う人間が
追われる人間に見放されたときだと
知っていたからです。





そんなニセモノ勇者ができることは
ただただ己の愚かさと醜さを
呪うことだけでした。