おじゃま虫
失礼致しました、みな様。
フッ、と物思いに浸ってしまいましたで御座います。
では早速、メイさん・直太朗君・シェルさんのお三人さんのお話しに戻りましょうかね。
シェル
そうね、月に「白い道」は、なんだかピッタリよね
直太朗
ピッタリはいいけどさァー、何故月の軌跡が「白い」道なのさ
メイ
そうね、何故ですか、シェルさん？
シェル
この「白道」はね、古代中国の書物である「漢書」のなかで述べられているのよ
直太朗
か・ん・じょ～・・・・
メイ
古代中国の書物・・・・
シェル
漢字の「漢」に、書物の「書」、と書いて「漢書（かんじょ）」よ
メイ
その書物の中で・・・・
直太朗
どんなふうに書かれてるのさ、シェルさん
シェル
まずこの「漢書」はね、西暦３年生まれで５１歳で死去した、古代中国の後漢時代の歴史
家の班彪（はんひょう）が、古代中国の前漢時代の歴史家である司馬遷の著書「史記」を
継いで著した「後伝（こうでん）」に始まる書物なのよ
直太朗
歴史の授業かよ～、これ
メイ
歴史上の有名人よね
シェル
この「後伝」は班彪の死去で未完となっていたんだけど、後漢の第３代皇帝「章帝（しょ
うてい）」の命によって、班彪の子の班固（はんこ）がね
直太朗
へぇー、ハンヒョウの子供がハンコとは、分かりやすいねェ～
メイ
チャチャ入れないの！ちゃんと聞きましょ、直太朗君
直太朗
ハイはい
シェル
この班固がね、「史記」と「後伝」を整理補充して「漢書」を著したのよ
メイ
「漢書」は、歴史書なんですね
直太朗
ハンコで、「漢書」は完成したのかよ
シェル
この「漢書」のなかで述べられている章のうちで、「八表」と「天文志」という章が未完
であったので、後漢の第４代皇帝の「和帝（わてい）」の命によって、班固の妹である班
昭と馬続という人によってこの章が整えられて完成したのよ
直太朗
やっと完成かァ～
メイ
その「漢書」のなかで「白道」が
直太路
そうそう、そうだぜ！ハクドウはくどう
シェル
この「漢書」のなかの「天文志」のなかで「白道」について、「月の運行の道（路）は九
道あり、共に白道と名く」と述べられているのよ。
ここから、月の軌跡が「白道」となったみたいよ
メイ
古代中国の後漢時代の書物が始まりなんですね
直太朗
スッゲェー昔の話しだなァ～
シェル
そね、昔のお話しよね。
「白道」の由来は、こんなところかな
メイ
シェルさん、日本にはこの「白道」は、どう伝わって来たんですか？
直太朗
オゥ！そうだな、どうなのさシェルさん
シェル
二人は、前野良沢っていう人は知ってるかな
直太朗
マエノ・リョウタク・・・・
メイ
日本史で習ったことがあると思うんだけど～・・・・
シェル
そうね、教科書で習ったことがあると思うけど、「ターへル・アナトミア」って分かるか
な、二人は
直太朗
聞いたことあるような・・・・何だったっけェ～
メイ
・・・・
シェル
「解体新書」よ
メイ
そうだァー、解体新書よ
直太朗
解体新書かァ～
シェル
この「解体新書」を、１７７７年に杉田玄白と共に邦訳したのが「前野良沢」よ。
前野良沢が「漢書」を邦訳して日本に伝えたのよ
メイ
前野良沢さんが伝えたんだ
直太朗
江戸時代の話しかァー
シェル
前野良沢は、「管蠡秘言（かんれいひげん）」という書物を著した人でもあるのよ
直太朗
かんれいひげん・・・・ナンジャそれ・・・・
メイ
聞いたことない
シェル
「管蠡秘言」はね、「冠礼」に関する秘密の言葉などを内容とする書物よ
直太朗
カンレイ・・・・
メイ
シェルさん、分かりません
シェル
「冠礼」とはね、「元服」に関する礼式のことよ
直太朗
ゲンプクって、江戸時代のちょん髷を頭にのせる、あの事かァ～？
メイ
前髪を落として、ちょん髷を結うことよね
シェル
そうね、「元服」は、現在の「成人式」ね
直太朗
そうそう、成人式
シェル
「元服」はね、古代中国において祝賀の礼のひとつとして執り行われていた儀式で、成人
に達した人に３つの冠を授けて、その人が社会の一員と認められたことを示す儀式だった
のよ
メイ
とても大切な儀式ですね
シェル
そうね、その儀式が日本に伝わって、「元服」の式となったのね
直太朗
解体新書にカンレイヒゲンかァー・・・・前野良沢って、スッゲーなァ
メイ
とても優秀な人だったのね
直太朗
まっ、とにかく「白道」については、俺なりには分かった気がするぜ。
サンキュー！シェルさん
メイ
そんな言い方、失礼よ！直太朗君
直太朗
分かったよ、そんなに怒るなよメイ。
ゴメンよ、シェルさん。
シェル
いいわよ。分かってくれたなら嬉しいわ
メイ
私も、とても楽しくお話しを聞くことが出来ました。
ありがとうございました、シェルさん
シェル
どう致しまして。私も二人に話を聞いてもらって、とても楽しかったわ
おじゃま虫
虫も、楽しくお聞き致しましたで御座います。
みな様は、如何で御座いましたでしょうかね。
では、是にて失礼仕ります。
また後程・・・・