ひさびさやなあ、映画ネタ……。

この冬にぜひ見たい映画は実は明日から公開の、百田尚樹氏原作「永遠のゼロ」なんですが、そのゼロの前に、ゼロがタイトルに付くもうひとつの映画






「ゼロ・グラビティ」を観に行きました。無重力という意味ですが、原題は"gravity" すなわち「重力」です。映画を観るとわかりますが、宇宙での無重力状態を恐ろしくリアルに描いていますので、邦題の方が中身を表している気がします。監督は、アルフォンソ・キュアロン。

あの巨匠スピルバーグに「どうやって撮影したのだ」と言わしめた話題作です。クエンティン・タランティーノ監督が今年のベスト10に入れています。タイタニックのジェームズ・キャメロン監督が、「史上最高のスペースエンターテインメント」と称賛しています。





15日日曜日の夜。さすがにそれほど観客はいない快適な環境で、お得なレイトショーで堪能です。しかし、より評判のよい3Dバージョンは昼のみでして、やや残念ですが2Dバージョンを観ました。

出演者は、ヒロイン サンドラ・ブロックとヒーロー ジョージ・クルーニーだけです(* *) 二人だけ!!! 設定の潔よさに驚きです。以下の感想は多少のネタばれありますので、ご覧になる方は、鑑賞後にお読みください(笑)



これは、SFパニック映画をたった二人の出演者で(後半はたった一人で)描くというこれまでにない設定の意欲作です。しかも、ありそうでなかった、地球の衛星軌道上のごく「近い」宇宙を舞台にしたパニック……、いやサイコサスペンス的映画です。

もちろん自分は宇宙に行ったことはないわけですが、かなりリアルに描いていると思います。元宇宙飛行士のオルドリン氏も、宇宙空間の描写が現実に近いと評しています。それは、多くのスペースバトルムービーが描くことのない、恐ろしい真の宇宙の姿です。スペースデブリに襲われ宇宙に放り出される。そこでは自由に移動することも儘ならない。やっと辿り着いた宇宙ステーションで助けを呼んでもヒューストンには繋がらない。繋がっても混線して言葉の通じない外国人が、緊急事態の「メイデー!」を「メイデーさんかい?」と勘違いする温度差。無線の向こうでは犬が鳴き赤ん坊が啼く地球の日常がある……

観ていると、深海映画をみているような息苦しさや不安感を覚えます。やはり宇宙というところは人間の存在を許さない特殊な領域ということなのでしょう。宇宙の恐さを正確に表現することがこの映画の肝であり、適当な描き方をしていたらドリフのコントになってしまったはずです。(あの逆立ちで飲み物飲んだりするやつね)

自分にとってはサンドラ・ブロックは2011年封切の映画「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」以来、スクリーンで拝見しましたが、演技のみならず佇まいで人を引き込む素晴らしい女優さんですね♪

ストーリーそのものは、正直ある程度予想がつくものですが、これまでにない設定で宇宙の怖さを写実的に描き最小人員でそれを表現しきるという映像の「凄まじさ」に敬意を表し、90点を差し上げたいと思います<(_ _)>

ところでこの映画には、実はスピンオフの短編映画があります。アルフォンソ・キュアロン監督の息子、ホナス・キュアロンが監督しています。



タイトルは、Aningaaqといい、舞台は荒涼とした極寒の地。主役はタイトルの名前を持つイヌイットです。彼は、無線の混線で偶然、宇宙で遭難しつつある女性宇宙飛行士の声を聴きます。ゼロ・グラビティとリンクするのです……
これはYouTubeで観られます。もし、ゼロ・グラビティを観たならこれも観ることをお薦めします。

たとえどれ程の極寒の地であろうとも、重力があり呼吸ができ赤ん坊も犬も生存できる地球は何と素晴らしき所か。宇宙では、銃を撃つこともできないのだから……(Aningaaqを観ていただけたら、お分かり頂けますm(__)m )