Epidoralを打ってもらってからすっかり楽になり、3時間ほど眠りました。
病院にチェック・インして、強制的に破水させてからは出産に臨む体制になったので、左腕には点滴のチューブが、トイレには立てないのでここにもチューブが取り付けられ、酸素マスクまでされていた私。
お腹には2種類のバンドがつけられていて、ひとつは私の陣痛を、もうひとつはちーすけの心音をwatchingするためのものです。
最初、痛み止めをもらう前は夫・Cがずっと私の腰をさすってくれていたのですが、その時に彼はこのモニターの読み方を理解したようで、私が陣痛のために「痛い」って言い出す直前に、「そろそろ次の波が来るんじゃない?」とさする手にも力が入っていました。
無痛分娩だと、妊婦さん自身はいつ力んで良いのか分からないので、看護婦さんやだんなさんがこのモニターを見ながら「今よ!」と声をかけてくれる、とY子から聞いていました。
Epidoralを注入されてからは、この陣痛の波が来ても私は何も感じないので、夫が「今、(陣痛が)来ているよ」と知らせてくれ、「何も感じない」と答えると「さすが無痛分娩用の麻酔!」と嬉しそうでした。
朝7時過ぎに私の担当医であるDr.Uが様子を見に来てくれました。
やはり、担当医の顔を見るとほっとします。
昨夜からの成り行きはすべて当直のドクターから聞いていたようで、内診後、「子宮口が6センチ程度開いています」と言われました。
まだすぐに生まれるということはない、と言われ、ドクターは去って行きました。
この時にDr.Uはいつものように「何か質問はありますか?」と聞いてくれて、私たちがいろいろ質問したような気がするのですが、私は何も思い出せません・・・。
やがて、あんなに効いていた麻酔の効果が薄れ始め、微妙に痛みを感じるようになってきました。
そのことを看護婦さんに伝えると、麻酔科のドクターが手術に立ち会っているので(ここの病院は麻酔科の医師が常にひとりしかいないのか? それとも、よっぽど妊婦さんが多いのか・・・)終わり次第来てくれるので40分ほど待ってくれ、と言われました。
そして、前回同様、看護婦さんが点滴から痛み止めの薬を入れてくれました。
これは、すぐに眠くなるのですが、痛みを取る、というよりも眠さで痛みをごまかす感じ。
モルヒネのようなものだそうです。
再び夫がモニターを見ながら陣痛の波に合わせて腰を押してくれる、という作業が続きました。
40分後、やってきたドクターはEpidralを足してくれて、再び楽になった私。
できることなら、麻酔が切れる前に足して欲しい・・・。
この時、足された麻酔はどうも量が少なかったようで、2時間程度で腰のあたりが痛くなってきました。
どうにも不愉快な痛みなので、看護婦さんにそう言うと、なんと、「じゃあ、そろそろ産みましょうか」。
「え? ここで?」と驚く夫と私。
看護婦さんは「そうよ」と言って、てきぱき準備を始めました。
なんでも、腰が痛くなると赤ちゃんが降りて来ようとするサインだとか。
私が寝ているベッドは分娩台に早代わりし、片足を夫が、もう一方の足を看護婦さんが支えて、ふたりがモニターを見ながら、「Push !」。
ほぼ、3分程度おきにくる波のたびに「push!」と言われて5秒ほど力むのはものすごく疲労します。
しかも、陣痛の痛みも徐々に戻ってきているわけだし。
「なぜにアメリカなのに自然分娩に近いことを私はやっているのか?」という疑問が頭をよぎりました。
そして、看護婦さんに「ちょっと疲れたので次の波は休ませてくれ」と言って、小休止。
2時間近くこのpushをやっても何も変化が感じられず、先が見えない作業にだんだん無気力になってくる私。
看護婦さんが「Dr.Uがランチタイムに来てくれますよ」と言い、1時前に彼がやってきました。
Dr.Uは私に「すみませんが、もういちどいきんでもらえますか?」と言って、私が力んだ時に内診をしました。
そして、こんな説明を。
「分娩を始めてから看護婦さんから何度か途中経過の連絡があったのですが、赤ちゃんの頭が下がってくる気配がないということだったんです。今、内診した感じでもまだ下がって来ていません。それで、このまま吸引分娩にするか、帝王切開にするか、どちらかにしましょう。どっちがいいですか?」
「帝王切開にします」
即答の私。
Dr.Uは「手術に抵抗はないですか?」
「ありません」
もうこのいつ終わるのか分からない状況に嫌気がさしていたので、帝王切開でちゃっちゃと取り出してもらえるならそれが一番、と思い迷うことなく帝王切開を選びました。
もう少し、続く。