こんばんは!
皆さま3連休はいかがお過ごしでしたか?
2年前、ジャジャ丸と初めてお正月を日本で過ごした際、実家で新年会が行われたのですが、
これを恒例にしたい!という母。
しかし体調いまいちな彼女は正月休暇中には開催出来なかったので、鏡開きも過ぎてしまったこの週末に、開催されることとなりました。
痛みあるんだから無理するな、という父の心配を全く聞かなかったようですけれども、
ありがたいことに、食卓には母の美味しい手料理が並びました。
彼女のロールキャベツはやっぱり絶品!
ですが、こないに肉肉肉が並んだのは、姉妹の私達ではなくその婿殿のためでしょう笑
〆のおにぎりも大量に。笑
あっでもそうそう、心から嬉しいのは、意外と母よりも父かも…!
妻と3人の娘達に押されてきたこれまでと違い、義理の息子達が出来たいま、この新年会で得意げにさぁ飲んでと振る舞う父は、とっても嬉しそうです。父ちゃん念願だったのね!
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さて、こちらの会を訪ねたその日、
母と妹の第一声はこれだったんです…
フィリップスコレクション、ゼッタイ行った方がいいよ!!
は???突然なにさ、と聞くとそれは、有楽町の三菱一号美術館で開催中の美術展・The Phillips Collectionのこと。
それで思い出したのそういえば、去年の秋にニホンに遊びに来た友人も、丸の内散策して途中寄ったんだけどファンタスティックだった!と言ってたのを思い出しまして、
双方ともに、推薦具合がそれはそれは情熱的だったのです…
そんなおススメなら行こうかな~
と、そんなわけで、連休最終日の夕方からというなんだか疲れる時間で行ってきたのだけれども、いやーーーこれがおっっしゃる通りでしたのよ!
日本に戻って10か月。何処へ行けばわからないもんだから、とりあえず足を運んだ美術展(笑)、はおそらくすでに10を超えるのだけど、間違いなくその中で一番気に入ったわ
最近なんだか展示会紹介ブログばかりで申し訳ないですが、こちらの会期は2月11日までとあとちょっと。私も人の押しで訪ねてオオヨロコビだったものですので、書くことで誰か興味持って、あわよくば感動をシェアできたら!と思います
……………
The Phillips Collection
とは、米国人収集家ダンカン・フィリップス氏が集めた、ワシントンに構える私立美術館。
そんなわけで、本美術展も彼が作品を収集した年月に沿って進んでいくのが、面白い。
では収集家駆け出しの1920年代より。
アルフレッド・シスレー
Snow at Louveciennes
寒さと薄暗さ、そこに差し込む冬の光、細い枝や素朴な柵に降り積もっている白さがいい。ただ一人女性が歩いている静けさが伝わってくる、なんと抑制の効いた作品でしょう。
そして
モネ
Val-Saint Nicolas
先が冬ならば、こちらは春かな。霞がかったような朝一番の光を受けて、海に大地が色を持ち始めるそのほんの短い瞬間をとらえたような、モネならではの柔らかさ。自然の息吹を感じる、心温まる作品だった。
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その後1930年代に集められた作品はすごい、傑作大作の嵐である。
この第3の間の見応えに、初っ端から驚き。もうこの部屋だけでも十分ってくらいのコレクションだった。
その中で特筆したい作品たち
ピカソ
The Jester
絵のみならず彫刻でも素晴らしいピカソ、その道化師という作品。一言でいうなら、ものすごく美しかった。社会的アウトサイダーである道化師に親近感を得たという。この美しい顔立ちの道化師さんは、穏やかではかなくて優しそうで、でも少し影と寂しさも感じて、彼のピュアさに見入ってしまった。
次にこの部屋で挙げるならば、ピエール・ボナールの2点。
彼の展示会はこないだ新国立でもやっていて見たんだけど、その時より今回ここで出会った作品達に心奪われたわ。
The Riviera
これ、正面に立つ女性が逆行なのさ。だから顔に光はあたらずちょっと薄暗いんだけど、その分その後ろに広がる景色がなんて映えること!この絵から感じる南仏の明るさ、絵の世界の広がりときたら衝撃よ
The Open Window
2作目は女性と猫が窓際で寝ていて、その横の窓の先に広がる景色もどこまでも穏やかで、寝息が聞こえてきそうなくらいピースフルな作品。
窓といったらそうそう、その後の展示室に現れたこれを語らずにはいられない!
なんてったってマイモーストフェイバリッドな彼、こちらも良かった~
アンリ・マティス
Studio
もうやっぱ彼の構図の大胆さ、デザイン性、そしてこの配色に痺れる!
