年齢詐称したことある? | コードチェンジのために

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好かれたいけど媚びたくないまだ考えているノート

私が二十歳くらいの頃にバイトしていた飲食店に、Nさんというフリーターで私の2つ年上の先輩がいた。

バイトが終わると、ロッカールームみたいなタバコ臭い小部屋でスタッフ同士が少し談笑することも珍しくない。私とNさんも、時々その小部屋で話した。話した、と言ってもNさんが気を遣ったような形で私に2,3質問し、私が申し程度に応えるというだけの雑談である。このとき、当然だが私はNさんに対して敬語で話している。Nさんは気さくに「別にタメ口でいいよ」と言ってくれていたのだが、そう言われてもそんなに親しくない先輩に対してフランクにはいけない。

 

私はこのバイト先を、ちょっとした事情のために1年くらいで辞める。最終出勤日の仕事終わりに、私はたまたま小部屋でNさん一緒になったので、一応の最後の挨拶をした。Nさんはタバコを口に咥えたまま、もごもごと「おう、お疲れ」と言ったきりだったのだが、私が店舗を出て暗い駐輪場へ出ていくと、私の後ろから少し遅れて付いてきていた。Nさんは線は細いが身長が高くて結構威圧感がある。ややぎょっとして「どうしたんすかNさん」と聞くと、Nさんはにやにや笑って、「ちょい話そうや」と言ってきたので、駐輪場の脇に二人してしゃがみ込んで話をすることになった。

細かい部分は割愛するが、このとき私が聞いたNさんの話をまとめると大体次の4点になる。

 

1.Nさんは年齢を偽っていて、実はまだ19歳なのだということ(=つまり実は私の方が年上だった)

2.Nさんがこの店に来た当初まだ15歳で、たぶん雇ってもらえないと思って年齢を水増ししたこと

3.Nさんの年齢詐称を知らないでいるのは、店長と私だけだということ

4.私がこのバイト先を辞めるので、最後だし何となくこのことを言いに来たということ

 

何だか釈然としないもやもやした思いを抱きつつ、Nさんが冗談でくれたタバコを一本貰って帰った。私はタバコ吸わないし、そもそもNさんも当時未成年だったのだが、何となくこの時貰った一本は今もそのまま私のペンケースに入れっぱなしになっている。