[創作物語]

『ある人気配信者の末路』


今人気の動画配信者が語る。

「こんなコスパの良い投資対象があるのに、マジメに働いているヤツはバカです!」

ドドンッ!

と、テロップが流れる。


今日の配信も好調である。

こんな日は愛車のフェラーリで

都心に繰り出て一杯やろう。


気づいたとき、

オレは集中治療室にいた。

意識はまだぼんやりしている。

電子機器のピッ…ピッ…という音の流れに悪寒が走る。

「誰かいないのかっ!」

と、細くかすれた声を出す。

ボンヤリした白い影が覗き込む。

「はいはい、大丈夫ですよ〜。命に別状はありませんからね〜」

白い影の言葉がそれから続かない。

身体中から嫌な汗が湧き出てくる。

「早く治してくれよっ!」

と、オレは叫んだ。

「申し訳ありません。お医者様が誰も働きたがらないので治療はできません」


世の中にバカがいなくなった。