モデルの横たわる部屋は静かで、でもちょっと気怠い感じもあって、その空間と窓一枚隔てた先に映るカナルと橋のたおやかさが何ともいえない。すごいなぁ。
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さて続いて、こちらのコレクションを代表すると言われる作品
エドワード・ドガ
Dancers at the Barre
ドガ晩年の作品。その前の薄暗い稽古場での踊り子たちと比べると、鮮やかで構図も大胆。これ、踊り子の足がいい。いや、足自体はちょっと可笑しくて、アンバランスな風にも思う。右のダンサーの軸足は所謂バレリーナのエックス脚じゃないし、でもぽーんっとバーに足を放り投げて、全身を伸び伸びと開放している様が、とても素敵だと思った。
続いて巨匠どころを、
ゴッホ
Entrane to the Public Gardens at Aries
青々とよく茂る木々に鮮やかな黄色の地面。いかにもパブリックガーデンといったエントランスに佇むのは、想い人ゴーギャンを待つゴッホ自身との解釈のようだが、確かにシャンっと姿勢よくでもそわそわしているような、この男性のキモチが伝わってくる感じ。
そのゴッホが愛した男ゴーギャンは、タヒチの女シリーズで有名ですね。 代表作『我々はどこから来たのか、我々は何者か、我々はどこへ行くのか』 、いやはや凄いタイトル…
さてゴッホに飽きた(のであろう)彼は、外界を感覚的の捉える印象派を嫌い、神秘な世界を描くことで思想の自由を表現した。とにかくメッセージ性の強い彼の作品は、静物画においてもおそらくただ書いてるんじゃあ、なさそうね?
ゴーギャン
The Ham
ええハム、なこの作品はしかしなーんてハムが堂々としているのでしょう!笑
ハムを描いているだけなのにね、この迫力この大胆さ。なんか、内面的ゴッホが憧れるのがわかる気がしたわ!ははは
そしてもう一つ、とても気に入った静物画はこれ。
セザンヌ
Ginger Pot with Pomegranate and Pears
梨とザクロ。絵の横の説明版には、果物と布とお皿が対話するように配置されていることが、この絵に奥行きを持たせているとあって、はは~と納得。
写真じゃよく伝わらないけど、後ろのブルーの色味がとてもいい。なんて綺麗な静物画だろうと、うっとりしてしまった。
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さてこのセザンヌから、「彼はフランスで最も美しきパレット」 「我々はすべて彼の中で描いている」と評されたのはドラクロワ。少し前の時代に活躍した、ロマン主義運動を代表するフランス人画家ドラクロワの画風は、後のルノワールやゴッホなど印象派に多大な影響を与えたという。
そんなお方は北アフリカやスペインに魅せられていたようで、オリエンタリズムの魅力を描いた。当作はモロッコ旅でのワンシーン。
ウジェーヌ・ドラクロワ
Horses Coming Out of the Sea
粋で自由なパリジャンらしい、味わい深い詩的な作品だと思う。
馬の躍動感はもちろん、この男性がいい。エキゾチックなオレンジの衣服と、力強く手綱を取る筋肉質な手足、海から陸へあがる瞬間のダイナミックさを、実によく捉えているなあと惹きこまれた。
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他にも数々、いい絵がたくさんあった*
The Artist's Studio
私がマティスにStudioに魅せられたなら、一緒に行った友人はこっちがすごく気に入ったそう。パリに行きたくなる一枚だわ、キュートっ♡ とのこと、ふふふ♪
こちらユトリロは見た瞬間すごーく懐かしくて、なんでだなんでだ?っと悩んでたら、やっと判明。育った家の玄関に掛けられていたのが彼の作品だった。母親が新婚旅行の巴里で仕入れた大判レプリカ、同じじゃないけど似てるやつ。それにしても毎日見てた絵って、記憶にあるものね~
Return from School After Stormというシャイム・スーティンの本作は、しっかり手をつないだ兄弟が後ろに迫る厚い嵐雲から急かされるように家路を向かう一枚。フランスがドイツと大戦をはじめる数か月前に書かれたそうだ。
オーストリアの画家:オスカー・ココシュカの北イタリアを描いたこの絵も、今にもそこに自分が立っているような、すぐにでも山に登れそうな、形容するなら飛び出す絵本のような感覚の、素敵な一枚でした。
いや~よい展示会だった
作品も計72点、それもかように素晴らしいモノばかりだから、ゆっくりじっくり思い思いに巡って、結局2時間ほどいた気がする。
ほらこんなに外は真っ暗
それで先のハムを見てからというもの、食べたくなった肉食女ども、美術館向かいのピザバーへ。
駐在から戻ってきて、最近都内にマンションを購入した友人(カッコいいわ!)、どんな絵を家に飾りたいかの話に花が咲いたのでした~
ねってホントうるさいけど(笑)、
もう本当に大満足のエキシビションだったので、ぜひ!
無駄遣いしてマグネット♡ ハム買っちゃった