前回、8月読書月間のつづきダルマ

 

 

少々海外の風を受けると、その新たな世界に魅了されると同時に、どうしても日本と比べてしまったり、する。


尊敬する河合隼雄氏にして曰く、

 

―以下、大意-

 

国際社会の一員として認められようと努力する。西洋崇拝、日本嫌い。でも、いくら努力しても、自分はやはり日本人であることを認めざるを得ない。と言って、日本人は素晴らしい!と愛国者になったわけでもない。日本人は日本人なりの特徴を自覚しつつ、それを基にして国際性をもたねばならない、と考えるようになった。

 

 

国外に出てウン十年という日本人たちはたくさんいらっしゃって、私などただの海外かぶれだと自覚している。なのにおこがましいのだけど、でもこの河合氏の仰ることよ~くわかる、そして実に難しいガーン


最後のくだりなども、

そりゃそうだよな話なのかもしれないけれど、いやいやそのバランス、そしてここで言いたい“私の理想とする感覚”をお持ちの方に出会う確率って高くはない。

 

国内、国外、何処であっても、お幾つであろうとも。はたまた海外歴に比例するものでもないような、不思議なバランス。


だから、そんな求めるバランスをお持ちな方と、出会たときはとっても幸せ。わたしここブログで、そんな方達と幾人も出会えた気がする。ネットワールド凄い照れ

 

 

 

 

 

さて、前置き長くなったけれど、

そして世の中のハルキストさん達には彼の小説を知らずして何を言いますかと怒られそうだけれど、

下記の一冊は先の点でひたすら心地よいものだった。

 

 

走ることについて語るときに僕の語ること

 

 

若くして始めたレコード喫茶の切り盛り(著者はそれを肉体労働といふ)を経て、30過ぎてそのエネルギーを筆に込め、日本社会を飛び出し世界に身を置きながら書き続ける小説家。そしてまた、その最たる頭脳活動に思える職業の傍ら、毎日毎年走り続けるランナー。

そんな長きに渡りランニングを続けている村上氏が、その肉体を動かすことのヒストリーと重ね綴られる本書は、何が彼の身体を突き動かしているのかその原動力・彼の哲学を垣間見れる。

 

 

―以下、斜体は抜粋―

 

継続すること - リズムを断ち切らないこと。長期的な作業にとってはそれが重要だ。いったんリズムが設定されてしまえば、あとはなんとでもなる。しかし弾み車が一定の速度で確実に回り始めるまでは、継続についてどんなに気をつかっても気をつかいすぎることはない

 
それはやるだけの価値のあることだ(少なくともやらないよりはやった方がずっといい)と信じている。そして、ずいぶん平凡な見解ではあるけれど、よく言われるように、やるだけの価値のあることには、熱心にやるだけの(ある場合にはやりすぎるだけの)価値がある。
 
 
 
村上氏はじめ、世界中に数多くいるランナーの皆様の足元に全く及ばないが、モルモットのようにただひたすらジムのランニングマシーン上でばたばたしている私も、走ることがとても好きで、そしてランニング後のストレッチ・筋トレのコースを、日常欠かさず取り組んでいる。

だから、走るという行為を通じて見出せる、いや走らなくとも何かを長く思いを持って取り組んでいる人達には、響く世界感がこの本にあったニコニコ
 

 
腹が立ったらそのぶん自分にあたればいい。
悔しい思いをしたらそのぶん自分を磨けばいい。 
 

昨日の自分をわずかでも乗り越えていくこと、それがより重要なのだ

 
 
なんてこんなところを抜粋すると、思想・哲学を語るこまっしゃくれた本のようだけれど、走りながら見える景色の描写が秀逸で、ロードムービーさながらロードブック。彼の目を通して映る世界、季節の移ろい、日本・他国それぞれの湿度に空気。なんて高い感度だろう。
 
 
 
それにさ、この題名。
米小説家のwhat we talk about when we talk about loveをもじり、付けたというのだけれど、オリジナルのリズム感もサイコウだけど、オマージュされた日本語のこのタイトルも、秀逸ですよねキラキラ

 
最後に、海外に通じるという点で冒頭に戻れば、
長きにわたる海外生活を送り、世界中のファンを魅了する、村上氏独自のバランス感覚。
よくありがちな分析野郎、皮肉野郎、勘違い野郎 (自分を棚に上げて言えばwなどという要素が微塵もない。実にひょうひょうと国を跨ぎ、彼ならではの軸と芯に、惚れ惚れした。
 
この辺りの感覚をもっと堪能したい貴方、同氏の著著「やがて悲しき外国語」もおススメよ~!
 
 
 
  
さて読書レビューの最後にこれだけ♡
村上春樹のエッセーと共に、8月に手を出したのはこちらのフロストシリーズ。
 
1960年代にBBCラジオ劇として誕生した、愉快な警部・フロスト。その後、本としてクリスマスのフロストが誕生。世界各国で人気を博したのはもうずい分昔なのでご存知の方が多い中恥ずかしいが、私は初めて読み、そしてハマりました。
変なドラマやテレビを見るくらいなら、やっぱ本だわ!爆笑
 
 
そして洋モノ著書で気に入るとやっちゃうのが、原書と翻訳の読み比べ。
好きな本は、何度ダッテ読み返すのが楽しい!
そして言語が違えば尚更、同じなんだケドなんだか2倍楽しい!!口笛
 

ガサツで豪快なフロスト、英国紳士とはまーったく思えん、でもなんて愛すべきキャラクターでしょう。
やっぱシュールな笑い処は、英語で読むとより笑えます。おすすめ☆☆☆