最低気温がとうとう零下に。

って、気温は全然大したことないんですけれども、でも上海の冬はかなり寒いの!

 

大陸特有の湿気を含む空気により、体感温度は気温以下。びゅうびゅう風が、嗚呼痛い~

そして何よりこの街の建物は建てつけが悪いから、底冷えする室内もやもや

しっかりした暖房設備ある日本・北米・欧州と違い、どこかあったまらない。室内が寒いって最悪よえーん

 

 

そんな寒さはまだ続くらしいけど、でもネ、ワタシ全然我慢するよ~♪

 

なぜならね、

空は綺麗だから~♡ デレデレ

 

 

暖かくても汚染空気で真っ白よりチーン、零下強風極寒でも、空気が綺麗なら全然いいわ♡ウインク

っと思う、上海ウィンターライフでございます~

 

ははは、環境悪いと色々耐久性できますな!

 

 

 

 

……………

 

というわけで、澄み切った高い空に強い風。冬の空といえば、凧揚げ!

その凧揚げがタイトルであるこの作品、

 

 

The Kite Runner

 

 

 

昨年に遡り、年の瀬にひっそり観賞した、作品キロクです。

本作についてまったく事前知識もなく、たまたま手に取ったのものなのですが、大変な感動作でした*

 

オスカー作品‘チョコレート’を手掛けたマーク・フォスター監督により、アフガニスタンを舞台に、兄弟のように育った少年2人の運命が描かれた、ヒューマンドラマです。

また、1970年代から始まったソ連軍の侵攻~内戦、タリバン政権発足の時代を背景としている、社会派作品・政治ドラマでもあります。

 

 

 


私が何より衝撃を受けたのは、アフガニスタンという国が本映画の舞台であったということでしょうか。

 

本作を通して、その昔アフガニスタン・カブールという街に確固たる彼らの社会が存在していたことを知り、その文化に彼らの美を感じました。

もちろんどこの社会にも表裏あるよう、彼らの社会に潜む由々しき側面も感じられたのですが、それでもそこにあったかつての魅力的な姿に、驚愕、敬服。

失礼ながらアフガニスタンと聞いて、9.11を引き起こしたビンラディンの故郷と、現在のタリバンのイメージしかなかった私は、大変感銘を受けたのでした。

 

 

また本作品を通して、ソ連侵攻後~現在まで、アフガニスタンが辿った近代史についても、改めて考えさせられました。

ソ連軍が一方的に攻め込んできた際、アフガ二スタンの人々は勇敢に戦い、屈服させたにも関わらず、しかしその戦争が機となりそれまでの伝統や社会が崩れ、国が荒れ始めた中タリバンが出現し、そして起こってしまった9.11。以降今度は米軍による空爆が始まり、国際社会全体から見捨てられ、結果タリバンの力は拡大してしまったという皮肉…。

私欲溢れる他国の身勝手により攻め込まれ、それが長く続いてきた彼らの美・彼らの暮らしを破壊するきっかけとなったこと。‘人道的介入’と説明する、我が母国含めた先進諸国による攻撃の是非…

 

 

受けた衝撃は色んな意味で大きく、二人して放心。

何だか落ち込んだ気持ちを引きずったまま、クリスマスを過ごしたのでありました…クリスマスツリーぼけーショック

 

 

 


………

 


さてこうして大いに感銘を受けた、本作品。

鑑賞後オリジナルは本だと知り、それは読みたいといてもたってもいられず。

ちょうどクリスマス帰省していた知人にお願いし、年明け早々受け取り、やっと読み終えましたほっこり

 

 

日本語訳も出ているそうよ!

 

 

 

アメリカで300万部を超えるベストセラーとなったという本作品。

アフガニスタンにルーツを持つ無名の新人作家、カーレド・ホッセイニ氏による小説です。

 

物語の中でも主人公アムールはアフガニスタン出身のアメリカ人作家ですので、自らの生い立ちとかけたのでしょうね。彼自身も大使館職員である父と共にアメリカへ亡命。普段はお医者さんだそうです。

 

 

レビューは本を読んでから書きたくて。

そして私はやっぱり本を先に読んでから、映画を観たかったなと思いましたが、それでも映画ならでは得られる情景や感動もありますし、いずれも良作な本作品、どちらを取っても感動があると思います*ほっこり

 


 

 

当時力を持ち支配する側であったパシュトゥーン人と、彼らに遣えるハザル人の立ち位置。またイスラム教の中でも異なる宗派の様子について。またその社会を治める主人公の父の力強さと、そんな父を尊敬するあまり愛を請う主人公の苦悩について、小説にはより深く描かれていたと思う。

 

カブールの街の描写も豊かで、バザールのケバブの香りにパグマンという果物のみずみずしさ、そして題名となっている凧揚げの躍動感。一つ一つが目に浮かび、楽しませてくれた。

無論、それらすべて今は無きものだと思うと、心痛いけれど…。

 

またそうした故郷を捨て、アメリカへ亡命した後に送る、移民としての生活の様子も興味深い。

新生活に邁進する忙しい日々の中でも、過去の裏切りを忘れられぬ主人公の苦悩。そして多くの人望を集め偉大な統治者として描かれていた父も、かつて犯した過ちがあり、それを息子である主人公が知った後、どう向き合っていくのか。それら心情の動きについて、書からより細かに感じ取れた気がする。

 

 

 

話自体はフィクションであるが、物語として非常によく練られたストーリー。

難を上げるなら、登場人物が少ないので、話の広がりとしては少々小さな世界観に感じたかな。

 

それでも少年2人の気持ちが十二分に伝わってくるし、勇気を振り絞ることの難しさ、大切さにはこみ上げるものがある。長い年月を経て故郷の友へと向き合う姿勢に、心打たれたのでありました*

 

 

 

 

- 出版時のホッセイニ氏インタビューより-

 

「当時カブールは、伝統と近代的なものとが交錯する、活気ある街でした。

他先進諸国のような豊かさはありませんでしたので、暖房費を節約するために、学校の休みは冬。

でも冬の休みには皆で雪だるまをつくり、雪合戦をし、そりすべりをし、そして凧揚げをしました。

 

子どものころは何でも出来ると思っていました――人生にはあらゆる可能性や選択肢があると…

この映画で描かれているように、強風がある限り、希望のアフガン凧は悲しみを乗り越え、

勝利のメッセージを告げるため、高く高く舞い上がり続けるのです。」