私の医局には教授の下に4人の助教授がいた。
F助教授はその中のひとりだった。
大学病院の高密度無菌治療部の責任者であり、
そして血液班の幹部のひとりだった。
F助教授に出会って、私は人間的に変わった。
すぐには変わらなかったが、ゆっくり何年もかけて、
「あ、オレって変わったな・・・」と気付くようになった。
F助教授の影響を受けたとしか思えない。
F助教授は、信じられないくらいいい人だった。
それだけではない。
鉄の意志をもち、粘り強く、決して自分に負けない。
しかしほかの人に対しては、
温かく、優しい。
私はかつて、わがままで自己中心的で、
周りの人に冷たくて、
イヤミっぽく、高圧的だった。
「オレはいままでこんなに頑張って、
苦労して努力してここまで来たんだ。文句あるか!」
という雰囲気がにじみでてるような面があった。
たとえ口に出さなくても。
いまはだいぶ変わったような気がする。
いい意味で力が抜けた。
どうでもいいことではあるが、
私がストレスで爆発しそうになると、
F助教授はタイミングよく焼き肉をおごってくれた。
かつてオーベンはラーメンをおごってくれたし、
F助教授は焼き肉だ。
ちなみに私は自分のウンテンに寿司をおごった。
回らない寿司である。たった一回だけだったが。
しばらく「ひとり主治医」だった時期の話をしたい。
F助教授に使われていた頃のエピソードである。